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アデルvsブラート

 アデルはブラートに近づいて行く。


「アデル、これは貴様がやったのか?」


 ブラートは周囲に残る血の跡を見遣り問う。


「はい。彼らは忠義者でした。

 高位士官は誰一人貴方を裏切らなかったよ」

「アデル!何故こんな事を!」

「何故?それは此方のセリフです。

 父上、何故こんな戦いをするのですか!

 確かに貴方は好戦的ではありましたが、こんな馬鹿な真似をする人ではなかった筈だ!」

「全ては国の為だ!俺は王国を守る為、王国の発展の為に戦っている!」

「この戦いの所為で王国が滅びようとしている事が何故わからないのですか!」


 アデルとブラートの言い争いは平行線をたどり、一向に交わる事は無い。


 そしてついにアデルはため息を吐き出しブラートとの間合いを測る。

 ブラートもそれに気付き、纏う空気が戦の気配を匂わせ始める。


「最後だ、ブラート。ハルドリア王国第54代女王アデル・ハルドリアの名に於いて命ずる。抵抗を止め、速やかに降伏せよ」

「戯言を抜かすな小娘が。貴様の戴冠など認めていない」


 睨み合う2人の間に渦巻く魔力によって、周囲の机や棚が砕け、崩れて行く。

 棚に収められていた資料が落ち、音が響いた瞬間、アデルが疾風を、ブラートが紫電をその場に残して姿が掻き消える。

 一拍の間を置いて天幕が風の刃で粉々に砕け、雷が焼き尽くす。


 天幕が有った場所の上空でアデルの拳とブラートの拳がぶつかり合う。


 ブラートが繰り出す拳をアデルはそっと自分の手を添えて受け流す。

 片腕を失ったブラートは攻めきれず、アデルは懐に入り込む。


「【風華:神風】」

「ぐばぁ!」


 アデルがブラートの胸に添えた手から放たれた衝撃はブラートの体内で暴れ回る。


 口から血を吐き出したブラートは膝を突く。


「その腕、エリー姉様にやられたのですよね?

 魔力も殆ど残っていない。今の貴方は万全とは程遠い。ボクには勝てないよ」

「ぐぅ……」


 ブラートは立ち上がろうとするが、直ぐに崩れ落ちてしまう。


「拘束しろ!」


 アデルが指示を出すと控えていたオルトとフロンテが魔封じの枷を手に歩み寄り、ブラートの魔力を封じて拘束した。

 その後、連行されるブラートの後ろ姿を見ながらアデルは呟く。


「父上、何故こんな事を……」


 ブラートの行動は何処かおかしい。

 短絡的で粗暴な所は有るが、王としては善性の人間だったはずだ。

 それに側にはジークも居た。

 だが、要所要所での判断ミスが王国をこれ程の危機へと導いている。


「一体何が……」

「アデル陛下!」


 アデルが考え込んでいると1人の兵士が平伏して報告する。

 下級の伝令兵らしく、革鎧と兜を身に着けた特徴の無い男だ。


「ご報告します。撤退の用意が整いました」

「そうか、では全ての兵を撤退させろ。国境まで後退する」

「はっ!」


 命令を出したアデルは神器である羽織を翻しその場を後にした。


 それを見送りながら伝令兵は1人、口を歪めて不気味な笑みを浮かべる。


「御下命、賜りましただよ」


 伝令兵の格好をした男、百足はアデルの命令を伝える為に軍令本部へと向かって走り出した。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定も基本の流れも面白い [気になる点] アデル側にも共感出来ないのと、余計なシーンや第三勢力、相手に逃げられると言った引き伸ばしに見える要素が多くて作品の軸がぶれてるように感じる。商会要…
[良い点] 面白さはあるので、ここまでは読めた。 [気になる点] 復讐の目標のうち、ここまでの話しで、 親父にしかちゃんと復讐できてない印象しかなかったです。 印象なのですいません。 [一言] 結局同…
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