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黒き戦斧③

 わたしの渾身の一撃は周囲の建物を倒壊させた上、地面には大きなクレーターを作りました。


「仕留め損ないましたか」


 魔力を感じる方に振り向くとギリギリで躱したスカーレットが立っています。

 しかし、無傷と言う訳では有りません。

 左肩から深い裂傷が走り、鮮血を撒き散らしていました。


「謝るわ。確かに私は貴女を侮っていた」


 スカーレットの傷口から噴き出る血の勢いが弱くなりました。

 治癒魔法では有りませんね。おそらく魔力で傷口を覆った応急処置でしょう。

 その姿は満身創痍。ですが、先程までの戦いを楽しむ雰囲気は消え去っており、優雅さや妖艶さが成りを潜め戦士として一分の隙もなく構えています。


「さっきので仕留められなかったのは痛いですね」


 これは叩きのめして【転移】を使わせると言うのは無理そうです。

 スカーレットの顔は覚悟を決めた者の顔です。わたし達の何方かの命が尽きるまで戦う気でしょう。

 わたしはスカーレットから目を離さない様にしながら、足下に転がっていた《影縫の刃》を蹴り上げて左手に取ると、そのままマジックバッグにしまい、別の武器を取り出しました。

 その武器は鮮やかな翠の刃を持つ鉈です。

 これも当然魔法武器で銘は《雷鳴の鉈》。

 左手では《雷鳴の鉈》を逆手に、右手では【終結の戦斧】を短めに持って肩に担ぐ様に構えます。


「しっ!」


 身を低くしたスカーレットが、地面を滑る様に間合いを詰めます。

 スキルの【縮地】とは違う奇妙な歩法です。

 《雷鳴の鉈》から放たれた紫電が走り、スカーレットを迎え撃とうとしますが、あの妙な歩法は何と雷を全くスピードを落とす事なく避けたのです。

 肩に担いでいた【終結の戦斧】をクルリと回して地面を削る様に振るいます。

 砕けた石畳が礫となってスカーレットに向かいます。

 攻撃速度でダメなら面制圧です。


「【転移】」


 スカーレットが転移魔法を唱えました。

 また背後に回るつもりか!と振り向きそうになりましたが、スカーレットが転移したのは自分の1メートル前方。瓦礫の礫を飛び越える様に転移したのです。


「この!」


 横薙に振るった【終結の戦斧】。完全に捉えたと思いました。しかし……。


「【転移】」


 今度はわたしの攻撃をすり抜ける様に一瞬の転移を行ったのです。


「死ね」


 スカーレットのタルワールがわたしの首を刈り取ろうと振るわれますが、そう簡単にわたしの首はあげられません。

【終結の戦斧】を消し、間を置かずに直ぐさま再生成。

 タルワールを受け止めたわたしは、カウンターで《雷鳴の鉈》を振るいますが、身を翻して躱し、同時に蹴りを放って来ますが、これはわたしも蹴りで受け止めました。

 お互いに跳び退がり再び睨み合いの格好になります。

 あの攻撃をすり抜ける様な短距離転移は厄介ですね。コスパも良さそうですし。

 仕方ありませんね。奥の手を使うしか無さそうです。

 《雷鳴の鉈》を手離したわたしは、マジックバッグから1本の薬を取り出しました。


「すみません、エリーさん。わたしは此処でリタイアです」


 アリスちゃんの事はエリーさんが如何にかしてくれると信じるしか有りません。

 わたしは、取り出した薬瓶の蓋を指で弾き開け、一息で飲み干しました。

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