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決戦⑥

「っく⁉︎」


 ゆっくりと近づいて来たブラート王は、消耗して足に力が入らない私の前に立ち紫電を走らせる神器を頭上に掲げた。


「さらばだ、エリザベート」


 振り下ろされる剣。

 だが私には届かなかった。

 ブラート王の神器は交差させた大剣とシャムシールによって受け止められていた。


「エルザ!イーグレット!」


 剣を止められたブラート王は刃を合わせる2人を排除しようと神器に魔力を込めて雷撃を撃ち出そうとするが、黒い矢の様に飛び込んできたユウの大斧を躱す為に2人から離れ、そこを狙った泥の杭が猛スピードで迫るが、神器の一振りで蒸発させた。


 エルザに支えられた私は、ユウからポーションを受け取り口にしながら立ち上がるのだった。



 ◇◆☆◆◇


 時は少し戻り……。



 私はハルドリア王国兵に囲まれる中、神器【不屈の大剣】を手にその圧倒的な強化能力で殺到する敵兵を寄せ付けなかった。

 私の神器【不屈の大剣】は自らの身体能力を強化するだけの単純な能力しか無い。

 しかし、その強化率は窮地に陥るほど上昇すると言う特異な能力だ。

 周囲を強力なハルドリア王国兵に取り囲まれて居る現状、【不屈の大剣】は秘めたる能力を十二分に発揮していた。


「はあぁぁ!!!!」


 女にしては長身である私が手にしてもなお大きく見える大剣を片手で振り回し、敵を触れる端からミンチに変えて行く。

 私の周囲が血の海となり、むせ返る様な鉄の匂いが満ちる血霧の先で、ユウが腕の立つ騎士の防御を崩し、大斧の神器で盾ごと叩き割るのが見えた。


「ユウ」

「エルザさん、かなりの数に囲まれていましたがご無事でしたか」

「ああ、そっちも相当強い騎士が相手だったみたいだな」

「はい、テオドールさんと言う騎士でした。とても強かったですね」


 ユウが懐から取り出した2本の疲労回復ポーションの内1本を投げ渡してくれる。

 一言礼を言って一息で呷った。

 ポーションは流石の効能で、溜まっていた疲労感がすぅっと消えていった。


 この辺りの敵兵は私とユウが暴れたせいでかなり距離をとってこちらを窺っていた。

 次の行動を簡単にユウと話し合っていると、泥の巨人に乗ったシスティアとエリーの友人のイーグレットと言う商人が姿を見せた。

 2人が泥の巨人から飛び降りる。


「システィアさん、イーグレットさん。其方は如何ですか?」

「悪くはないな。ハルドリアの兵は強いが、報酬分くらいの働きはしたさ」

「こっちもだ。だが、エリーが不味い。

 あの《雷神》と闘っていて、押されている様だ」

「エリーさんが⁉︎」

「加勢に行こう。相手はあの《雷神》だ、エリーでも1人では勝てないかも知れない」


 私の言葉に頷いた皆と共に、雷が降り注ぐ方へと向かって走り出した。

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