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女神の代行者①

 大鎌と剣。一撃一閃がお互いの命を奪うのに十分な力を持つ攻撃の応酬を交わしながら王宮の中庭まで直進して来た。道中の壁やら柱やらを斬り裂きながら走ったので少し倒壊してしまったけど仕方ないッスよね。

 悪いのは全部アルトロスって事でオッケーッス。

「私は伯爵二位アルトロス・イザリース。女、以前は名を聞いていなかったな」

「……イブリス教枢機卿ティルダニア・ノーチラス」

「ティルダニア。お前は何故戦う」

「はぁ? こんなあからさまな悪事を見逃す訳ないじゃないッスか」

「悪事か……私は私の目的の為に行動している。その為に悪事を為さねばならないなら迷いはしない」

「目的ッスか。《冥界の夜明け》の目的なんて人間界の支配だったッスね」

「《冥界の夜明け》など人間界に来る為に利用したに過ぎない」

「別の目的が有ると言うんッスか」

「ああ、私の目的は魔神を封印する為に残ったスーリスを取り戻す事だ」

「スーリス? イブリス教の聖女スーリスの事ッスか⁉︎」

「そうだ」

「1500年前の人物ッスよ。とっくに死んでるッスよ」

「精霊城は時の流れの外に有る。生きている可能性は十分に有るさ」

「でもそれをすれば魔神が復活するんッスよね」

「彼女を取り戻せるならその様な事は些事だ」


 ああ、コレはダメッスね。

 絶対に譲らない目をしているッス。

 私だって悪魔にも友好的な存在が居る事は知っている。

 以前、問答無用で攻撃したのはアルトロスが《冥界の夜明け》のメンバーだと思ったからだ。

 《冥界の夜明け》ではないなら和解も視野に入れるつもりだったが、無理そうッス。

 イブリス教の聖女と悪魔がどんな関係なのかは置いておくとして、諦めて魔界に帰ってくれないものッスかね?


「まぁ、無理っぽいッスね」

「私は退くつもりは無いさ」


 私は大鎌を、アルトロスは剣を構え、睨み合う。

 少しの間静寂が流れ、瓦礫が落ちる音を合図に大鎌と剣が撃ち合う音が再び鳴り始めた。

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