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クンレン

 手早く準備を整えた私達は馬車を駆りレブリック伯爵領の領都へ向かって出発した。


 最近は帝都を中心に活動していたが、今回の件への対処の為に、より王国に近いレブリック伯爵領へ移動する事にしたのだ。


 ファンネル商会の事は商業ギルドへは報告していない。


 商会に忍ばせている間者からの報告以外に証拠も無いからだ。

 間者からの情報だけでは正式に告発する事は出来ない。

 仮令(たとえ)それで調査が入る事になっても末端を切って終わりだ。


 それに私が苦労して育てた商会を食い物にしている愚か者共は、私の手で叩き潰したい。


 その辺りの思惑も有り、私は商業ギルドとは別口で動く事に決めた。

 その内、商業ギルドの情報網に引っかかるだろうが、問題は無い。


 帝都からレブリック伯爵領へ向かう道中、治安の良くない領地に差し掛かった頃、私達の馬車の前を塞ぐ様に街道に丸太が転がされていた。


 ミレイが馬車を停めると、茂みの中から薄汚い男達が馬車の退路を塞ぐ様に現れた。


「また野盗か」


 帝都に向かう時にも絡まれた。

 この領地は些か野盗が多すぎるのではないだろうか?

 いくら領主の領内の管理が杜撰でも、冒険者は地域住民からの依頼や商人からの依頼で野盗を狩る。

 こんなにも野盗が居付くなんて、裏で領主と繋がっていてもおかしくない。


 そんな事を考えながら3人目の野盗を斬り捨てる。

 視界の端ではミーシャが短剣を振るい野盗の首を掻き切っていた。


「ま、まて!待ってくれ!降参だ!降参する!」


 残り4人になった野盗が武器を捨てて両手を上げていた。


「降参ねぇ……同じ事を言った商人に貴方達がどうしたのか思い出してみたら?」


 私がそう言うと、野盗達は顔を青ざめさせた。

 コイツらの遣り口や動きから、コレが初めてと言うわけではない事は明白だ。


 ミーシャも涙を流しながら命乞いをする野盗達を冷めた目で見ている。

 ミーシャの両親も野盗によって殺されたと聞く。

 初めての盗賊戦では動揺していたが、1度経験を積むと、ミーシャは容赦なく野盗を殺せる様になっていた。


「エリー様、いかが致しますか?」


 いつもより低い声でミーシャが尋ねる。


 私は4人の内、そこそこガタイの良い野盗を指さした。


「ミーシャ、コイツ以外は要らないわ」

「はい」

「な⁉︎がばっ!」


 それに驚いた野盗の1人の喉にミーシャの短剣が突き立てられる。


「ひっ!」


 背を向けて逃げ出そうとした野盗の背中に投擲された短剣が突き刺さり、腰が抜けたのか、その場に崩れ落ちた野盗の首を素手のミーシャがゴキリと捻った。


 流石は獣人族だ。

 まだ小さなミーシャだが、野盗の首は不自然な角度を向いており、口からは泡を吹いていた。


 さて最後に1人、残しておいた野盗にはやって貰う事がある。


「ルノア」

「ひゃい!」


 馬車に隠れていたルノアを呼ぶと恐る恐る此方へとやって来た。


「ルノア、帝都を出る前に話したわね。

 覚悟は良い?」

「は、はい!だ、大丈夫です!」


 ルノアは将来、立派な商人になりたいらしい。

 その為に色々と勉強しているのだが、一人前の商人になる為には乗り越えなければならない事柄が幾つもある。

 今回、レブリック伯爵領への移動の際にその内の1つを済ませてしまおうと思ったのだ。


 別にそういったルールが有る訳では無いが、コレをクリア出来ないなら、私はルノアを一人前の商人として認めるつもりは無い。


 ルノアが私達の所まで来ると、私は捨てられた武器を拾い野盗へ手渡した。


「この子を倒せたら見逃してあげるわ。

 この子が死ぬか、負けを認める、手足を斬るなりして戦闘の続行が不可能になればあなたの勝ち。

 何処へなりと消えると良いわ。

 それ以外、逃げ出そうとしたり戦わなかったりした場合は直ぐに首を刎ねるからそのつもりで」

「はぁ⁉︎」


 驚く野盗を無視してルノアに向き直った私は優しく頭を撫でる。


「貴女の実力なら問題なく倒せる筈よ。

 躊躇せずに殺しなさい。一人前の商人になるなら自分の身を守れる事は必須だからね」

「はい!」


 今までゴブリンや適度に弱らせたオークなどと戦わせた事はあったけど、人間の相手をさせるのは初めてだ。

 此処で人を殺せない様では危険な行商の旅になど出す事は出来ない。

 その場合はトレートル商会の鑑定士として安全な場所での仕事をさせる事になる。


 ルノアが愛用の杖を取り出して構えるのを見て、野盗も剣を構えた。


 ああは言ったが、勿論ルノアが殺されるのを黙って見届けるつもりなどさらさら無い。

 本当に危なくなったら直ぐ様野盗を殺すつもりだし、ユウの店で買った上等なポーションも用意している。


 コレはあくまでもルノアの為の実戦訓練だ。


 私が少し離れたのを見て、ルノアと野盗が戦い始めるのだった。

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(・ω・)ノシ

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