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前哨戦③

 アデルやオーキスト殿下達と別れた私は、少数の精鋭を率いて王城を目指して駆けていた。

 騎士も居るが。そのほとんどは冒険者だ。

 これは、騎士より冒険者の方が優れていると言う訳ではなく、ナイル王国の王城内での遭遇戦を想定しているが故の編成だった。

 行動範囲が制限され、物陰からの不意打ちも考えられる室内戦では、ダンジョン探索などの経験がある冒険者の方が一日の長がある。


 王城の門の前には門番の様にアースドレイクが寝そべっていたが、接近する私達に気付き身体を起こそうと動き始めた頃には私が手にするフリューゲルによってその首は切り落とされていた。


 門は鉄とエルダートレントの木材を組み合わせて、魔法を付与した頑丈な物だったが、私が魔法的な防御を解除し、ユウが数回、戦斧を叩きつけると一部が砕け、更に数回戦斧を打ち込むと、轟音を立てて門は半壊してしまった。


「っ⁉︎」


 私が手を挙げて止まる様に指示を出す。

 門から王城までの間に見知った人影が有ったからだ。


「グレン、オウル」

「本名はグレナムだ。こっちら梟」

「興味無いわね」

「そうかい」

「そこをどいて」

「嫌だと言ったら?」

「殺すわ」


 私とグレナムが睨み合うが、フクロウが気にせずに遮った。


「グレナム、殿下はアレを使うと言っていたよ」

「ああ、そうだったな」

「アレ?」


 グレナムと梟が言う『アレ』とやらが何かは知らないが、碌なものでは無いだろう。


 ユウやエルザとアイコンタクトを交わして畳み掛けようと足に魔力を通した時だった。


 どこからともなく降って来た何かが、私とグレナム達の間に土煙を上げたのだ。


「な、何?」

「ああ、アレだよ」


 グレナムが皮肉な笑みを浮かべて肩を含めた。

 風が土煙を散らすに連れて、落ちて来た何かの姿が明らかになる。

 影の様だった輪郭が形を作り、土煙が晴れたその姿。


「エ、エエエリザート、お、おおおれは……」

「…………フリード?」


 私のかつての婚約者フリード・ハルドリアだった。

 しかし、様子がおかしい。

 私の事は認識している様だが、左右の目は別の方向に向けられており、口はニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。


「感動の再会ってやつだな」


 何故かグレナムの声が場違いな空気の中、良く響いていた。


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