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神の選択肢  作者: 嘘吹
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〜始まりの選択肢〜

初投稿、処女作です。

温かい目で見て頂けると嬉しいです。

第一話〜始まりの選択肢〜

 ある年の五月、人類の目の前に一枚のモニターが出現した。そのモニターには……



 夢を終わらす電子音と共に朝が来た。

 スマホを手に取り、鬱陶しい音をとめる。そのままの流れで漫画アプリを開き、漫画を読む。読み終われば、大学へ向かうための準備をする。カーテンを開け、朝日を浴びる。アパートの一階であるものの近くに建物が少ないため、光はよく入ってくる。いつも通りの良い朝だ。そう1つを除けば……


 先程から視界にモニターの様なものがちらついている。スマホの見過ぎ、はたまた寝不足による幻覚、色んな仮説が脳内をぐるぐる回り、結論に至る。手をモニターに伸ばし、[開く]という所を触ってみる。すると


[どっちを食べたい?

     たけのこの森:しっとりクッキーとチョコの甘さ 

     きのこの川:香ばしいクラッカーとチョコの香り]


という文面が出て来た。

 「なんだこれ?」

思わず、心の声が飛び出した。とりあえず、たけのこ派なので[たけのこの森]を押した。


[回答有難うございました。]


 適当なアンケートに答えた後に出てくる様なメッセージが表示され、数秒後モニターが消えるとほぼ同時にインターホンが鳴る。時間を見るとまだ六時半、来客にしては早すぎると思いつつも候補者の顔が脳裏に浮かぶ。

 ドアスコープを覗くと、そこには誰もおらず、一つの段ボールが置かれていた。ドアを開け段ボールを抱える。大きさの割にはとても軽く、頼んだ覚えのない荷物。しかし、宛名は自分。差出人は書かれていない。これだけ不思議な要素が詰め込まれていては好奇心には勝てるわけもなく、荷物を部屋に持ち込み、封を切った。中には一枚の紙とたけのこの森が入っていた。紙にはゴッドデリバリーと書かれているだけで、他には何も書かれていない。 


一体なんだったんだろうか……

 

 そんな疑問を抱えつつも箱に入っていた、たけのこの森を朝食の代わりに食べ、いつも通りバスに乗り大学に向かう。車内でゴッドデリバリーについて調べてみると、早速ネット上では様々な憶測が流れていた。ネットニュースを見る限り、すべての国民にモニターが表示され、選択した方のお菓子が自宅に届いており、そのすべての箱に例外なくゴッドデリバリーと書かれた紙が入っていたそうだ。読み終えると、少し経って大学に到着した。

 講義室に入ると、やはりあの話題で持ちきりで、たけのこ派ときのこ派の論争、ゴッドデリバリーの正体を予想するなど、いつも賑やかな講義室がより一層賑やかだった。しかし、教授が入室した瞬間、静寂が訪れる。


「はい、それでは点呼を始めます。」


点呼が始まり、自分の番が刻一刻と迫ってくる。


橋田梨央奈(はしだりおな)……橋田いない?はいじゃあ次」


 点呼に答えなければ欠席扱いに加え、一度でも休めば単位は認定されない。そのせいで、講義に人気がなく、必修教科でもないので受講者は多くない。いよいよ自分の番だ。


氷崎滉(ひょうざきこう)


「はい」


星和樹(ほしかずき)


「はぁい!」


 この星という男は数少ないこの講義を受けている俺の友人だ。頭も良く、人当たりも良いため顔がとてつもなく広い。

 無事講義も終わり、この日は他講義が休講、一限のみで、終了だ。バイトがあるが、遅い時間帯なので、星と俺のアパートで遊ぶ約束をし、バスに乗り込んだ。

 バスが停留所に止まり、二人組の男子大学生が乗ってきた。乗車し、優先席に座り、周りの乗客お構いなしに、大声で話し始める。


「今朝、変なモニターみたいなの押したら、秒できのこの川届いたんよ。」


「僕も届いた。てか、やっぱきのこよな。たけのこ選ぶやつはセンスないわ。」


 どうやら彼らは、自分達が多数派だと思い込み、自身の好きなものを押し付けるのが大好きなようだ。

 そんなことを考えていると、また、バスが止まった。入り口の扉が開き、気難しそうな新聞を持った五十代くらいのおじさんと、その後ろから杖をついた老女が乗って来た。丁度、先ほどの空気の読めない大学生が空いている席を埋めてしまっていた。おじさんは入り口付近に立ち、新聞を読んでいる。老女は足が悪いのか優先席の前に立ち譲ってくれと懇願している。

二人組の大学生はあろうことか老女を無視し、くだらない話を続けている。

 仕方ない席を譲るか……そう思い、立ち上がろうとしたところ、入り口付近にいたおじさんが大学生二人組に声を掛け、譲るように言っている。

 渋々と言った感じで舌打ちをし、席を立つ二人組からどこか危ない雰囲気を感じた。

 俺が降りる予定のバス停の二つ前で老女が降りた。老女はおじさんに感謝の言葉を言って降りて行った。その次のバス停でおじさんが降りた。それを見て、大学生二人組が降りて行った。先ほどの嫌な雰囲気を思い出し、俺も彼らの後に続いて降りた。



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