女神の代行者③
左腕の痣が半身にまで広がり、引き出された女神の力の片鱗が魔力となり、凝縮し私の背中で二対四枚の白い翼となり、更に余剰魔力が頭上で光り輝く輪となって浮遊する。
「お待たせしたッスね。さぁ、戦いを再開するとしましょうか」
「ああ、二対の翼に加えて聖輪まで顕現させるか。スーリスでさえ魔神との決戦で力を振り絞り可能だった事を、こともなげになすとは、私は貴殿を少々甘く見ていたようだ」
「いやいや、女神様の力は矮小な人の身には余る物ッス。私もこの状態はあまり長くは持たないので油断していてくれて良いッスよ」
私の諧謔を無視してアルトロスはその姿をかき消す様に背後に回り込み、魔法武器《全一》を振り下ろす。
しかし、その剣は金属の様な音を立てて翼で受け止めた。
この翼は女神様より与えられた莫大な魔力でできているので、ある意味では神器の様な物だ。そう簡単には斬り裂く事は出来ない。
私は翼を震わせると、無数の羽根を雨の様に飛ばす。
「くっ⁉︎」
アルトロスは腕を交差させて急所を守るが、この物量を全て防御する事など不可能。
その上、この羽根一つ一つが聖属性の中級魔法並みの威力が有る。
私は【神の恵みを刈り取る刃】を手に翼をはためかせ、アルトロスの方に突進した。アルトロスは咄嗟に地面を砕き上空に跳び上がるが、私も翼を翻して羽ばたき後を追う。
アルトロスと交差する際に大鎌を振るい、奴の脇腹を斬る。
胴を真っ二つにしてやるつもりだったッスけど、流石の反射神経ッスね。
アルトロスは自身で治癒魔法を施しているが、どうやら彼の本来の適正属性は闇属性らしく、治癒力は大した事はない。
アルトロスが回復している間に攻撃するべきか悩むが、あまり時間も無いので此処は一気に畳み掛けるッスか。
私は【神の恵みを刈り取る刃】を振るい、私の周囲に舞う羽根を斬り裂いて行く。
強力な魔力が込められた私の羽根から神器に大量の魔力が流れ込んできて、大鎌に蓄えられている魔力が限界を迎えた。
それでも羽根から魔力を吸収すると、私の真っ白い大鎌が黒く染まる。そして全体が真っ黒に染まった大鎌を数回振り回して感触を確かめる。
これを使うのは久しぶりッス。
私の白い大鎌の神器は不完全な物。完全な状態にするには私の魔力が足りないのだ。
故にあの神器は他者の魔力を吸収する能力をもっていた。
だが女神様の力を借り受けた今、こうして真の力を使う事が出来る。
「神器【神に供物を捧げし刃】」
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