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界渡りの物語  作者: 九重
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邂逅 3

一方、自分が赤ちゃん認定されたなどと思いもしない翠子は、ようやく話の通じる人間と会話できたことにホッと一息ついた。


すっかり安心して、よっこらしょっと湖岸に上がる。



大地にズシン!と地響きがして、翠子の体から洪水のような水が周囲に流れ落ちた。

ずぶ濡れの体を陸に上げ、翠子はようやく安心する。犬のように、頭のてっぺんから尻尾の先まで(なんと翠子には長〜い尻尾まであった。先っぽがちょっと潰れてなんとなくハート形に見えるのが可愛くて少し嬉しい。)をぶるぶると震わせて水気を飛ばす。




それが終わって見れば…人間の姿が消えていた。



(いやぁ〜!イケメンがぁ!)



翠子は焦って周囲を見回す。


せっかく人間に会えたのに居なくなるなんて「酷いわ!」と思った。

やっぱり竜なんていうこんな大きな生き物の面倒なんて見きれないと思われたのだろうか?


(仔犬とか仔猫じゃなきゃダメなの。)


好きでこんな姿になったわけではないのに、そんなことを言われてもと翠子はうなだれる。

泣きたくなってきた。



「薄情者〜っ!」



翠子が思いっきり叫んだ時だった。


湖にプクプクと泡が立ち、次の瞬間そこから消えたと思っていたイケメンがザバ〜ッと顔を出す。



「人を殺す気か!?」




翠子のせいで湖に流され、もうちょっとで溺死してしまうところだったヤトは、思いっきり怒鳴りつけた。


無理もあるまい。


…これが、翠子とヤトの運命の出会いだった。


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