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荒野での遭遇

「ゴゴゴゴゴッ!」


 頭上から振り下ろされる岩石を削って作られた棍棒を躱す。


 フリューゲルの再生が完了していれば、それを振るう腕ごと断ち斬る所だが、それにはもう少し時間が掛かる。


「ふっ!【剛撃】」


 私が躱した棍棒を足場に駆け上がったバアルが、全身が岩石で出来た巨大なロックゴーレムに拳を叩き込んだ。

 スキルによって強化された一撃はロックゴーレムを構成する岩石を砕き、中心に存在していた核を露出させた。


【剛撃】は魔力で拳や蹴り脚を強化する単純なスキルだ。

 しかし、単純で有るが故にそのポテンシャルには天井が無く、鍛え上げる事で素手で鋼鉄をも砕ける威力となる。


 バアルの【剛撃】は頑強なロックゴーレムの岩石を易々と砕いたのだ。


 ロックゴーレムは特殊な鉱石が魔力によって変質した核によって動いている。


 生物と言うよりも自然現象に近い魔物だ。


 その行動原理は、生物を襲い殺す事で、死体から魔力を奪おうとするだけで知能などは存在しない。


 地面に転がったロックゴーレムの核に周囲の岩石が集まり再生しようとするが、それよりも早く私の剣が核を斬り砕いた。


「こいつで最後かしら?」

「みてぇだな」


 私達は周囲を見回して、他のロックゴーレムが居ないか気配を探る。


 此処はリースベールから帝都に向かう途中の岩石地帯だ。

 乾燥した荒野の一角に在り、魔力の強い土地柄か、ゴーレムやサンドゴーストの様な自然発生系の魔物が多く存在している。


 そんな場所で数体のロックゴーレムに襲われた私達は、ミレイに馬車を任せて、私とバアルの2人でロックゴーレムを撃退した。


「少し場所を移動して休息にしましょう」

「分かりました」


 ミレイが守っていた馬車には傷などは無く、馬も無事だ。


 戦闘が有った場所から少し進み、バアルに周囲の安全を確認して貰っている間に昼食の用意を始める。


 辺りに散らばる石で石窯を組み、鍋を火にかけ、乾燥野菜や燻製肉を放り込み、塩と多少のスパイスで味を整えた。

 ついでに火のそばでパンを温めておく。

 同時にミレイは、私が魔法で創り出した水を沸かしてお茶を用意している。


 スープとパンで手早く食事を済ませた私達は、食後のお茶を飲みながら地図を広げていた。


「3分の1くらいは進んだわね」

「はい、往路と復路でルートを変えましたが、何方もあまり商路として適したルートとは言えませんね」

「そうだな。何処もかしこも魔物だらけだ。

 それもCランク以上の強力な魔物がゴロゴロ居やがる。

 その上、ロックゴーレムや竜種みてぇなのも出るってんだから、戦力の乏しい商人なんかではとてもじゃないが交易なんて出来ねぇだろうな」


 バアルの見解は当然ね。

 ロックゴーレムはBランク、強力な物理攻撃が出来なければ逃げるしか無い難敵だ。


「交易路はいずれ考えないとダメね」


 今後の展開はさておき、この後は岩場を抜けて、Bランクの魔物であるロックバードの生息地らしい渓谷を越えなければ行けない。


 リースベールに向かう時は毒の沼地や、一体一体はDランク程度だが、群れの討伐ランクはAランクに達する事も有るアーミーアントの巣の側を通る事になった。


 渓谷のルートを確認し、休息の跡を片付けようと立ち上がった時だ。岩場の先から異様な気配を感じ、3人同時に視線を向けた。


 すると、岩場の隙間からこちらに猛スピードで走って来る馬車が見えた。


「おいおい……」

「不味いですね」


 それを見たバアルとミレイは顔を顰める。


「バアル!ミレイ!戦闘用意!」


 私は傍に置いていた細剣に手を伸ばした。


 こちらに向かって来る馬車は魔物に追われていた。

 それもただの魔物では無い。


 亜竜種と呼ばれる魔物の一種、ワイバーンの群れに追われていたのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新章待ってました! ティーダちゃんはしばらくお別れなんですね〜 残り4章ほどとのこと、終わりは寂しいですが続きを楽しみにしていますね!(^◇^)♪
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