クラス
校内に入ると校長に遭遇した。
校長は微笑みながら、
「麻生君こんにちは。」
と、あいさつをした。
白髪の背の低いでも優しい雰囲気のおじさんだった。
僕もあいさつを返し、校長に促される通りに職員室へ向かった。
そこにはたくさんの教師がいた。しかし、その誰しもが僕を見て驚いているようだ。
一瞬の静寂の後、担任の村田啓吾と名乗る人の案内を受けて、教室へ向かった。
この学校は龍ヶ島の人間しか通ってないので、人数が少ないので、(私立にも関わらず)小学生、中学生、高校生、大学生と4つの教室に分けているらしい。
慎が教室に入るとここでもみんなが驚いたような顔をした。
「そ…う…?」
と、呟いている人もいたようだが、みんな慎に劣らぬような格好をしている。たしかに慎は、金髪で180センチと凄そうに見えるが、この学校に堅苦しい校則がないこともあり、みんなの方が凄そうだ。「麻生慎君です。」
担任が紹介を始めた。
「今日から龍中に入って来た仲間なので、みんな仲良くしましょう。」
と、紹介して去っていった。
そして、休み時間になった。
僕の予想通りみんなが寄って来た。
「じゃあ自己紹介から始めるか。」
武田真が言った。以前見掛けたが、その時と大差ない。170センチぐらいの細身の体格に、明るい茶髪のトップを立たせたような髪型をしている。
「まず、俺は、知ってると思うけど武田真。真って呼んでな!」
「わかっ…」
「わたくしは真様のおつかえメイドの武田千代ですぅ。」
僕の返事を遮るように会話に入ってきた女の子。
なんだこいつ。メイド?たしかに150センチの小柄な体に、主人(?)である真と同じ髪色のショートカットのパーマの髪型で甘えた系の声してればそう見えるな。
「よろしくですぅー!」
「あぁ、よろしく。」
じゃあ次は、と名乗ってきたのは、赤い髪が印象に残る165センチぐらいの男だった。
「俺は田中和紀だ。よろしくな。」
ここから次々と名乗ってきた。
「えっと、知ってると思うけど加堂聡香です。」
「俺は葛城弘人。」
「2年の真弓拓也です。よろしくお願いします、先輩。」
「2年羽賀潤哉、よろしくです。」
「私は佐藤千里です。よろしくお願いします。」
「僕は、戸部俊って言います。1年です。」
「私は1年の田辺真紀です。」
だいたいの自己紹介が終わってきたなかで最後の一人となった。その女の子は耳まで黒、そこから一番下の肩甲骨辺りまでが金髪の不思議な髪型をしている。
背丈は145ぐらいだろうか、ホッソリしている。
「一年神童楓、よろしくお願いします。」
淡々とそれだけ言った。
「ああ、よろしく。」
この時、僕は楓に何かがあると思った。