アリス・イン・ワンダーワールド:ごー・とぅー・ざ・おちゃかい
「お茶会?」
「うん、リリに誘われたんだ」
「リリお姉ちゃんに?」
朝のお勉強の後、ルノアお姉ちゃんに声をかけられた。
リリお姉ちゃんは、ママのお友達のユウお姉さんの弟子の人だ。
「明日、私とミーシャはお仕事がお休みだからリリとお茶会しようって事になったの。
だからアリスちゃんも一緒にどうかなって思ったの」
「私も一緒に行っても良いの?」
「うん、エリー会長が良いって言ってくれたらだけど」
「聞いてくる!」
私は早速ママを探してお屋敷の中を歩き回る。
普段、ママがお仕事をしているお部屋には居なかった。
と言う事はママも休憩しているのだと思う。
「あ、ミレイお姉ちゃん!」
「アリス?」
「ママは何処?」
「エリー様なら書庫に居る筈ですよ」
「ありがとう!」
ミレイお姉ちゃんに手を振りながら書庫へ向かった。
書庫には難しい本が沢山あるけど、絵がいっぱい描いてある図鑑も沢山あるから私もよく出入りする場所だ。
書庫のドアを開くと、窓際の椅子にママが座って本を読んでいた。
「ママ」
「どうしたの、アリス?」
「明日、ルノアお姉ちゃんとミーシャお姉ちゃんと一緒にリリお姉ちゃんのお茶会に行っても良い?」
「お茶会?ルノアとミーシャも一緒なの?」
「うん」
「う〜ん、リリの所ならユウも居るから平気か……うん、良いわよ」
「ありがとう!」
私はママにお礼を言ってルノアお姉ちゃんの所に戻った。
翌日、お昼頃にルノアお姉ちゃんとミーシャお姉ちゃんに連れられてユウお姉ちゃんのお店へやって来た。
ユウお姉ちゃんのお店はママのお店みたいに大通りの大きなお店じゃないけど、貴族様や宮廷からもお仕事が入るすごいお店だとママが言っていた。
「ああ、いらっしゃい」
「「「お邪魔します」」」
お店に入ると、カウンターで黒い髪のお姉さんがお店番をしていた。ユウお姉さんだ。
ルノアお姉ちゃんと同じくらいに見えるけど、もっと年上らしい。
「リリは上に居るからね」
「はい」
ユウお姉さんに見送られてカウンターの横からお邪魔して、奥の階段を登った。
すると、2階の部屋からリリお姉ちゃんが出て来て私達を迎えてくれた。
「みんな、いらっしゃい。お茶会の準備出来てるよ」
「こんにちは、リリ」
「お世話になります、リリ様」
リリお姉ちゃんはブラウンの髪を肩くらいで切り揃えていて、とても明るくて優しい人だ。
「アリスちゃんもいらっしゃい」
「こんにちは、リリお姉ちゃん!」
リリお姉ちゃんは私達をお部屋に招き入れてくれた。
お部屋に入ると、壁一面に沢山の本やお薬の瓶、カラカラになった葉っぱやよく分からない粉が置いてあった。
テーブルには不思議な香りのお茶と沢山のお菓子が用意されている。
「この薬茶はこの前、近くの山で採取した薬草で作ったんだ」
「リリ様が作られたのですか?」
「うん、師匠に教えて貰ったんだ。
お菓子も私が作ったんだよ」
「美味しそうだね。
そうそう、私達もお菓子を作って来たんだ」
そう言ってルノアお姉ちゃんが下げていたカゴからパイやチョコレートを入れたパンケーキを取り出した。
このお菓子は私も一緒に3人で作った物だ。
お屋敷の料理人さんも上手に出来ていると褒めてくれたので、ママやミレイお姉ちゃんにも渡しておいた。
みんなで椅子に座って不思議な香りのお茶とお菓子を頂きながらお喋りをする。
リリお姉ちゃんは、ユウお姉ちゃんに幾つかのお薬をお店で売っても良いって言われて嬉しかったそうだ。
ルノアお姉ちゃんは最近、冒険者のお仕事も始めたらしく、偶にリリお姉ちゃんの作ったお薬を買いに来るらしい。
ミーシャお姉ちゃんは前にお出かけした街で、怖い人に勝てなかったのが悔しかったけど、今は強くなるだけじゃなくて、もっと出来る事を増やそうとお勉強を頑張っていると言っていた。
みんなすごいと思う。
私ももっと勉強して、魔法も沢山使える様になりたいな。