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79 卒業旅行2

ちなみに、私は黄泉平坂へ行った事はありません!

ぜひ行ってみたいですね!

資料見ているだけでも、何か雰囲気が凄くてワクワクしてきますね。

 二泊三日の卒業旅行の二日目です。


 うん、二泊三日にしておいて良かったですね。当初考えていた一泊二日はハッキリ言って無謀。

 いざ旅行へ行くとなると行ってみたいところが出て来るのですが、これが意外に距離があったりして時間に追われるんです。まあ、一泊二日なら一泊二日なりの予定を組むのでしょうけどね。


 そして、事前の観光予定でも。


「縁結びを考えると、八重垣神社は外せないよ! やっぱり出雲大社行くなら縁結びでしょ!」


 そう中村さんが強く主張されたり。


「せっかく島根に行くんだから黄泉平坂は行かなきゃダメでしょ!」


 などと良く解らない主張をする舟橋さんに連れられて、日本の神話でも有名な黄泉平坂を予定に組んだり。私はあまり心霊とか、ホラーとか得意では無いので出来れば行きたくなかったんですが、みんなの希望に引き摺られて泣く泣く決定しました。


 そんな肝心の旅行二日目。その日は観光タクシーをお願いして、希望の場所を巡ります。


 そしてやって来ましたよ。噂の黄泉平坂!


「うわあ、やっぱり雰囲気あるね」


「うん、だねぇ」


 いざ黄泉平坂へとやって来ると、岩があったり、周りの木々で日差しが遮られて古道? 通り道? 周囲に何とも言えない雰囲気がありますね。それこそ、黄泉路とはこんな感じ? といった雰囲気が凄い!


 そんな事を思いながら、みんなでワイワイと一塊の団子になって移動します。真面目に怖いですからね!


 そんな私達の進行先に、大きな岩の横にお賽銭入れとポストみたいなものが現れました。


「あ、あれだ!」


「ほんとだ! なんかお化けポストみたい」


 丹羽さんと舟橋さんが小走りに駆けだす先には、旅行ガイドに載っていた天国へのポストがありました。


「これかあ、よし、お爺ちゃんに手紙を書く!」


「私も! うちは祖父母みんな亡くなっているから、2枚いるかな」


「困った。どっちの祖父母も健在な私はどうすれば?」


「私は母方のお爺ちゃんかな」


 舟橋さんは当初から一昨年無くなったお爺さんに手紙を書くと張り切っていました。そして、中村さんの家は共に祖父母は亡くなっているそうです。もし父方のお爺さんが存命ならもう少し何とかなったのでしょうか? 此ればかりは何とも判りませんね。


 私達は用意されている便箋にお手紙を書いて、ポストへと投函しました。そして、横のお賽銭箱へとお賽銭を入れて、みんな揃ってお祈りします。


「無事届いてくれると良いね」


 静かにお祈りをして、ポストを見ながら無事に届いてくれる事を願う。中村さん達も私と同じようにポストを見ながらちょっと悩んでいます。


「うん、でも、個人情報とか怖くて名前とか住所が書けないから、無事お爺ちゃん達に届くかなあ? 一応お祈りで住所とか全部お唱えしておいたけど。あと、お賽銭100円じゃあ安すぎる?」


「う~ん、あの世への配達料だからね。500円くらい入れとく? でも、それはそれとして確かに個人情報とかは怖いね。鈴木さんが言う様に住所と名前が書いてあれば電話番号とかも調べれるし」


「うん、大丈夫だとは思うけど、用心するに越したことないもんね。特に女の子はねぇ」


 此れからどんどんとネットが発達して、ちょっとした事で身バレをする世の中になっていく。何が切欠で自分や家族の身に危険が迫るか判らない世の中になっていく。それを知っているからこそ、ちょっとした事にも気を遣う様にしている。


 私達は追加のお賽銭を入れて、再度無事に届きますようにとお祈りをした。そして、足早にタクシーを待たせている駐車場へと向かう。ちなみに、今日の前半は観光タクシーをお願いしています。時間制なのでそこそこの金額にはなるんですが、移動の事を考えると便利ですからね。


 タクシーに戻って、運転手さんから色々な話を聞きます。


 その後、国宝の松江城に行ったり、小泉八雲記念館に行ったりと島根を堪能し、再度昨日の旅館へと戻りました。


「う~~~ん、疲れた」


 旅館に戻ると直ぐに4人揃って温泉に直行します。

 日頃から運動不足な私達がほぼ一日歩き回った訳で、関節やら脹脛が思いっきり怠い! 足が棒の様とは良く言った物だと思う。


「でも、もう一日欲しかったね。石見銀山も見てみたかった」


「ガイド見ると石見銀山周辺だけで半日ってなってるし、どう考えても時間が足りないから」


 2007年に世界遺産となった石見銀山をせっかく近くまで来たので行ってみたかったです。ただ、旅行のガイドブックを見る限りでは他を見ながらとなると厳しそう。その為、今回は見送る事にしました。


「何と言っても、今回のメインテーマは縁結びだからね! まあ、黄泉平坂は私が行きたかったので無理を言ったけど、良かったでしょ?」


 舟橋さんが恐る恐る尋ねて来ますが、確かにあの雰囲気は中々無いかな。誘われなければ絶対に行かないだろうという点では行って良かったと思います。


「お爺ちゃんに手紙も書けたから、私的には全然OK。むしろ行けて良かったかな?」


 もっとも、お爺ちゃんの記憶ってあまり残ってないんだけどね。前世でも今生でも幼少期に亡くなっているから、お姉ちゃんとは違い私は殆ど記憶にない。


「疑問形が気になるけど、鈴木さんにも喜んでもらえて良かった。ほら、良子ちゃんとの旅行に横入りしたみたいな感じだったからちょっと気にはなってた」


 そんな事を気にしてたとは全然わからなかったけど、そう言えば舟橋さんは何かと皆を楽しませようとしてくれたように思う。私もちゃんと納得しての参加だから気にしなくて良いのに、ずっと気にしてくれていたんだとありがたく思う。


「うん、みんなと来れて良かった。二人でも楽しかったかもだけど、今回四人で回れて多分二人で旅行に来ていた以上に楽しかった。舟橋さんありがとうね」


「良かったぁ。そう言ってくれてホッとした。ほら、鈴木さんとは6年間一緒の学部だったけど殆ど交流なかったし。良子ちゃんがああ成らなければ、多分そのままだったと思うから。あと、良子ちゃんを助けてくれてありがとう。私は何もできなかったから」


 ちょっと寂しそうに言う舟橋さんだけど、それは仕方が無いと思う。普通の学生が手を差し伸べて何とかなる状況じゃなかったからね。


「これも縁なんだと思うよ。私が中村さんと一緒に勉強していなかったらとか。そう考えると舟橋さんと丹羽さんは頭が良いってことかあ。もし試験前に二人して必死に勉強していなかったらあそこまで仲良くならなかったかも」


「まあ、私とすみちゃんは其処まで必死に勉強して無かったからなあ。良子ちゃんには悪いけど、其処まで付き合ってなかったなあ」


 舟橋さんと丹羽さんは学年順位で上位に居ましたから。それでも、余裕があった訳ではないそうですが。


 露天風呂の隅っこで二人して話し込んで居たら、中村さんと丹羽さんがザブザブと近寄ってきました。


「二人して隅っこで何話してるの! 混ぜて!」


「コイバナなら私達も混ぜろ~~~」


 思わず船橋さんと顔を見合わせて苦笑を浮かべます。


「今日は疲れたねって話してたの。さっきから脹脛を揉みまくりだよ」


「うん、それでも鈴木さんが石見銀山行きたかったって無茶言ってくるから、無理! って言ってたの」


 私達の返事に今度は中村さんと丹羽さんが顔を見合わせます。


「うん、流石に無理。今回は何と言ってもメインは出雲大社だし。まあ、出雲大社でしょ? 美保神社に八重垣神社。須佐神社ってほんとに神社巡りツアーだったね。此処まで頑張れば良い出会いがあるよね!」


「うん、4月からの出会いに期待したいよね」


「研修医は地獄って聞くけど、色々あって昔ほどでは無いって聞くし」


「まあ、普通に不安はあるけどね」


「学生時代は終わっちゃうからね。決して薔薇色の学生時代じゃ無かったけど」


 うん、確かに最後まで試験に向かって追い立てられた学生時代だった。それでも、私的には前世とは比べ物にもならないくらい充実した学生時代だった。


「もう一回子供の頃から繰り返せって言われても、もう勘弁かなあ」


 やり直しを始めて今日までを振り返り、思わずそんな言葉が零れてしまう。すると、私の独り言を聞いた中村さん達が私を見て爆笑する。


「うん、解る! もう一回やり直したくない!」


「私も嫌! もしやり直すなら医者は目指したくない!」


 舟橋さんと丹羽さんが笑いながら言う。けど、中村さんはちょっと違うみたいだ。腕を組んで悩みだした。


「やり直したくないのは解るけど、もう少し何とか出来なかったのかって思いはあるかなあ。もう少し兄と話し合える関係が出来ていれば此処までならなかったかもって思わなくもない。まあ、今更なんだけどね」


 家族との関係が崩壊してしまった中村さん的には、やはり人一倍後悔も多いのかもしれない。あの時、ああしていれば。此処でこう判断していれば、行動していれば。そんな思いが人一倍強いのかもしれない。


「うん。もう国試に合格さえしていれば、取り合えず幸せだと思おう」


 中村さんの言葉に、みんなで爆笑するのだった。


 そして、3日目は12時過ぎの飛行機で帰る為、お買い物だけで終わっちゃいました。

 それでも色々と楽しかったですね。友達達とワイワイ旅行するのはストレス解消になります。またみんなで旅行しようねと約束して、空港で別れるのでした。

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― 新着の感想 ―
作中季節が現実時間と近いので、受験生の読者さんは彼女たちが羨ましいだろうなぁ…
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