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オウセン

 この馬車を護衛しているのはレブリック伯爵家の騎士の中でも腕利きだ。

 その騎士達が動揺し、悲鳴の様に『敵襲』と叫んでいる。


 それだけで、馬車を襲った者の異質さを感じるには十分だった。


 私とルーカス様はそれぞれ、左右のドアを破壊する様に外へと飛び出した。


「な、何……これ……」


 そこに居たのは竜種だった。

 だが、私の知っている竜種とはどこか違う。

 大まかにはファイアドレイクなのだが、所々に青い鱗や水晶の様な突起が存在しているのだ。


「見た事がない魔物だが、竜種か?」


 ルーカス様も知らない魔物か。


 初めて見る魔物を観察していると、さっきから感じていた違和感の正体に気付いた。


「この竜種……なんだか歪ね」


 竜種が纏う魔力が不自然なのだ。


 体から放出される魔力の性質が部位によって違う。

 自らの魔力同士が反発する事で異様な気配となっている。


「変異種……か?」

「おそらく……原種はファイアドレイクの様ですけど、此処まで歪な変異種が自然界でよく此処まで成長した物ね」


 普通、この手の異常を抱える魔物は生まれて直ぐに淘汰される。

 まともに成長する事など不可能に近い。

 現に、目の前の竜種は自らの魔力の歪みに錯乱し、周囲の生物に見境なく攻撃しようとしていた。


「このままでは被害が出る!討伐するぞ!」

「仕方ありませんね」

「お前達は退がって非戦闘員を守れ」

「ミレイもミーシャと退がって、バアルは馬を」


 周囲の者達に手早く指示を出すルーカス様の横で私も後続の馬車から降りて来たミレイ達に指示を出す。


 すると、目の前の竜種が私達に狙いを定めたのか、口元に魔力を集めていた。


「ブレスが来るぞ!」


 警戒を呼びかけるルーカス様の声を背に、私は前へと飛び出した。


「【氷壁(アイス・ウォール)】」


 魔法で作り出した氷の壁が竜種のブレスを受け止める。

 しかし、竜種のブレスは強力な火属性の魔力が込められており、私の【氷壁】はみるみる内に蒸発して行く。


「代われ!」


 ルーカス様の声に、私は咄嗟に後ろに跳んだ。


 ルーカス様は私と位置を入れ替える様に前に出る。


「神器【鋭き火種(リアマ・フィロ)】」


 ルーカス様から溢れ出た魔力が凝縮し、一振りの剣へと変じる。


 ルーカス様の神器【鋭き火種】は剣だ。

 フランベルジュと呼ばれる剣に酷似した揺めく炎の様な波打つ刃を持ったその長剣を片手で軽々と振り、感触を確かめた後、両手で握り直し腰ダメに構える。


「【焔斬り】」


【スキル】なのだろう。

 ルーカス様は、氷の壁を融解し迫る灼熱のブレスを斬り散らしながら、竜種へと肉薄する。


「はっ!」


 気合一閃、ルーカス様が長剣を振り切り竜種の足を斬りつけるが傷は浅い。


「くっ、硬いな」

「【氷槍(アイス・ランス)】」


 ルーカス様が離れるのと同時に氷の槍を撃ち込む。

 しかしそれも竜種の鱗に阻まれる。


「通常の竜種よりもかなり防御力が高いですね」

「ああ、それに見ろ」


 ルーカス様が斬りつけた傷は既に出血が止まっていた。


「再生力も高いですね」

「厄介だな」


 此方を威嚇する竜種と対峙し、私は神器を発動させる為、魔力を凝縮するのだった。

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(・ω・)ノシ

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