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序章【転移】 第一話 二つの月

こんにちは。初めての投稿で緊張しております。

思いつきで小一時間で書いたものですので読みずらかったり、ツッコミどころや矛盾点、誤字脱字などございますでしょうがどうか目をつぶってやってください。

最後まで読んでくれたら嬉しいです泣きます。

 雑草が生い茂る荒野、心地のいい秋風(ここに四季があるかは謎だが)に二つの月が浮いている。

 不意に君が振り返り僕に声をかける。

 どうやらあの月には名前があったらしい。

 しかし度重なる争いでもう誰もそれを思い出せない。

「だから名前をつけましょう私達で!」

 君は笑顔でそう言う。僕も微笑んで言う

「あてはあるのかい?」

「ロムルとレムというのはどうかしら」


 また時が進み始める、少しずつ、少しずつだがそのスピードはやくなってゆく。誰にも気づかれてはいけないのだ。


 第一話

 宇佐和樹は焦っていた。

 妻の佳代から息子の連を保育所へ向かいに行くようにと言われたはいいものの道が渋滞しており、車が思うように進まなかった。保育所と妻には、連絡入れたがかれこれ40分以上は止まっている。交通量が多い時間帯で渋滞してるとはいえ遅い。周りの車からも人が降りて前方を確認している。何かが起きたのだろうか。その時和樹の車の窓が軽くノックされた。ずんぐりと太った四、五十代の男が頭をのぞかしている。和樹は窓を開けた。

「どうしました?」

「いや前の方で結構な事故があったみたいで、もっとかかるみたいですよ」

「そうですか、わざわざありがとうございます。」

 この男はわざわざそれを言いにきたのだろうか?

「いやねここで会ったのも何かの縁だ、行き詰まってしまったもの同士話したいことがございましてね。」

 やけにニヤつきながら男はいった。

「私見てきたんですよ事故現場!ああ車はそこにあるでしょ、あの黒のセダン。それでねまぁ恐ろしいのがあの事故!最近起きてる変な事件と関係があるんじゃないかと思いましてね。」


 和樹もその変な事件と呼ばれるものは知っていた。明らかに数刻前までそこにあったものがまるで、世界から球状に鋭いカッターで切り取られたかのようになくなるのだ。事件はこの一カ月で多発し、メディアもこぞってこの怪事件を取り上げていた。だが和樹自身この話題に対してさほど興味が寄せられる事はなかった。しかしこの男はなぜそのことを数ある車から自分を選び、語ろうとしているのかがわからなかった。

「車がね切り取られてたんですよ!!球状に!!」

 男の目は輝いている。

「あの…どうしてそれを僕に?」

 和樹の言葉を聞くと、男は少し目を大きく見開いた。

 それから怪訝そうな顔をして言う。

「どうしてってまぁ、興奮してしまってね悪かったかい?」「いいえ…ああ車が。」

 先程までほとんど止まっていた車が少しずつ進み始めたのだ。

「へ?意外と早かったね。付き合ってもらってありがとうね…」

 男はトボトボと去っていった。少し悪いことをしてしまったと和樹は思ったが仕方ない。和樹は保育所に向かって車を走らせた。


「パパァだあー!!」

 やっとの思いで迎えについた和樹はその我が子の一声で疲れが消えた気がした。保育士に礼を言い車に連をのせる時に蓮がつぶやいた。

「ねぇパパ。今日はお空が綺麗だったよね」

 お空?なんのことだかわからないけれど息子は可愛かった。

「ねえパパ今日の夜ご飯は何かな」

「なんだろうね」

 確か佳代がチキンライスの作り置きをしていたはずだ。

「さあ帰るぞお」

 アクセルを踏む。

 その時だった。強烈な吐き気と目眩に加え、体が浮き視界が逆転し体の中が反転したような感覚に和樹は襲われた。目の前は保育所ではなく漆黒の中様々な色が火花のように飛び散り合っている。何かがおかしい。何か異常な事が起きたのだ。薄れゆく意識の中、和樹は叫んだ。



「蓮!!!!」



 何かの唸り声が聞こえた。これはなんだったけか。そうだジュラシックパークだ。あのTレックスの鳴き声…Tレックス?まだ頭が痛い。蓮は?確か車で保育所へむかえに…そうしたら…


 連!!、、和樹は目を覚まし上半身を勢いよく起こした。まだ痛む頭を抱えながらあたりを見渡す。土の上に座っている。乗っていたはずの車はなく背後には大きな岩山と雑草の生い茂る荒野に地平線。

 ここが日本ではない事は容易に想像できた。

「なんだよこれ…」

 どこまでも続いていると思った地面は前方50メートルほどで途切れており、崖となっていた。下へ降ればどんなジャングルも目ではない、またまたどこまでも続く森林が広がっている。

「どこだよここ…」

 連は?近くにはいない

「連!!」

 冷や汗が背中から溢れ出す。どれだけ周りを見渡しても広大な大地と下に広がる森林しか目には移らなかった。

「連、連!!連!!!!」

 声が枯れそうになるまで叫ぶがまるで意味はなかった。空を見るともう太陽は沈みそうになっている段々とあたりは暗くなり始めようとしていた。

「蓮…」涙で前も見えない心臓の音が大きくなっていく。息子の名前を叫びながら走ることしかできなかった。もしこの森林の中に連がいるのなら日が暮れるまでにこの崖を降りれるのか?崖は想像以上に高く、暗闇の中生きて下れるような高さではなかった。

 その瞬間、けたたましい音とともに後ろから猛烈な風が吹き、体が浮きそうになる。鳴き声。いや唸り声。

「Tレックス…」

 恐る恐る後ろを向く。


ゴオゥゥッ!! 


 和樹の頭上すれすれをかすめ、ものすごいスピードで夕日に向かい飛び去っていく。それは巨大な羽と口を持ちに頭に角を携えた、いわゆる、ドラゴンであった。20メートルは有に超える1匹の巨大なドラゴンを小さな数匹のドラゴンが追いかける。


 和樹は瞬きもわすれ呆気に取られた。ここは日本どころではない地球ではないのだ。日が暮れてゆき、ドラゴンは遠ざかる。和樹は腰を抜かし大地に仰向けに倒れ込んだ。そして和樹は目を見開く。

 空には二つの月が浮かんでいたのだ。



あたりはすっかりと暗くなり和樹の涙も声も枯れ果てていた。未だに先刻までに起きた事象について理解がついていかない。和樹はとうに考えることを放棄していた。吐く息は白く和樹の体を震わせた。気温は何度になるのだろうか。ここで死ぬのだろうか。そんなことを考えながら呆然と大地に寝そべっていた。


あたりからは獣の鳴き声が聞こえる。幸い高台にいることで襲われる事はないが動くこともできない。その時であった。何かの匂いがする。何かが焼けた匂い。あたりを見渡して和樹は驚愕した。

「あれは…!」


森の向こうにあかりがついている。また心臓の鼓動が速くなってくる。生きる望みが見つかったかもしれない。和樹は立ち上がった。


「蓮!…すまなかった…父さん諦めかけてた!」


両手で頬を叩き気合をいれる。生きねば。

生きて地球に帰らねば。蓮と帰るのだ。

まずはもう一度この崖を下る為自分の状況をかくにんする。

やはりこの崖は高い100メートルはあるだろうか?今和樹がいるのは大きな岩山の削れた部分。荒野だと思っていた場所は切り立った山の平地である。それがあまりにも広くかったため勘違いを引き起こしたのだ。


「火があるということは人がいる。人がいるなら救助は?いや期待できないか第一俺がここにいることなんて誰も知らない」


やはりどう考えてもそれしか方法はなかった。

崖を下る。できる限り早く。足場になりそうな出っ張りはいくつかある。不可能というわけではない。しかし、命綱もなくクライミング経験もない和樹が命一つで下り切るなどできるのだろうか。あたりを見渡しても岩と雑草のみロープになりそうなものはない。


もう一度崖を覗く下は暗すぎて何も見えない。

全てを吸い込んでしまいそうな闇。


ここを下るのか。


どんどんと気温が下がる中、明日まで待つ余裕はないもう一度和樹は森の中の灯りを見た。あそこに蓮がいる可能性もある。。

「…いかない手はない…」

覚悟を決めろ。目を瞑り唱える。地球に帰る。蓮とと共に…


まずは下半身から慎重に片足ずつ足場におろす。

足場がいつ崩れてもおかしくない。予備の足場も探そうとするが光源は二つの月のみである。

「くそっ想像以上に暗いな…!」

一つ一つの足場を手足を使いなぞるように確認する。


クライミングにおいて登るのと下るのでは訳が違う難易度は跳ね上がりプロでもロープを使わずに降りることなどはまずしない。


「それはそうだ。つかむ所の選択が圧倒的に難しい!!くそっ!」


和樹の爪は肉に食い込んでいるが極限までの集中でその痛みはほとんど感じていなかった。しかしその負荷は溜まっていく。

和樹は上を見上げた。

「ああ!まだ5メートルも進んでないのか…!」


焦りからか足場とつかむ所の選択は早く乱雑になる。汗が止まらない。必死に足場を探し全身に力をいれる。一歩ずつ一歩ずつ。呼吸は早く

今までよりも一段心臓の音は大きく。そして早くなっていく。

その時


ガガガッ


踏み抜いた足場は脆く和樹は手を滑らせた。


グシャ


和樹は偶然にも崖の途中にあった出張った岩に落ちた。足が潰れ血がながれる。途端に全身から指先まで痛みが走る。

「ああああああああ!!」

傷口からドクドクと鼓動がする。足は考えられない方向に曲がり皮膚と肉がめくり上がり骨が露出しており、動かせる気配がない

「くそっくそっくそっ!!」


枯れていたはずの涙が溢れ出してくる。どうしてこんなことになった?なんで俺が。今頃、佳代が作った飯を蓮と食ってるはずだったんだ。

何を間違えた?どうしてどうしてどうして!!

和樹はわけもわからず声を上げて泣いた。



寒い…冷たい…ここには雪が降るのだろうか。

相変わらず二つの月はそこにあり和樹を眺めている。意識が遠のいていく。だめだ。眠ってしまってはここで眠れば凍えて死んでしまう。クソ…

……


月に…彼らに名前はあるのだろうか?



パパっパパっ!起きてっ!!




誰だ…蓮か??



暖かい。なんだ?急に明るくなった…

痛みも消えた。どうした何が起きた?…ああそうかなんだよ全部…夢か…よかった…



ぼんやりとした白いモヤが和樹を覆っている。




目を開ける。和樹は目を覚ました。


「…夢じゃないよな…」


和樹は立ち上がった

彼はまだ出っ張た岩にいたが先ほどまでの寒さや痛み、頭痛は病んでいた。うごかなかった足も動く。

力が湧き上がるのだ。今ならどんなことでも成せる

そんな全能感が和樹を昂らせた。


「すごいぞ!!これは…これで崖を下れる!!」



そのまま和樹は大声を上げ、出っ張った岩を蹴り上げそのまま飛び上がった。


想像以上に高く飛び上がりそしてそのまま勢いは止まることなく和樹は二つの月に照らされた。和樹の白いモヤはだんだんと大きなオーラへとかわってゆく。



ズウゥン



和樹は勢いよく地面に着地したが傷一つなかった。

そしてそのまま歩き出しす。あの灯りの方へ。

全ての望みをかけて。


この力はなんなのだろうか。あの時何が起きたのだろうか…色々な疑問が和樹を困惑させた。


和樹は振り返る。自分が先程までいた山は思っていたよりも大きく、この崖を下ったのだと和樹は

実感した。


この世界の因果なのかこの力が途切れる気はしなかった。



「待ってろよ蓮。今父さんが行くからな」










ありがとうございました2話も書きます。

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