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佐助

多治見の美濃焼、何故かここで清延はには茶碗の謎を知りたくて遠回りして窯元までやってきた

多治見に来て清延が最初に見たかったのは、やはりこ

こでの、茶碗作りがどの様なものかであった。


多治見だけではなく、この地には美濃焼に欠かせない土があると言うのは、幼い頃から知っていた。


何しろ生まれ育った小笠原家にも、美濃焼の窯元が近く、岐阜だけでなく、近隣諸国には、美濃焼で作られた物が多くあり、生活必需品と言っても良かった。


また、石も好きな色合いであったし、柱などには御影石がよく使われていて何とも言えない風合いの良いものであった。


しかし、自分で茶碗等作ったことのない清延にとって、美濃焼について誰に聞いて良いか迷っていた。


やはり、窯元を探して尋ねるのが早そうだった。


多治見の中で、茶碗作りの名のある者を探していると、ある窯元に着くと大声で怒鳴ってる男がいた。


年は清延と同じ位の若者で、窯元の主は土下座して謝っている様子。


その上脇差を抜いて、斬りかかろうとしている。

驚いた清延が間にさっと入って、相手を止めた。


「お主は誰だ!邪魔な事はするな!」


男の剣幕は凄くて、清延は手に持った槍を男の前に真っ直ぐに伸ばした。


「なんだ!お前!どかぬか!切るぞ!」


「其方が切ると言うなら、この槍でお相手いたそう、しかし何の恨みもなく、私はただの通りすがり、そんな者を斬り殺す事、主のお上はお許しなのかな」


清延はゆったりと構えて、穏やかに伝えた


「むむむ」


「先ずはその方が怒りの訳を話され!」

「うーむ」

「訳もなく、知らぬ土地でこの身を落としたとあらば、我が父に不詳の息子になりもうす」


「致し方ない、その方、名はなんと申す」


「我は、中島清延、元小笠原長時様が家臣て中島明延が一子、師匠に教わり、信長公の美濃焼の茶碗を求めに参った」


「さようか、小笠原様の、、、」


「我は主君は土岐氏に支えていたが、ご存じのように武田が小笠原家を滅亡させた後、我が主君も美濃のマムシにやられて、いまでは、叔父に誘われて信長様にご奉仕しようと決めたところ」


「さようであったか」

「それで献上の品に信長様のお気に入りの美濃焼を見にきたのだが、この者が、頑固にも譲ってくれぬ」


清延は感じた、士官の道にやはりこの様な土でできた物が何故に重宝されるか本当に信じ難かったが、師匠は先を見ていたのか、茶とは如何なる道なのか。


「これは偶然である、私もある方に士官するため美濃焼を見にきたのだ」


驚いた顔でその男は清延を見つめた


「織田様にか?」


「嫌、違う、しかし私の師匠が士官の賄賂に茶碗などが良いと言われて、しかし私は納得してはいない」


「織田様は、先ごろ茶会を日をおいてなさるそうだ、これからは茶会という催しが多くなると聞いた」

「ふーむ」


「実はな、わしは茶等、大嫌いなのだ、茶等何に入れて飲んでも同じではないか、それに茶碗は、その、すぐに割れて縁起が悪い」

「確かに、私も最初はそう思っていた」

「だろう」


そこに土下座してる窯元の主人を立たせて清延が穏やかに言う

「師匠が言う事には、茶を飲む事で、本来の自分が磨かれると言う、それに作法、また普通の物は面白くもない、そこに今まで見た事ない物が加わった時、それを見つけた感動こそ、茶を飲む以上に感じる幸福感、それを知らねば人として生きている価値が無いと言う」


清延の言葉に何か感じた男の顔が輝いて見えた


「そうだなぁ、その通りだなあ、その師匠は凄い人だな、私は佐助」

「佐助殿、それは、、、」


「佐助でよい、」


そう笑いながら佐助と告げた男は去っていった


側の窯元が震えながら、お辞儀をして告げた


「あり難き幸せ、御恩は忘れません」

「良い、怪我はないか?」


「はい、あの御方は、古田重安さまのご養子古田重然様にござります。」

「佐助とか言うておったなぁ、やはり武人であったか」


「はい、最近は各地からこの美濃に多くの方々が美濃焼を求めて参ります、彼の方の生まれた土岐の村や可児の村など、ここだけではなく、そこで出来上がった優れた茶碗、皿、壷、」


「私も美濃焼が私には里を思い出す物である」

「あなた様もですか?」

「そうだ、木曽に近い土地が生まれ故郷だから」


清延が感慨深い昔を思い出した、そして尋ねた。


「所で、美濃焼を作ってる工程を見てみたい」

「それなら、特別にご案内します」


「かたじけない、よろしく頼む」


清延は、師匠が花籠まで手作りすることを思い出し、美濃焼を知ることが大事だと悟っていた。




そこで出会った佐助、この人が後に師匠の弟子になり、美濃焼を全国的にこの世の先まで残す物を作る人だとは、夢にも思わぬ出会いであり、清延と同じ年くらいなのが、幼いときの喜三郎と重なって、親しみを感じた。後に清延が師匠を挟んで美濃焼対決の話はまたこれからの事。

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