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26. お祭り散策

続き大変お待たせしました( ; ; )

待っていてくださった方ありがとうございます( ; ; )✨️

 





 宿から出て、少し歩いた噴水広場手前。

 さすが首都というべきか、ここは以前バルドと訪れた場所以上の活気が溢れていた。冷え込んでいるというのにどこもかしこも大賑わい。


 そして至るところに白騎士様と黒龍を模した像が置かれていたり、出店でそれをモチーフとした物が売られていたりとその様子からも大規模なお祭りなのだと実感する。

 美味しそうな屋台や可愛らしいお菓子のお店もたくさん目に入り、どれも惹かれるくらい魅力的でついきょろきょろとしてしまう。


 なんかシノになってから精神年齢が逆に下がった気がするのは気の所為だろうか。

 いやもう気にしない気にしない。


 うわぁ〜と思いながら、街の様子を眺めていると、左手がぎゅっと握られた。


「ほら、はぐれたらバルドに怒られるぞ?お前すぐふらふらどっか行くからな」


「行かないよ!?私をいくつだと思って…!」


「俺より年下」


「なっ…1歳違いなだけじゃん」


 私がムッとした表情を向けると、ぷっと楽しげに笑ったクライブは「まぁまぁ、ほらあっちにシノの好きそうなチョコの店があったからいこうぜ」と言ってそのまま歩き出す。


 (あれ、なんか自然と手繋いだままの流れになったな…?)


 そんなことを思いながらも、自分の手に重ねられたクライブの手は温かくてとても安心する。

 この世界の男の人はさりげなくスキンシップを取るのが上手だ。いや攻略対象だからだろうか。




「わぁ〜仲良しこよしでいいですね〜!羨ましい限りです〜」


 そんなことを考えていると、ゆるい雰囲気で会話に入ってきたのはリアンさん。

 彼の手にはすでに焼き鳥みたいな串焼きが握られている。いつの間に買ったのだろうか。


「いやぁでも、本当に人が多いですねぇ。屋台もたくさん出てるし、楽しみがいがあります!むむっ…これ美味しいですね」


 リアンさんがもぐもぐと咀嚼を終える寸前、彼の頭の後ろからスパーンッッと小気味良い音が響いた。


「いっっっだっ!!!」


「こらリアン!!主より先に物を食べるとはどういう神経をしている!そんなことを教えた覚えはないぞッッ!!」


「暴力へんたーい!!!」


「あ゛ぁ?!?」


 後ろからきた般若のような顔のラエルお母ちゃん(?)が彼の頭をぶっ叩いたようだ。

 とりあえずリアンさんが串焼きの串を口から出した後で良かった。もう一足早かったらあの衝撃で喉に刺さっていたかもしれないと心の隅で安堵した。だってすごい音がしたもん。

 当の本人はぴぇんみたいな顔して、痛みなんてもう忘れたようにラエルさんを見上げているけど。

 神経が図太い。すごい。


 ラエルさんは先程の般若顔から打って変わって眉を下げながら私達の前で腰を折ると、謝罪の言葉を口にした。


「申し訳ありませんクライブ様、シノ様。こいつにはしっかり言って聞かせますので…!」


「いやラエル毎回謝んなくていいぞ?リアンがこういうやつだって俺は知ってるし」


「私も別に気にしてないので大丈夫ですよラエルさん」


 私達がそういうとリアンさんがむぅと口を突き出した。


「え〜クライブ様、僕がそんな毎度無礼な態度をとってるみたいに言わないでくださいよぉ」


「は?逆に無礼じゃないときあったか?」


「辛辣っっ」


 クライブが至極当然のことをいうと、リアンさんはわざとらしく傷ついたフリをした。

 彼はきっと演劇とかいったら良い俳優になるんじゃなかろうか…?なんかこう優男の詐欺師みたいな役とか…(失礼)


 反対にラエルさんはいまだに申し訳なさそうに「私がもう少しちゃんと躾ていれば…」なんてことをボソボソ言っている。

 本当にお母さんなのでは…??え、違う…??


 このままではラエルさんの心労が…!と思った私は彼の正面に立ち、その整った相貌を見上げた。


「ラエルさん今は私達しかいないですし、せっかくのお祭り皆で楽しみたいです。リアンさんたちにも好きに楽しんでいただきたいです。ダメですか?」


 私がそう口に出すと目を丸くしたラエルさんは腕を目元にもってくると。


「うっ……心の広い主様方で私は非常に感極まっております…っ…一生ついてゆきます……っ!!」


「わぁ一生って言葉まじで使う人いるんだぁ重ーい」


 彼の一生発言に対し、小声で呟かれたリアンさんの言葉に私は苦笑いを零すしかなかった。




 ■■■■■■■■■■■




 皆でいろんな屋台を回ること数時間。

 美味しいご飯や甘いお菓子を食べたり、射的のようなゲームをしてはしゃいだり。はたまたアクセサリーや骨董品なんかを眺めたり。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていき、もう出発する時間になってしまった。

 リアンさんが最後に噴水広場の中心にある白騎士様と黒龍の像を記念に見に行きましょうと言ったため、そこに向かうことになった。



 噴水広場は像に祈りを捧げようとたくさんの人々が集まっているようで、油断していたらはぐれそうだ。

 ちなみにクライブと繋いでいた手は屋台をいくつか回っていた時にいつの間にか離れていたため、本当に迷子になりそうで怖い。

 現にクライブとラエルさん、セリアとも離れてしまっていた。


「いやぁさすがに人が多いですね〜。おっと、シノ様ちょいと失礼。あとこれもぉ」


「わっ」


 そんなことを思っていたら、リアンさんが私の身体をふわっと持ち上げてお姫様抱っこをした。ついでに先程射的の景品で取った白騎士様をモチーフにした仮面を私の顔につける。


「フード被ってても俺目線の位置にいるシノ様はお顔が目立っちゃうから、ちゃんとつけてようねぇ。悪い奴らに狙われたら大変〜」


「あ、ありがとうございます…?」


「いえいえ〜」


 一見ひょろっとしたような外見に見えるリアンさんだが、その実しっかり筋肉がついていて逞しい。抱き上げてくれている時の安定感がバルドと似ている。


 周りにいる男性陣のスペックの高さに私が慄いている中、後ろで悲鳴のような声を上げる人物がいた。


「な、な、なっ、なんでリアンはっ…!…そっ、そんなに手がっ…はや、早いのっ…!?」


 はぐれないよう私達黒いオーラを体に纏わせたジェスさんである。


「ジェスその言い方は語弊を招くからやめようねぇ〜?」


 リアンさんがそう笑顔で抗議するが、彼は何故か目に涙を溜めたままふるふると震えた。

 言い方が怖かったのだろうか。うーんそんなことなかったし、リアンさんがそもそも怖いなら話しかけないだろうしなぁ。


「ジェスさん大丈夫ですか?何か怖いことがありますか?」


 心配になり私がそう聞くと彼はぴゃっと声を出し、尚更狼狽えた。


「い、いや、!ちっ、ちち、違うのです…っ!……た、ただ、っ」


「ただ??」


「…っリアンが…羨ましくて……」


 羨ましいとは何のことだろうか。私が頭に?マークをいっぱい浮かべているとリアンさんが溜息を吐きながら、私に耳打ちをしてきた。


「ジェスは子供が大好きなんですよぉ。だからシノ様をお守りしたくてしたくてしょうがないんです〜。なのでこのシノ様抱き上げる役目を奪われたことが悔しくて泣いてるんです〜。ですからこのジェスに変わってもらってもいいですかぁ?」


 彼の言葉で納得した。ジェスさんは大の子供好きだからこそ、何の気なしに私に触れられるリアンさんが羨ましかったのか。

 なるほどと思い、私はリアンさんを見ると頷いた。


「ねぇねぇジェス〜」


「えっ…、な、なに…?」


 彼は俯いていた顔をがばっと上げると瞳を揺らす。

 その顔を見たリアンさんはにっこり笑うと。


「シノ様をちゃんとお守りして?」


 そう一言口にした。





 ■■■■■■■■■■■





 クライブ達は私達よりひと足早く像の前についていたようで、ジェスさんに抱き上げられた私を見てギョッとしていた。


「リアンならともかくジェスが抱き上げてるなんて厄災でも起こるのか…?」


「くそ……俺がもうちょっと背が高ければ…」


「…なっ…私が男であれば…」


 ラエルさん、クライブ、セリアがそれぞれ何事か呟いたその前でジェスさんはご満悦そうに口元を緩めていた。

 私を抱っこしているだけなのに、そんな顔をするなんて本当に子供が好きなんだなぁ。


「ジェスさんここまでありがとうございます。もう降ろしていただいて大丈夫ですよ」


「あっ…いえ!こ、こちらこそ、あり…っありがとうございますっ…!」


 彼は丁寧に私を地面に降ろすと照れ照れとした表情で見つめてきた。いや可愛いなこの人。

 これが世にいうギャップ萌えというやつだろうか。



 そんなことを考えていると、後ろからついてきてくれていたリアンさんが像を見上げ口を開いた。


「にしても大人気ですねぇ白騎士様は。さすが黒龍討伐を成し遂げた方は違う〜」


「それはそうだろう。世界滅亡となる災いをたった一人で救われた平和の象徴だからな。彼に憧れ、騎士になったものも多いだろう」


 ラエルさんがそう言った傍らで、クライブは白騎士様の像をじっと見て固まっていた。


「クライブ?どうかした?」


 気になって彼に問いかけると、目を像に向けたままクライブは呟いた。


「……いや、なんか悲しそうだなって思ってさ」


「白騎士様が?」


「あぁ」


 クライブに言われ、私も白騎士様を見上げるが私には悲しそうには見えなかった。ただ堂々と噴水の中心に鎮座する像。


「うーん、そうかなぁ」


「そんな本気にすんなよ。俺の気の所為だ、ほら像も見たし行こうぜ」


「う、うん」


 クライブがほんの少し悲しげな顔を見せたが、次の瞬間にはぱっといつもの笑顔に戻っていて、私がその表情の意味にそれ以上踏み込むことはなかった。









ブックマークや評価ありがとうございます…!✨️

とても嬉しく励みになっております(*´ `*)

この物語が誰かの楽しみになっていましたら幸いです。

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