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23. でこぼこ三人衆

長らくお待たせしてしまいすみません…!

ブックマークや評価ありがとうございます;;✨

とても嬉しいです!

 




 階段を下り、広間に向かうとクライブと今回護衛してくれるリアンさん達が談笑していた。

 リアンさんとは以前話したことがあるけれど、他の二人は初めて見る人達だ。

 コソッとバルドが「皆カーヴァーのとこの精鋭よ」って教えてくれた。



 私達が近づくと、それに気づいたクライブは何故か目をスンとさせたので、私は首を傾げた。


「おはよクライブ、どしたの?」


「……いや今日も一丁前にイケメン風吹かしてんなって思って。おはよシノ」


「私のかっこよさに今頃気づいたの?」


「俺が前に言った言葉をそっくりそのまま使うんじゃねーよ!」


 今さら前の自分の発言が恥ずかしくなったのかクライブは顔を覆って項垂れた。

 ちょっとからかっただけなのになんか可愛い。


 それはそうと私もクライブを改めて見ると無地のシャツに黒のジャケットを羽織って、下は細身のボトムス。

 シンプルだからこそ彼のかっこよさを尚のこと際立たせているスタイルだ。

 背がまた伸びたのか、なおさら大人っぽく見えて彼にとてもよく似合っている。

 この間まで私とそんなに身長変わらなかったのに、男の子の成長って早いんだなぁとちょっとしみじみしてしまう。


「あんま見られると困るんだけど」


 私がじーっと見ていたら、クライブは耳まで赤くしながら目を逸らした。

 なんだ今日はデレの日かな?可愛いな??(二度目)



「今日も仲が良くて何よりですね〜」


 そんなことを思っていると、間延びした声が割って入ってきた。

 癖のない茶髪に茶色目の素朴な顔立ちの青年、リアンさんだ。

 平凡な見た目に対して、軽薄そうに見えると騎士の間で有名(?)らしい。おそらく喋り方が皆にそう感じさせるのかもしれない。


「おはようございますリアンさん。今日はよろしくお願いします」


 私がぺこりとお辞儀をすると、彼もお辞儀を返してくれる。


「おはようございますシノ様〜。こちらこそよろしくお願いします!いやぁ今日も格好良くて僕はいつもながら見惚れてしまいました〜!抱きしめてもい」


「……」


「うぐッ!クライブ様横っ面殴らないでくださいよぉ…冗談ですって…!いくら僕でもクライブ様の敵になるようなそんな恐ろしいことしませんよ〜」


 リアンさんの発言に対して、クライブが無言で脇腹を殴りつけた。

 だがへらへらとした顔を崩さないあたり全く効いていないようである。

 多分あのへらってした顔も軽薄さを増し増しにさせているんだろうな。

 ちなみに彼は平民でありながら、カーヴァーさんに剣の才能を買われ、今や騎士団内でもトップクラスの実力の持ち主だ。


「すみません話が逸れましたぁ!改めて今回護衛としてご同行させていただきますリアンと、シノ様とは初お目見えのラエルとジェスです〜。」


 彼がほらほら挨拶〜と他2人に促すと、まず前に進み出てきっちり綺麗な角度でお辞儀をしたのはアッシュグレーの髪色の身体の大きな青年だ。

 ベリーショートの髪は雄々しい彼によく似合っており、バルドとはまた違った色気がある。


「お初にお目にかかります、シノ・サージェント様。私はラエル・ベーカーと申します。この度ご同行させていただきますが、何か至らぬ点や気づいた点等があればすぐ仰ってください。特にリアンが粗相をした際には即私にお伝えくださいませ。団長には彼のお目付け役を任されていますので」


(おぉ軽薄そうなリアンさんとは真逆の堅物系だ…!)


 ラエルさんは昔絵本でみたお姫様を守る騎士をそのまま具現化した感じである。

 というかお目付け役とは…??


 そんな彼に対して案の定リアンさんは、


「かたぁ…もうちょい気楽にいこうよぉ〜。しかも僕のお目付け役ってなにさ?いらないよ僕いい子だもーん」


「お前はむしろもっと気を引き締めたほうがいいと思うが?それに本当にいい子であれば、団長から直々に頼まれることはないはずだ。残念ながら思い違いだな。……すみませんサージェント様失礼ばかりで」


「あっ、いえ大丈夫です」


 ラエルさんが睨みながらリアンさんを見ると、彼はブー垂れてはいたが、「ちぇ、しょうがないなぁ監視されててあげるよぉ」と承諾した。

 以前話したときは楽しい人だなぁとしか思わなかったけれど、もしかしたらトラブルメーカーだったりするのだろうか。


 私がそんなことを考えていると。

 続いて前に進み出てお辞儀をしたのは、黒に近い濃紫の髪色で、片目が髪に隠れた青年だ。

 格好良いとかいうより、綺麗だなぁという雰囲気。一見あまり騎士に見えない。むしろ魔法使いって言われた方がしっくりくる。

 でもほんと乙女ゲーの世界は攻略対象以外の顔面偏差値までもずば抜けている。怖い。


「お、お、お初にお目にかかります、ジェス・ドールマンと申します…。あの、、その、、あまりお役に立たないと思いますので、期待はしないでいただけると僕の心的に助かります…です……。はぁぁぁ……」


 こちらはネガティブ青年であった。

 これでもカーヴァーさんの厳しい訓練を生き残った屈強な騎士というのがまたびっくりだ。

 リアンさんとラエルさんとはまた違ったタイプだからこそ、なんというかでこぼこな三人である。

 私がジェスさんにも挨拶を返そうとすると、


「ジェス、いつも言っているがもう少しシャキッと出来ないのか?あと背中は丸めると印象が悪く見えてしまうから気をつけろとあれだけ…」


「わ、わ、わかってるよ……!でも、ぼ、僕にはそれが難しいんだ…っ……」


「ぷぷラエル母ちゃん小言多すぎ〜」


「お前は黙れ」


「子供がいくら心配でもさぁ、あんまりしつこいと反抗期拗らせちゃうよ〜」


「あぁ?」


 あっという間に繰り広げられる、まるでコントのような彼等の会話についていけずクライブとバルドを見ると、二人とも溜息を吐いていた。

 うん、これが平常運転のようだ。


 いつまでもわちゃわちゃ言い合いかねない三人にバルドが、


「うるせぇ」


 と一言言い放った途端、場が静まり返った。

 強い。

 それとオネェ言葉じゃない師匠めちゃかっこいい。


 彼は怒気を孕んだ声音を一瞬で変えると私に続きを促した。


「はい、シノちゃんどうぞ♡」


「あっ、ありがとうございます師匠。ベーカー様、ドールマン様初めまして。シノ・サージェントと申します。この度は護衛任務を引き受けてくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします」


 私がそう言って騎士の礼をとると、ラエルさんとジェスさんが交互に口を開いた。


「こちらこそ宜しくお願い致します。それと先程は失礼致しました。加えて恐れ入りますが、サージェント様。私のこともリアンと同様にラエルとお呼びください。様もつけないでいただいて大丈夫です。むしろ気安く接していただけると嬉しいです」


「…ぼ、僕もドールマン様ってなんかムズムズして気持ち悪いので、ジェスで大丈夫…です……。それにファミリーネームで呼ばれると距離が遠く感じて嫌い……いや、別に会ったばかりだし近い訳じゃないですけれど……。」


「分かりました。ではお言葉に甘えてラエルさんとジェスさんって呼ばせてもらいますね。私のこともシノで大丈夫です。改めて宜しくお願いします」


 私が笑顔でいうと、ジェスさんが「うぎゅッ」と変な声を出した。

 何事だろうかと彼を見上げるより早くリアンさんがジェスさんを押しのけ、間に割って入ってきた。


「はいはーい!やぁっと自己紹介も終わったところで早速行きますかぁ。というわけでバルド様お仕事頑張ってくださいね〜」


「あんたに言われなくてもちゃんとやってくるわよ?そっちこそ私の代わりに行くんだからしっかり守りなさいよ!大事な弟子達に傷一つでもつけたらどうなるか分かってるわよねぇ?」


 バルドがガンつけながらリアンさんに詰め寄る。

 リアンさんはそんな彼に怯みもせず、「分かってます分かってますよ〜」とゆるい返事をしてみせた。

 ジェスさんに至っては「ひぃッ…!傷一つダメ傷一つダメ傷一つダメ…ッ」と言って怯えていたが。


 そんな中でクライブが私の服をちょんちょんと引っ張った。


「わりぃな。リアン達いつもこんなでさ。今回すごく騒がしい感じになると思うんだけど、大丈夫か?」


「全然大丈夫だよ。むしろ楽しく過ごせそうだし、私あんま盛り上げる話とか出来ないタイプだから話を振ってくれる人がいると助かるし」


「なら良いけど、別にシノってそんなタイプじゃなくね?俺はシノと話してる時普通に楽しいし」


 うっ…さらっと嬉しいことを…。

 不意を突かれた言葉にちょっと恥ずかしくなる。


「そりゃクライブは気心が知れてるから、何でも話せるけどさぁ」



 そんなことを話しているとカッカッとヒールの音がした。

 見るとお母様が急いで私達の元にきてくれていた。


「シノ、クライブくん!見送り間に合って良かったわ。二人とも気をつけて行ってくるのですよ。そして怪我なく帰ってきてね。もし襲ってくる輩がいたらすぐ斬り伏せて。我が身第一で行動なさい。分かりましたか?」


 斬り伏せる…。憂い顔をしながら物騒なことをいうなぁとちょっと思ってしまった。

 お母様は私の頬に手を伸ばすと、そのまますりすりと撫でた。二週間くらい会えなくなるから、少し寂しさを感じながら、彼女の優しい手付きにとても安心する。


「お母様、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ?お土産たくさん買ってきますね」


「アステル様、お見送りありがとうございます。気をつけて行ってきます」


「えぇ、帰りを待っていますね」


 彼女に撫でられ続けていると、リアンさん達と話し終えた師匠が、私とクライブの頭をぽんぽんしてきた。


「二人とも気をつけていってらっしゃいね。あと無理しちゃダメよ。なんかあったらすぐあそこの奴らにいうことと、街中に出たらくれぐれも逸れないようにっ!二人ともまぁ多少は撃退出来るから大丈夫でしょうけどね。さっ、皆行きなさい!セリアも気を付けてね」


「はい。バルド様ありがとうございます」


 一歩下がったところで私達の会話を見守っていたセリアにも一声掛け、バルドは出発の合図を出した。

 今回同行してもらう御者さんに挨拶し、クライブとセリアと共に馬車に乗り込んだ。

 リアンさん達には馬に乗り、馬車の周りを警護してもらう。


 初めてのソルテに胸をワクワクさせながら、窓からバルドとお母様に向かって、クライブと一緒に再度挨拶をした。


「「いってきます!」」


 馬車が走り出すと、彼等は手をひらひらと振って、私達の姿が見えなくなるまで振り続けてくれた。







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