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6章 確認

「困ったわねぇ。学園長に相談かしら」


手元には一枚の紹介状があった。

文章は何ら問題ないものだが最後に書かれている名前が問題だ。

リゲル・アイウィン。

かつてこの学園を主席で卒業し、その後大事件を起こした問題児だ。


「まさか、リゲルからの紹介状なんてねぇ。もうどっかで死んだものだと思ってたけど」


口調から察するにリゲルと似たような歳に思えるが彼女に歳を尋ねるのはドラゴンの口に頭を突っ込むようなものだ。

早歩きで学園長室の前に来る。

ノックを三回


「受付、アルデミランです」


「入れ」


中からは這うような低い声が響いてくる。


「失礼します」


扉を開けるとオーク材で作られた机に山のように重なった書類。

それをひたすら片付けている壮年の男性がいた。


「要件はなんだ。見ての通り私は忙しい」


「あの、そのぉ。紹介状です」


「紹介状?よほど名のある人間のものなんだろうな」


「えぇ、まぁ、名があるといえば名があるんですが……」


「なんだ、さっきから要領を得ない答えばかりを、まぁ、いい。見せてみろ」


「はい、これです」


それを受け取った学園長は最後の名前を見て顔をしかめる。


「確かに名はあるな。リゲル……あの野郎か。生きていたとは驚きだ。

 いや、ある意味必然ではあるか。あれだけ体に化物を詰め込めば輪廻から外れてもおかしくはない。」


学園長がリゲルの名前を軽くなでると


「ふっ、やはり二重紙だったか」


「二重紙ですか?」


「あぁ、あいつがよく好んで使っていた魔法だ。二枚の紙を合わせて一枚の紙にする。

 渡したい奴の魔力を感じたら剥がれるというバカみたいな魔法だよ」


他人の魔力に反応させるためには他人の魔力を持ってないといけない。

なぜならそれがないとどれに反応したらいいかわからないからだ。

これができるのは俺はリゲルしか知らない。


「……なんだと。 あのバカ、自分の子にまで業を背負わせる気か!」


「何が書いてあったんです?」


「あいつ、キメラを娘に移植しやがった。 

しかもまだ本を開いたこともない幼子にだ。

 確かに親和性、支配率は格段に跳ね上がるが、

その子の未来はもはや食いつぶされたようなものだろう。 

本当に本を開く前なら完全に食われてる。 

今、その子はどこだ。連れてきてくれ」


「……! かしこまりました。 

では、失礼します」


ドアが静かに閉じる。


「くそが、あのバカ、完全な化物でも作りたかったのか。 


自分の娘まで犠牲にして、いや、違うか。あいつのことだ、

護衛でも渡した気分で埋め込んだんだろうな。まったく。

これならまだ爆弾のほうがマシだ。」

手紙をくしゃくしゃにして部屋の端にあるゴミ箱に投げ捨てた。

投げ捨てた紙にはこう書いてあった。

【俺の娘を送った。今年で10になる。魔法で俺の記憶は消してある。体にはキメラを埋め込んである。

さらに彼女は俺が探し求めていた女王だ。キメラはあの子に絶対服従している。 

危害を加えようとするなよ。俺のように操るのではなく、彼らの意思で敵を排除するだろう。】

学園長はまた頭痛の種が増えたと頭を抱えた。


魔力には様々な形があり、人によってそれは十人十色です。

自分の魔力しか持っていない一般人では二枚紙の魔法を使うことができないのです。

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