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カンテイ

 私は金貨の中に仕込まれていた黒いかけらを観察する。

 鉱石の様にも見えるが、所々がボロボロに砕けて粉末になっていた。


「ルノア、この芯材は何が分かる?」

「す、すみません、私の鑑定魔法ではそこまでは分かりませんでした」

「そう」


 鑑定魔法にはいくつか種類がある。

【鉱石鑑定】や【植物鑑定】などの専門に特化した鑑定や【生物鑑定】、【能力鑑定】などの幅が広い物も有る。

 ルノアの【物品鑑定】はかなり幅広く鑑定出来る希少な魔法だ。


 ただし、どの鑑定魔法でも共通であるが、未知の物を鑑定する事は出来ない。


 鑑定魔法とは、自らが持つ知識から対象の情報を見抜く魔法なのだ。

 つまり鑑定魔法を使いこなすには、相応に幅広い知識が必要になる。

 この場合、鉱物や金属に関する知識が足りなかった為、ルノアはこの芯材の正体を見抜く事が出来なかったと言う訳だ。


 ルノアが鑑定出来ないなら仕方ない。

 この芯材に関しては後回しだ。


「ミレイ、ルノア、至急鑑定士を集めて商会が保有する金貨の真贋を確かめて」

「畏まりました、方式はいかが致しますか?」

「全数……と言いたいけど無理な話ね。抜き出し検査で偽金貨が見つかったら細かく調べて頂戴。

 それと、偽金貨の流通ルートを追って」

「はい」

「分かりました」

「ミーシャは馬車の手配と商業ギルドへ先触れを。

 緊急で重要性の高い話だと伝えて置いて」

「はい」


 それにしても妙な偽金だ。

 この様な偽金は通常ならあり得ない。

 私は両断していない偽金貨を手に取り改めて観察する。


「変ね」

「そうですね」

「変ですか?」

「?」


 首を傾げる私とミレイに、ルノアとミーシャは不思議そうな顔をする。


「変よ。この偽金貨……手が掛かりすぎているわ」

「えっと……どういう事ですか?」

「ルノア、偽金貨はどの様に使われるか分かるかしら?」

「え?偽金なんですから、本物の金貨より安価な素材で作って、金貨として使用してその差額で利益を得るのでは?」

「そうよ、普通はね」


 私の答えにますます首を捻るルノアとミーシャに説明する。


「帝国金貨には偽造を防止する為の細工がいくつも有るわ。

 有名な物から、ごく一部の人間しか知らない物までね。

 この偽金貨は見たところ、それらを完璧に模倣しているわ。

 これだけの細工を調べる手間や、加工する設備、細工出来る人材を揃えるにはかなりの資金が必要よ。

 それにこの金貨に使われている金の比率はかなり多い。

 芯材にこの黒い鉱物を使っている分、使用される金の量は減っているから、本物の帝国金貨に比べると安価だけど、金としての価値で言えばそこまで下がっていないのよ」

「つまりこの偽金貨はそれなりに価値のある偽物って事ですか?」

「ええ、これだけ精巧に偽造する手間を掛けて作った偽金貨の価値だと考えると割に合わないのよ。

 この金貨を使って利益を得るには相当量をばら撒かないと不可能なのよ」


 ミレイが私の説明を引き継ぐ。


「そんな量の偽金貨を用意するとなると、初期費用も莫大な金額になります。

 仮に用意出来たとしても、そんな大量の偽金貨を不自然なく使用する方法が有りません」

「そんな金額の取引をするとなると、帝国政府か大商人でしょうけど、そう言う大きな取引には鑑定士を同席させるのが普通だから、リスクが大き過ぎるわ」

「ですから出回る偽金貨とは、鉄製の物に金メッキを施した物など、かなり雑な物が多いのです。

 そう言った物を田舎の小さな商店などで使い細々と利益を得る犯罪者がほとんどです」

「ではなぜこんな偽金貨が?」

「そうね………………予想だけど、これは他国からの帝国への経済攻撃だと思うわ」

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(・ω・)ノシ

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