月と魔導書③
書籍版ブチ切れ令嬢、hjノベルス様より、本日発売です。
(`・ω・´)ノシ
炎と岩が同時にイーグレットに襲い掛かる。
【蒐集開放】は【暴食の魔導書】の奥の手だ。
魔導書のページを破り取る事で私の神器に記録されている魔法を発動させる。
この方法なら複数の魔法を完全に同時に発動出来る。加えて、魔法を発動する為の魔力も消費しないと言うオマケ付きだ。
ただし、一度【蒐集開放】した魔法は魔導書の記録から削除されてしまう。
「【蒐集開放:風刃】【蒐集開放:炎刃】【蒐集開放:雷刃】【蒐集開放:岩刃】」
「ちっ! 【三日月の夜】」
四方から放たれる各属性の刃の同時攻撃を神器を切り替え、【炎刃】を斬り払う事で躱す。
「厄介だね、その能力はおそらくコピーした魔法を消去する代わりに発動時の連射の制約を無視できるってところかい?」
「黙りなさい」
「っ⁉︎」
イーグレットは足下に落ちている紙切れに気づく。私の【暴食の魔導書】の1ページだ。
「【蒐集開放:神の雷】」
「ぐぅうぅ⁉︎」
「加えて破り取ってから発動のタイミングは私の自由よ」
雷を受けて動きを止めたイーグレットの懐に踏み込み、肘を打ち、掌底で顎を狙うが、顔を逸らして避けて反撃にと蹴りを受ける。弾き飛ばされた私だが、受け身を取り直ぐに体勢を立て直して【縮地】でその場を離れる。すると間髪を入れず私が立っていた場所の床が砕け散る。
見ればイーグレットが地面に叩きつけたハルバードを振り上げた。また別の能力か。おそらくユウと同系統の能力。純粋に破壊力の高いタイプだろう。
「はっは!」
イーグレットはニタリと笑みを浮かべて砕けた床石を蹴り上げ、手にしたハルバード型の神器で砕き、無数の礫を飛ばす。
私への射線を塞ぐ様に氷柱を造り礫を防ぐが、イーグレットは放った礫を追う様に駆け、鉄を上回る硬度の私の氷を神器の一振りで砕いた。
不味い! 間合いに入られた。この距離では魔法より武器の方が早い。
神器を持つイーグレットの腕が掠れるのを目にして、体は反射的に防御に動く。だが、今は防御に使える様な剣を手にしていない。それ故の失敗。他に方法が無かったとは言え、私は判断を間違えた。
「これは悪手だわ」
私が咄嗟に掲げた【暴食の魔導書】にイーグレットのハルバードの刃が突き刺さっていた。




