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第六話 冒険者

 町を出て三週間が経った。

 ここまでは順調で、このままいけば予定通り一か月で目的地のンヴルヴに着けそうだ。

 そして、初めての実戦で負ったけがも完治して、実戦にも慣れてきた。

 ミラの言っていた通り、最初に出会ったモンスターはかなり強かったみたいだ。初めて戦ったモンスター以外はそんなに強いと感じなかった。それに、四人の中で一番弱い俺でも一人で倒すことができるモンスターもいた。初めて戦った時からどれだけ実戦で戦えるようになったかはわからないが、ミラに特訓してもらうようになってから、強くなっていると感じる。


 ミラとの特訓はいつも朝早くにしている。俺の見張りの順番が最初で、ミラが最後だからだ。ミラとの特訓では主に、剣と魔力操作の練習をしている。

 まず剣に関してだが、ミラが言うには、魔法を戦闘の軸にするなら、剣をある程度使えるようになっている方がいいらしい。魔法を軸に戦っていると、万能な魔法に頼り切りになり、近距離戦や魔力切れの際にすぐにやられるそうだ。たしかに、俺も敵の攻撃をガードできずにやられた。それに、剣で戦えると魔力を温存しながら戦える。

 次に魔力操作。魔力操作が完璧に近いほど、魔法を使うときに無駄に魔力を消費しなくてすむ。そして、魔力操作が上手くなると、魔法を相殺できるようにもなるらしい。

 特訓の内容は、剣はとにかくミラと手合わせで、魔力操作は必要最低限の魔力で魔法を発動させることだ。魔力操作の方は、一週間で成果が出だしたが、剣の方はミラに全く歯が立たず、毎回ボコボコにされている。

 

 ついに目的地であるンヴルヴに到着した。

 サーシャとミラに聞いていた通り、かなり大きな町だ。それに人も多くとても活気がある。竜人だけでなく、いろいろな種族がいる。フューリットでは、エルフと妖精以外はほとんど見なかったから驚いた。

 俺とエスフィーがきょろきょろと周りを見渡していると、サーシャがいろいろ説明してくれた。大通りを歩いていくと、大きな広場に着く。そこは町の中心で、周りには大きな建物がいくつもあった。その中の一つが俺たちが用がある場所、冒険者ギルドだ。

 ちょうどお昼時でお腹が空いていたから、広場の出店で何か買って食べることになった。たくさんの出店があり、どれも魅力的で悩んでしまう。パスタにするかサンドウィッチにするか。二択で迷っていると、サンドウィッチの店の前にいた俺のところにミラが来た。


「ハクはサンドウィッチにするの?」

「いや、パスタとどっちにするか迷ってる。」

「私と一緒だ。だったら、私がパスタ買うからハクはサンドウィッチ買って。それで、お互い半分こしよ。」


 間接キスが少し気になるが、俺もどっちも食べたかったから「わかった。」と答えた。

 俺とミラがサーシャとエスフィーがいるベンチに行くと、サーシャは串ものを、エスフィーは日本でいうはしまき的なものを食べていた。俺とミラもサンドウィッチとパスタを堪能する。出店のものだがおいしくて、とても満足した。


 食事を終えて俺たちは冒険者ギルドに行く。

 俺は興奮していた。異世界に憧れてきた俺が心躍らないわけがない。冒険者になるのは異世界での定番だからな。それに、冒険者ギルドにも興味がある。

 冒険者ギルドの扉の前まで来ると、中から声が聞こえてきた。どうやら町だけでなく、冒険者ギルドも活気があるらしい。サーシャが扉を開けると中には多くの冒険者がいた。ご飯を食べたり、酒を飲んでいたり、冒険者同士で話していたりと様々だったが、俺が夢見てた冒険者ギルドって感じだ。それに、ギルドの職員らしき人は女性が多く、それもかわいい人ばかりだ。夢を壊されなかったのはいいが、人間の女の子がいないというのはちょっとショックだった。かわいいんだけど、ある意味夢を壊された。


 俺とエスフィーが冒険者登録している間に、サーシャは使わなくて余ったモンスターの素材とかを換金しに行った。ミラが受付嬢と話をして、俺とエスフィーは冒険者登録を始める。

 受付嬢から渡された紙に必要事項を書き込んでいく。名前、年齢、性別、種族、と順調に進めていたが、戦闘職のところで手が止まる。俺は魔法がメインだが、剣もそれなりに使って戦闘する。この場合何と書けばいいのだろうかと考えていると、受付嬢の子が親切に説明してくれた。

 戦闘職は変わることもあるし、戦い方は人それぞれ違うから、これに近いくらいに思う戦闘職を書いたんでいいそうだ。魔法メインだから魔法使いと書いておくことにした。


 全て書き終わると、受付嬢は綺麗な鉱石を持ってきて俺とエスフィーに渡してきた。俺たちは受付嬢に言われるままに、渡された鉱石を握り魔力を流し込む。

 すると鉱石はパーッと光った。受付嬢はなぜか眼鏡をかけ、俺たちの持っている鉱石をじっと見て何かを紙に書き記していく。そして、受付嬢の合図で魔力を流し込むのをやめると鉱石は急に光らなくなった。鉱石を見つめていた俺たちに眼鏡をはずしてしまった受付嬢が「これで終わりです。少々お待ちください。」と言って鉱石を回収してギルドの奥に消えていった。


 再び戻ってきた受付嬢は、今度はカードを二枚持っていた。

 そして、俺とエスフィーにそれぞれ渡す。

 

「これであなたたち二人は冒険者です。すでに冒険者の方と一緒におられるみたいなので、冒険者についての詳しいことは、先輩に聞いてくださいね。それでは、これから冒険者として頑張ってください。」

「はい。」


 俺とエスフィーは一度顔を見合わせて、声をそろえて答えた。これで晴れて冒険者だ。

 俺たちが冒険者登録を終えると、サーシャが戻ってきた。


「冒険者登録終わったみたいだね。なら、出ようか。」

「えっ、クエスト見て受けたりしないのか。」

「よさげなのいくつか見繕ってきたから。」


 俺たちは無事に冒険者登録を終えて、ギルドをあとにした。

 ギルドを出てから、宿をとって部屋に入る。俺は、聞きたくてしょうがなかった冒険者カードのことをサーシャとミラに聞く。冒険者カードには自分のステータスとランクが表示されるみたいだ。そして、ランクはクエストをクリアしていくと上がる。だが、俺が思ってたのとは違った。この世界では、冒険者のランクは星の数が多いほど高いらしい。星の数が百を超えるとギルドからいろいろと支援を受けられるらしい。あと、カードには冒険者の禁止事項が書いてあり、サーシャとミラにしかっりと覚えておくようにとくぎを刺された。

 覚えるのは得意ではないが、ちゃんと覚えないとな。憧れだった冒険者になったのだから。



 


 

 

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