表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
界渡りの物語  作者: 九重
43/111

ロウド 2

ロウドの首が翠子の方に伸ばされる。

まるで請うように下から伸びた首が、優しく翠子の首に触れた。

ゆっくりと、絡まってくる。


翠子はゾクリとした感覚が体を走るのを感じる。


『美しいアキコ、さあ行こう。』


その声は翠子の脳に直接響いた。


(結局美しいは、つくの!?)


翠子はガックリと項垂れる。


ロウドがクツクツと笑う振動が、絡まった首から伝わった。


『アキコは誉められるのが苦手とみえる。』


「!?なんで聞こえているの。」


翠子は慌ててロウドから離れようとする。

多分、触れ合っているから互いの心の声が聞こえるのだろうと思う。


逃さずロウドはなお深く首を絡めてきた。


大丈夫だという意志が翠子に伝わる。


『わかるか?聞こえるのは明確な意志だけだ。』


はっきりと言葉にして心に思い浮かべない限り互いの心は読めないのだと、ロウドは教えてくれる。



……そういうことは先に言って欲しいと翠子は思う。

それが伝わったロウドは、「すまない」と心で返してきた。


互いに駄々漏れの思考に翠子は頭を抱える。


ロウドは楽しそうに笑った。


『アキコお前は幼い。竜同士の当たり前のやりとりさえもわかっていない。なぜお前のようなものが単体でこんな所に居るのかはわからないが、ここは我らの居る場所ではない。』


ロウドの首が空の一角に向けられる。


『帰ろう。我らの世界に』


おそらく、あちらに竜の世界があるのだろう。


翠子はピタリと固まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ