砂の城にて
ハルドリア王国でアリスが拐われる一月程前、ナイル王国に悪魔が出入りしている事に気付いたティーダ達は、悪魔達の狙いを探る為、ナイル王国に近い場所に野営しながら様子を伺っていた。
「やっぱりおかしいッスね。悪魔の姿は見えますが、人間の商人や冒険者の出入りが少な過ぎるッス」
ナイル王国からユーティア帝国やハルドリア王国に向かうには危険な荒野を抜ける必要が有るが、ナイル王国の街や近くの小国へは比較的安全なルートが有るので、それなりに人の動きがある筈なのだ。
「それって〜やっぱり〜………まぁ、良いや」
「いや、良くないッスよ!中で悪魔が何かやってるに違いないッス」
その後、ティーダは冒険者ギルドの職員ジョンと共にフラウを説得し、ナイル王国の王都から少し離れた谷に隠す様に砂の城を作って貰い、腰を据えた監視を始めると共に、大神殿に聖騎士団の派遣を依頼していた。
その後も悪魔の動きを監視していたのだが、ある日、フラウと食事を摂っていると、地響きと共に強大な魔力の放出を感じた。
「な、なんッスか⁉︎」
「凄い魔力なの〜」
そこにジョンが飛び込んで来る。
「た、大変です!フラウ様!ティーダさん!」
「ジョンさん!」
「と、とにかく外へ!」
ジョンに促されたティーダは、フラウを引っ張ってバルコニーに出た。
そこで見た物は、黒い光に包まれるナイル王国の王都と、そこから伸びる黒い光の柱、空を引き裂く様な罅だった。
「あ〜取り敢えず〜」
フラウは砂で長椅子や椅子、テーブルを作り出し、長椅子に寝そべった。
「紅茶〜淹れて〜」
「フ、フラウ様!今はそれどころじゃ……」
「私、砂糖は3つお願いするッス」
椅子に腰掛けたティーダも追随する。
「ティーダさんまで!」
「まぁ、落ち着いて下さいッスよ、ジョンさん。
コレは最早慌てた所でどうにかなる様な物ではないッス」
一周回って落ち着いたティーダの様子に、ジョンも諦めた様に紅茶を用意するのだった。




