エルザの剣④
【不死鳥の焔】は、本来なら身に纏い体を強化する【不屈の大剣】で増幅された魔力を、再び体内に取り込む事で人外の自己治癒能力、身体強化能力を得る技だ。
当然、そんな膨大な魔力を体内に入れるのは相当なリスクを負う事になるが、この状況を切り抜ける為なら、この程度のリスクは飲み込む必要が有るだろう。
溜め込んだ魔力を放出した【不屈の大剣】をカバーする為に魔力密度を高めて長剣サイズに凝縮する。
「グゥウウ!!!」
尾を切断されてのたうち回っているマンティコアへの追撃を遮る様に竜種が割って入る。
更にもう一体の竜種が蠍を背に乗せて私の頭上をとった。
「ふっ!」
ブレスを吐こうとする竜種の下顎を斬り落とし、口内から頭に向けて剣を突き出し、息の根を止めるのと同時に、頭上の竜種から高熱のブレスが降り注ぎ、私の身を焼き尽くした。
しかし、青い炎となった私は、ブレスを駆け上り蠍の姿が見えた場所で体を再生する。
「この化け物め!」
蠍が魔法武器を突き出すと、勢い良く飛び出した刃が私の胴を貫くが、そんな物は意に介さず竜種に斬撃を与え、更に腹に刺さった刃を掴み思いっきり引き寄せた。
「くそ!」
蠍は咄嗟に魔法武器を手放すが、その身は宙に投げ出される。
「貰った!」
真っ二つにするつもりで剣を振る。
「マンティコア!」
「グル!」
剣が蠍に届く寸前、マンティコアが爪を振り下ろし、私を弾き飛ばした。
その威力と鋭い爪で私の体はバラバラに四散するが、次の瞬間には炎の中から復活する。
「【不死鳥の矢羽】」
再生の炎を矢に変えて放つ。
魔力の塊で有るこの矢は大きさに見合わぬ威力を持つ。
コレを全身に浴びたマンティコアは大きく態勢を崩した。
「【不死鳥の炎槍】」
そこに炎を纏わせた【不屈の大剣】を投擲する。
流石のマンティコアも、避ける事は叶わず、胴を貫かれ地面に縫い止められる。
「今だ!殺れ!」
武器を手放したのを隙と見たのか、蠍は最後の竜種をけしかける。
だが、迫る竜種の牙を掴み止めた私は、その牙をへし折り手刀を叩き付け、蹴りで脳天を蹴り砕く。
「バカな!竜種を素手で⁉︎」
着地した私は、マンティコアの体から剣を抜き、首を落とした。
「くっ」
蠍は短剣を取り出したが、その腕を瞬時に斬り落とした。
「ん?ああ、魔導義手か」
斬り落とした腕から血の一滴も流れないのでおかしいと思ったが、義手だったようだ。
そう言えば以前ティーダの神器で腕を斬り落とされたのだったか。
「さて、コレでおわりだな」
「ま、まて!」
蠍の言葉に止まる筈もない。
私は黙って剣を振り抜いた。




