風と炎①
お久しぶりです。
ご報告も無い長期休載でご心配をおかけしました。
m(_ _)m
少々スランプ気味で筆が止まっていましたが、本日より不定期ながら更新を再開していきたいと思います。
また、皆様の応援のおかげで本作は【HJ小説大賞2021前期】を受賞させて頂く事が出来ました。
これからも応援よろしくお願いします。
エリー姉様と分かれたボクは、オーキスト殿下やルーカス辺境伯が率いる帝国の騎士団や少数の子飼いの手勢と共に、ナイル王国の王都に溢れる悪魔や魔物を排除していた。
「ふっ!」
風を纏ったボクの拳が鎧を身に着けた下級悪魔を吹き飛ばす。
爵位も無いこの程度の下級悪魔や使役されるレッサーデーモン程度では苦戦することなく討伐を進めていた。
ボクの部下は少ないが、帝国騎士と比べても負けない活躍をしている。
ボクが居なくなった後の事を考えると、此処で使える所を見せておく事が彼らの為になるだろう。
「ちっ、人間どもが!」
「【風刃掌】」
破れかぶれになって突っ込んで来る悪魔を周囲のレッサーデーモンごと引き裂いたボクに、ルーカス辺境伯が声を掛けた。
「アデル陛下、敵影が濃くなっています。
包囲される前に一度、離脱しましょう」
「分かりました。オーキスト殿下は?」
「騎士を率いて離脱中です」
視線を向けると自ら剣を手に、包囲を突破しようとしている姿が有った。
大陸を二分する……いや、王国が滅亡するのだから大陸のトップに君臨する、か。
そんな大国の皇太子が自ら危険な最前線に立つとは、まぁ、ボクも似たようなものか。
「ボクはオーキスト殿下の離脱を援護します。ルーカス卿はボクの手勢と離脱を」
そう提案したが返って来た答えは否だった。
「そう言う訳にはいきませんね」
「危険ですよ」
「はは、仕方ないでしょう。それにアデル陛下の騎士達も退がる気などは到底無さそうですよ」
ルーカス辺境伯の言葉を肯定する様に選抜して連れて来た精鋭達が肯く。
彼らの先頭に立ったオルトがそのオオカミの耳をピンと立てて、代表する。
「アデル陛下が戦うと言うならそこが俺たちの戦場だ」
彼は背後から襲い掛かろうとした魔物を視線を向ける事も無く、手にした槍で貫いた。
「良い配下をお持ちですね」
「…………ええ、本当に」
「ではお付き合い致しましょう」
「ルーカス卿も苦労する性格をしていますね」
「……自覚はありますよ。特にエリー殿と出会ってからは」
「ふふ、エリー姉様は昔、お淑やかで淑女の見本なんて言われていたんですよ?」
「想像できませんね。私が大使になってそうしない内にあの事件が起きましたもので」
「まったく、バカな兄がやらかしさえしなければ……今更ですが」
ボクとルーカス卿はお互いの諧謔に頬を緩めたのも一瞬に、魔力を凝縮して神器を手にするのだった。




