散策
「楓ー!」
あの後、僕も自己紹介をした後、すぐ帰りになった。そこで、暗そうにしている少女に声をかけてみた。
「なんですか?」
あまり感情がこもっていないな。
「なんで、そんな暗いのさ、もっと明るくしようよ。」
「それはともかく、私に会った事ある?」
「ん?2歳ぐらいの時までここに住んでたらしいけど、その時会ったかもな。」
「最近では?」
「ないよ。なんでそんなの聞くの?」
「ないですか…、すみません。」
「まぁ、いいけど。なんか暗そうだとさ、心配になるじゃん。」
楓はなんか訳ありだな、きっと。らしい
「…じゃあ、慎君が明るくしてくれる?」
は!?
でも僕は、言ってしまった。
「わかった、僕が楓を変えるよ。」
「…うん。でも初めて会ったのになんでそんな親切なの?」
それは、
「事故で死んだ妹に似てるから、顔がね。」
「は?」
「でももっと明るいよ。だから楓にも明るくなってほしい。」
「ふーん。」
「いきなりだけど、それが理由。でも、楓は楓だけどね。」
「そうなの。」
なんか気まずいな。
「なんかあったら相談しろよ。じゃあな。」
そんなんで逃げ出してしまった。
その後聡香の誘いによって、龍ヶ島を案内してもらうことにした。
聡香の家は麻生家に近いので、聡香の家に行く事になっている。
僕は家に帰った後、2軒挟んで並んでいる聡香の家に向かった。
そこでは、すでに聡香が外で待っていた。
まじまじと聡香を見てみた。
長い黒髪を垂らした160センチの女の子は笑顔いっぱいで可愛いらしい。3年にもなって、小さい子供のようだ。
「もう、慎君遅いよー。」
「ゴメンな。」
「しょうがないから許してあげる!」
「ハハハ、ありがとう。」
「じゃあ行こうね。」
そして、スーパーや、本屋、病院などを案内してもらった。
その後着いたのが、
「ここが武田君の家。」
だそうです。
「なんで来たの?」
「あいさつした方がいいと思ったの!」
「こっちに来て最初に挨拶はすませたけど…。」
「…そうなの?ゴメン。」
少し顔が赤い。恥ずかしいのか?
「聡香に慎ー、何してんだー?」
後ろから真が話し掛けてきた。
ついでに言うと、千代もいる。
ってか、なんでこいつらは、いつもくっついてるんだ?
「龍ヶ島を巡ってたんだよ。」
「それは楽しそうですぅー。真様、わたくしたちも今度島巡りしましょうね!」
「いいよ、行こうな。」
「わーい、ありがとうございますぅー!」
「…」
「…」
僕と聡香はだまってるしかなかった。
「じゃあな、二人とも。」
と、言って次に神社へと向かった。
そこには、楓と眼鏡をかけた青年がいた。
楓はこの神社の後継ぎであり、眼鏡の青年は神社の近くに住んでいる、現在高校2年の矢沢楼である。
家が近いから仲がいいらしい。
そんな二人を横目で見ながら、通り過ぎ、自宅へと帰ってきた。
「今日はありがとう。」
「いやいや、またね、慎君。」
「じゃあな。」
「バイバイ!」
聡香は帰っていった。
家で僕はこんな日常もいいもんだと考えた。