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賭博転生~女神に望んだ最強の決定力で無双する第二の人生~  作者: 色彩模様
賭博転生 異世界カジノ編

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2/3

BET.2 BISH OJO NANA SAMA


 死んだ人はその人生を閻魔大王に採点され、天国か地獄に行くと言われている。

 俺の人生は何点だろうか。

 身内に迷惑を掛け、身投げで公共交通機関や他人にも迷惑を掛け、褒められたことなんて小中学生の時の皆勤賞くらいのもの。

 そんな薄っすい人生に加点要素なんてないだろうな。


「ちょっとちょーっと、おにさん♪ はやくおっきっき、し~て☆」


 おっきっきってなんだろう。

 物凄くウザい声ってだけは分かるが、俺は死んだはずじゃ――。


 瞼の感覚なんてあるはずないのに見開いたというのはおかしいが、瞼が持ち上がる。

 死後の世界とでも言うべきか、そこは独白の世界だった。

 四角いシンプルな椅子が一つ。腰掛けると、目の前が眩く発光する。


「はぁ~、やーっとおっきっきしたね、おにいちゃん♪(*ノωノ)」


 発光が収まるとそこには声の主、ユニコーンカラーの髪色をした派手な姫ロリファッションのメルヘンロリっ子がいた。


「誰だ、アンタ。俺は死んだはずだが」


「たしかにお兄さんはすっごい死に方をしちゃったよネ……痛々しかったよ、遺体だけに( TДT)」


 目が痛くなるようなキャピキャピルンルンした見た目の女は、冷淡な俺の言葉にも愛想良く返す。


「でも安心して~、この超天才叡智でHなセクシー女神お姉さんがお兄さんのことを導いてあげるから♡」

 

 そういうと、コホンッと小さい咳払いを一つして踵を正す。

 すると突然ポージングを取って自己紹介を始めた。


「はっじめましてぇ〜ん、賭芭元貴さん♪ カスみたいな人生お疲れ様でしたぁーん( > <。) 大変惨めで救われなかった生涯……夢も希望も無かったあなたにぃ、超絶美少女アイドルの女神ことナナちゃんからぁ〜……プレゼントがあっりまーす☆」

 

 ナナと名乗るそのロリっ子の正体はどうやら女神らしい。

 むしろメルヘン座敷童が妥当なとこだろ。

 しかも無駄に煽り性能が高いな、同人誌とかでよくみるコッテコテのメスガキだ。


「転生者って、聞いたことあるかなぁ? たぶん転生したら〇〇だったぁーとかぁ、〇〇に転生しましたぁーとかぁ、よくソッチの本になってるアーレ♪ それにぃーキ・ミ・が……選ばれたのでぇ〜す♡おめ〜(>O<)」

 

 こめかみに血管が浮き出そうになるのを懸命に抑える。

 今にもヘッドロック極めてからアルゼンチンバックブリーカーで抱えてやりたいが、まぁ抑えてやろう。俺は女児に手を挙げるような蛮族じゃないからな。


「ってー、急に言われても意味わかんないよね! しゃーないしゃーない。今から君に望む事は2つだ~けっ☆ 1つは転生先の魔王を倒して欲しいって話で~よくある君は選ばれし勇者だ!ってことで~」


 それより気になるのはコイツの髪の色だよ。

 頭お花畑にも程があるだろ。青、紫、黄色にピンク何色あんだよ。アンミカも驚きだよ。

 どう見てもここ原宿ちゃうぞ。


「あともう1つは……君が欲しい力を1つ教えて欲しいの!! そしたらその力を、このナナ様自らの手で授けてしんぜよぉ!!!<(`^´)>」


 しかもマジで意味わかんねぇ服装しているし。

 女神って普通ロングドレス的な、ギリシャスタイル……キトンて言うんだっけ……とかが一般的じゃねえの?

 どう見てもここ原宿ちゃうぞ。


「ってことで、お兄さんはどんな力が欲しい?」


「ごめん、話聞いてなかったわ」


「はあああああああ!? てめぇ耳ついてんかよジジイ、そんなんだから人生負け組なんだろカス、いい加減気付けや無能がよ。なんでてめーなんかの為に私が世話焼いてやんなきゃいけねーんだよ!! クソかったりー」


「……」


「……っていうのは冗談だぴょんっ♪ ……だ、ぴょん♪(*ノωノ)」


「いや、無理があるだろ」


 コントのようなやり取りをした後、改めて説明を受けた。

 つまりなんだ、魔王を倒す為に力を授けて下さるということらしい。


「それって、他のやつは何を頼んだんだ? あくまで参考事例として教えてくれ」


 前髪をひたすら整えているナナは、面倒くさそうにため息を吐くと指をクルクルと回す。

 するともやもやと綿雲のようなものが宙で生み出され、やがてその異世界とやらの映像を映し出した。

 お前最初のキャピキャピルンルンってやつどこいったんだよ。

 本性知られたからってキャラ作り面倒くさがって適当にしてんじゃねーよ。もうちょっと頑張れよ。

 

「はぁー、例えばそうねー。この人は変身ベルト、版権引っかかるような特撮のやつね。この世界でなら実際変身できるからね~」

 

 映像には見た目50のオッサンが、中年ビール腹で変身ポーズを取ると、特撮でよく目にする初代に変身していた。だがビール腹なのも元の体力が無いのも変わらないのでいとも容易く魔物に引き裂かれていた。


「他にはコイツね、コイツは超キモッキモのオタクで、私が超絶可愛いから一緒に冒険したいとか抜かすから、別の女のオークをサービスしてやったわ( ˘•ω•˘ )」


 どこから出したか分からない徳利(とっくり)御猪口(おちょこ)を持ち出して、グイッと一杯やり始めたナナ。まじで絵面だけなら未成年飲酒で即逮捕だな……。


「あとコイツは魔剣グラムだの聖剣エクスカリバーだの抜かすからそれっぽいのあげたわ」


 見れば魔物達を一振り薙ぐと一瞬で灰となる。紛うことなき名剣を携えていた。


「おお、なんだまともなやつもあるんじゃないか。これならコイツだけで魔王なんて倒せそうじゃないか?」


「いえ、ソイツじゃダメね。勝てないわ(´-△-`)」


 なんで?と聞こうとしたら映像の名剣を振るう男が一瞬で消しとんだ。


「何が起きたんだ!?」


「今そいつを消したのは悪魔序列25位、殺戮のグラシャラボラスね。この世界には魔王が使役する強力な72体の悪魔がいるのよ(´-ω-`)」


「悪魔が72体。どこかで聞いた話だな。ソロモン72柱って言ったか……。つまりなんだ? この魔王ってのはとどのつまりソロモン72柱の悪魔達を統べる王、ソロモンてことか?」

 

 でもソロモンてめっちゃ頭良い王様じゃなかったっけ?


「とどのつまり、そういうことね。死んだソロモンが死後の世界で魔王になったから、そっちの世界の人が困っていて助けようって話」


 なんということだ、摩訶不思議アドベンチャーとはこの事。

 死んだ後に偉人と戦うとかそれなんてラノベ。


「ちなみにこの世界でも死んだらどうなるんだ?」


「この世界への転生はあくまで救済措置。そもそもアンタ達負け組を輪廻転生の輪に掛けたって、人類は衰退するだけだし。この世界を救った場合にのみ輪廻転生という報酬はついてくる。つまりこの世界で死ねば存在が今度こそ消滅するけど、英雄となれば生前の世界でまた生まれて来れるってわけ」


 ここでも勝ち組と負け組に分けられるなんて。

 怒りと憎しみが込み上げてくる中、『そろそろ時間よ』と人差し指を向けたナナは声をあげた。


「汝、賭芭(とば)元貴(もとたか)。欲せよ、さらば与えられん」


 これ言わなきゃダメなんだ。

 まぁそういうことならやってやろうじゃねえか、あのクソっタレな人生も、これから送るクソッタレな人生も、全部これからひっくり返してやろうじゃねえか。

 魔剣や聖剣はダメ、コイツを連れて行くなんてのは以ての外、変身ベルトなんてのは問題外。

 これからの人生を左右し、魔王を討ち倒す為に必要な力。これまでの全ての失敗を成功へと変える力。

 俺が望むのは決まっている。


「我、賭芭元貴は欲す。絶対不変の決定力、我が望むのは覆ることの無い確率不在の決定力!!」


「決定力……ふふ、面白い……。実に面白い――汝、求めし決定力を我は授ける。女神ナナが命ずる」


 ナナの力によって足元に魔法陣が浮き出ると、徐々に光が強まっていく。

 そんな中、ナナと目が合った。


「頑張ってね、お兄さ……お兄ちゃん♪ ずっと見てるから、お兄ちゃんのカッコいい姿、ナナはたくさん見てるから、だから絶対に負けないでね!! お兄ちゃん!!」


 ナナの言葉が胸に刺さる。

 嘘でも頑張って、なんて言葉を言われたことなかった。

 嘘でも見てるなんて、言われたことなかった。

 俺は常に人生を路地裏のような陰で過ごし、目立たず、騒がず生きてきた。

 似たような連中は学生時代たくさん虐められていた。だからそれが怖くて、俺はひたすら身を潜めていた。

 今もそうだ。失敗したら存在が消えるなんて言われて、一度自殺したくせに今も怖い。


――でも。


「あぁ、任せろ!」

 

 気付けばコイツのおかげで、何だか頑張れる気がした。

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