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(4/4)雪山を降りる
外に出ると明るい青空が広がっていた。目の前の畑は一面の雪だ。雪も太陽も眩しい。
貴理子は車の脇で中森氏に言う。
「本日は本当にありがとうございました」
「もうすぐ3時ですが、まだ雪が残っているから特に日陰は気を付けてくださいね」
「ありがとうございます。今度、東京の方に来られる時は弊社に是非お立ち寄りください」
「そうですね、久々に都会に出てみたくなりました」
「ここは綺麗ですがあまり引きこもっちゃダメですよ」
「わかりました」と中森トオルは笑った。
「では、気を付けて帰ってください」
貴理子は車を出発させた。中森氏の家がバックミラーの中で徐々に見えなくなる。
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中森トオルは家に入ると本棚に伏せていた写真立てを開いた。そこには小塩選手と中森トオルが二人で写っていた写真があった。
「今でも君の事を覚えている人が多くいるみたいだ。嬉しいね」
オオマシコだろうか、静かな山のなかで澄んだ鳴き声が聞こえてくる。
「僕も久々に山を降りてみるよ」
そう写真に語りかけると、裏小屋に入れている車のキーを取った。




