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恋はあけぼの①

いつもとは違う、温もりに包まれたこの空間が、朝から食べた納豆の香りが、なぜだかとても心地よかった。

燃え盛った夜から明けた、恋の始まりだった。


「あの、お付き合いしませんか?わ、私たち」

まさか彼女から言われるとは思わず少し声をあげてしまった。彼女の無垢な瞳に映る自分を見たとき、こんな俺で、良いのかななんてことを考えてしまった。この子に対して僕はちゃんと付き合えるのだろうか。でも、もう彼女に、彼女の体温に、彼女の瞳に、すべてに、溶けすぎてしまっていた。

ずっと彼女に恋をしているのだろうと思っていた。なぜだか、そんな言葉で言い表すには勿体無いなんて今更思ってしまった。



「じゃあ、よろしくお願いします。夏鈴。」



僕がそう返事をすると彼女の顔はみるみる赤くなっていった。可愛い。これも思わず声に出してしまった。


「デート!してみませんか…?」

意外にも彼女は積極的だった。僕がまだ知らない彼女の姿をもっと見たい。あぁ、本当に付き合ってるのか、僕たち。なんだか、恋してるって感じがする!!

公園で…散歩とか?いや、付き合ったばっかりだし気まずくなるかもな。映画が無難かな…話さないで済むし…いやでも彼女と話したい。もっと彼女の中で溶けていたい。

家から電車で3駅かかる、イチョウの綺麗な公園に行こうと言ってみた。初めてのデートで公園なんて僕にとって初めてだし、嫌がるかな、なんて考えたけれど現実は想像以上に穏やかで、優しかった。


「良いね、行きたい」

そう言って優しく微笑む彼女に、どこか救われた感じがした。


小春日和の陽気が、僕たちを優しく見守ってくれている。そんな、恋のあけぼのだった。



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