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階級の日

「ティーダ?」

「おや、エリーさんまで居るんッスか」

「ママ!」


 ティーダの背後から小さな金色の影が飛び出して来た。


「アリス!」


 私は駆け寄って来たアリスを抱きとめた。


「エリー会長」


 アリスに続きルノアも姿を見せる。


「ルノアも無事だったのね」

「はい、囚われていた場所から逃げ出した所をティーダさんに助けて貰ったんです」

「そう、ありがとう。ティーダ」

「いえいえ、お礼ならお酒で良いッスよ」

「ふふ、良い物を用意するわ」


 見るとティーダの背後にはルノアと同年代の数人の子供達の姿が有る。


「どうやら拐われた子供達は彼女が助けてくれたみたいね。

 それなら後は……あれを始末すれば終わりか」


 ヒルデはドンドル大司教に一歩近づく。


「馬鹿な!!私は大司教だぞ!!世界の3分の1を支配するイブリス教の大司教だ!

 この中央大陸におけるイブリス教の纏め役で、中央大陸最高位の聖職者だ!!

 貴様ら如きがこの私に逆らって良いと思っているのかぁ!!!」

「ああ、その事ッスか……」


 狂った様に叫ぶドンドルだが、ティーダが冷めた声音で横槍を入れた。


「それなら問題ないッスよ。

 今この時を以て貴方の大司教の地位は剥奪されたッス。

 今の貴方はただの信者……いや、女神様のご意志に逆らう背信者ッス」

「ふざけるな!!何の権限が有ってそんな戯言を……」

「私の権限ッスよ」


 ティーダは首に掛けていたチェーンを引っ張り、シャツの中から聖印を取り出した。


 聖印は聖職者の階級を表す物で、イブリス教内での地位によって材質や文様が変わる。

 ティーダは普段、聖職者の証である魔除けしか身に着けていなかったが、聖印を持っていると言うことはイブリス教内で確固たる地位に有ると言う事だ。


 ドンドル大司教はティーダの聖印を見て目を剥いた。

 いや、ドンドル大司教だけではない。

 私とヒルデもティーダの聖印を見て驚いている。


 ティーダの実力から、ただの無役のシスターではないとは思っていた。

 おそらく、魔物専門の第2聖騎士団か、女神様の意に反する背信者を狩る第12聖騎士団辺りではないかと考えていたのだが、流石にコレは予想外だわ。


「おやおや〜?ドンドル君は私の事、忘れてしまったんッスかね〜?

 3年前に聖都の大神殿で会ってる筈なんッスけどね〜?

 まぁ、しょうがないッスかね。

 私は演説台、ドンドル君は広い聖堂の端っこの方にいたでしょうから、しょうがないッスね〜」

「あ……あ、い、いや……な、何で……何で貴女が……」


 ドンドルは顔を蒼白にしながらガタガタと震えだす。


 ティーダの聖印は一見すると、銀製に見える。

 しかし、その自ら光を発するかの様な特徴的な材質は間違いなく聖銀(ミスリル)の物だ。

 そして、イブリス教の聖職者で聖銀(ミスリル)製の聖印を身につける事が許されているのはたったの5人。


 私はその内、2人には1度だけ会った事が有る。

 別の2人は会った事はないが、姿絵が出回っている有名人。

 となると、ティーダは残りの1人と言う事になる。


「お、お待ち下さい……お待ち下さい!!

 こ、これは何かの間違いなのです!

 私は敬虔なる女神様の僕で……」

「黙れ、背信者が女神様の僕を騙るな」


 ゆっくりとドンドル大司教……元大司教に歩み寄るティーダからは、いつもの陽気さは全く感じられず、冷たく刺す様な殺気を纏っていた。


「ひっ!は、話を……どうか、話を聞いて下さい、猊下!

ティルダニア枢機卿猊下!!」

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(・ω・)ノシ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 実働部隊のトップ辺りかと思ったら更に上だった
[良い点] 四国にお住まいなのですね(・∀・) 東北住まいなのでかなり揺れました……日本の広さを感じます。 深夜にお返事ありがとうございました! 今後も楽しみにしています(^O^)
[良い点] 枢機卿!めっちゃ高ランク!(((o(*゜▽゜*)o))) 「おやおや〜」からのセリフで地震の恐怖が飛んでいきました 笑 被害はありませんでしたか?
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