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22. 招待

ブックマーク50件いきました!皆様ありがとうございます(;;)✨

これからもシノ達を見守っていただけると嬉しいです!よろしくお願いいたします...!

 




 誕生日パーティーの翌日、さっそく私はベネット家のルーナ様にお礼の手紙を書いた。

 するとすぐ次の日に速達で返事が届き、中を見てみるとルーナ様から是非会ってお話したいという旨が綴られていて、なんとお家に招待してもらえることになった。


 初めて同世代の女の子の家に行くことになり、ちょっとワクワクする。

 まぁ今回はお礼のためなんだけどね、やっぱりちょっと浮かれてしまう。

 この世界ではまだ女友達がいないので、あわよくば友達になれたらなぁなんて思っているところである。

 とりあえず粗相のないようにしなければ。第一印象で全てが決まるって前世のテレビとかでも言っていたし。

 いや逆にそうやって意気込むと私の場合やらかす率が高いから平常心、平常心でいこう。



 一先ずクライブに彼女はどんな雰囲気の女の子だったか聞いてみたところ、見た目は黒髪黒目の気の強そうな印象だったそうで。加えて美少女だったとのことだ。

 私は黒髪黒目の部分に思わず反応した。なんといってもThe日本人の特徴なので、ちょっとというか、めちゃくちゃ親近感を抱いてしまう。

 ハールも黒髪だったけれど、赤目だったからね。

 どうにかルーナ様とお近付きになりたい。

 その為に何か話題を考えておこう。

 といっても私が女の子相手に提供出来る話題…。


 あれ??やばい思いつかない。

 思いつくとしたら、バルドから教わった相手の攻撃の受け流し方とか、受け流せない場合の回避方法…とか?

 いや絶対これは女の子に話す話題じゃないしな…。

 あとは魔法学って意味分かんないですよね〜私本当に苦手なんですとか…?

 貴方馬鹿なんですかって言われるかもしれない。

 というか一瞬で話終わりそう。


 なんかもうくそつまんない女だと思われる未来しかない気がしてきた。

 ま、まぁなんとかなると思いたい。いやそう信じて流れに身を任せよう。


 ちなみにクライブの方にも招待の手紙が来ていたらしく、今から2週間後の土曜日に一緒に向かうことになった。

 バルドはその日は用事があるらしく護衛としてついていけないとのことで、代わりにリアンさんや他2名の騎士さん達がついてきてくれるらしい。


 2週間後といえば、すでに年が明けているのだが、そういえばこの世界『正月』がないんだよなぁ。

 まぁ異世界だからね。さすがにこんな外国人みたいな名前が溢れる世界で、製作者側も和ものは削除したのだろう。

 うー。とは言ってもお餅が恋しい、年越しそばもおせち料理も恋しい。

 あのこたつのぬくぬくした中で食べるおしることか最高だった。思い出せば思い出すほど、もう戻れないあの時間に少し泣きたくなってしまう。


 こうなったら日本料理をスキマ時間にでも作ろう。裁縫等は大の苦手だが、料理なら割と出来る。

 前世で料理が全く出来ない妹に代わって、それなりにこなしていた記憶があるからだ。

 そうして少しでも思い出に浸ろう。ちょっとは寂しさも紛れるはずだ。


 よしっと意気込んだ私は、頭の中のやることリストにまた新たな課題を加えた。




 日にちは剣術や勉強をしていたらあっという間に過ぎていき、いつの間にか約束の日の5日前になった。

 その間クライブはというと11歳になった人が受けることが出来る《洗礼》という儀式に向かっていたため、家を空けていた。

 実際何をするのかは、その歳になってから聞かされるので、内容は知らないのだけど。

 お父様曰く、痛いこととかする訳じゃないから何も心配はいらないらしい。

 まぁ私の11歳の誕生日は2月なのであともう少し。なのでその時に分かるだろう。


 話を戻そう。

 今回行くベネット家は私の住んでいるアルナと真反対のソルテにあるため、馬車で休み休み行くと丸3日はかかると師匠が話していた。

 なので念の為余裕を持って約束の5日前から出発することになり、その間の宿はお父様が手配してくれた。

 安全面や清潔面にしっかり配慮されている宿とのことで、「無事に帰ってくるんだよ!僕も仕事頑張ってくるから、シノは初めてのソルテを観光も含めて楽しんできて!でも怪我一つでもしたらお父さん泣いちゃうからね絶対気を付けるんだよ!なんかあったらすぐクライブ君にいってね!」なんて言われて、過保護がすごいとちょっと笑ってしまった。

 この間のパーティーで見せた威厳は何処へ…。

 でもそんなお父様も大好きだけどね。


 あと今回は正式なパーティーではないので、ドレスで行かなきゃとかそういった決まり事はない。

 まぁ、ある程度節度は持った服装でなければならないけれど。露出が多すぎるとかは論外だ。

 とりあえず無難に正装でいくことにするけど。


 只今時刻は8時ちょっと前。

 私はセリアに薄化粧を施してもらい、脇の髪は編み込んで、一緒に後ろでお団子にしてもらった。

 まだ5日前なので、今日の服装は街歩き出来るようにコートとタートルネック、愛用している黒のスキニーパンツにした。

 うん、安定のパンツスタイルは動きやすいからいいよね。


 「…やはりシノ様は中性的ですので、そのお姿ですととても綺麗な少年に見えますね。ドレスも似合っておりましたが、こういった男装もお似合いになるシノ様は男女どちらからも求愛されそうで私は心配です」


 「セリア、それは誇張表現がすぎるからやめよう…。普通だからね私」


 本当なのにとセリアがむぅと口を尖らせた。いやむしろセリアの方がとても可愛い。

 何でも出来て、外見も美人さんである有能侍女の彼女は本来ならすぐ婚約相手が見つかるだろう。

 私なんかより断然おモテになるはずだ。


 ちなみに腰につけたベルトには帯剣出来るようにホルダーが付いている。

 まだハールから送られてきてないため、帯剣出来ないけれど。準備しておいて損はないだろう。


 当日は濃紺色のジャケットに白シャツ、そしてジャケットと同色のスラックス、薄めのグレーネクタイといったシンプルな格好にする予定だ。


 変なとこがないか全身鏡で服装チェックをしていると、セリアがそういえばと口を開いた。


 「シノ様、クライブ様はすでに準備万端で広間にて待っていたのですけれど、」


 「えっ、そうなの!?集合時間9時って話したはずだけど、私聞き間違えた!?あちゃー…クライブに後で謝らないと…」


 余裕を持って準備していたはずが、まさかの遅れていたなんて。

 ぎょっとして焦り始めた私は持って行く物の最終確認だけでもしようと旅行鞄に手をかける。

 しかしそこでセリアが、


 「あっ、シノ様そういった意味ではなく。集合時間は9時で合っていますが、張り切ったクライブ様が早めに来ているだけです。チャールズさんから聞いた話ですと、昨日からずっとそわそわと忙しなかったらしくて。ふふっあの方は浮かれているのですよ。私もついていくとはいえ、なんといってもシノ様とデ」


 彼女の言葉を遮り、部屋の扉がコンコンとノックされた。


 「シノちゃーん、いる?」


 師匠の声だ。

 「今行きます!」と言葉を発し、椅子から立ち上がって部屋の扉を開けると今日も今日とて色気ダダ漏れのイケメンが立っていた。


 「おはようシノちゃん♡今日はついていけなくてごめんなさいね?本当なら私も一緒に行きたかったのだけど、今回はどうしても外せなくて」


 「おはようございます師匠。大丈夫ですよ、用事があるなら仕方がないです。むしろ忙しい師匠にいつも護衛とかお任せしてしまってすみません…。あ、師匠にお土産買ってきますね!何か希望はありますか?」


 話しながら師匠を部屋へ招き入れ、椅子を勧めたけれど、ひらひらっと手で制される。

 長居するつもりはないらしい。


 「あらやだ!シノちゃんとクライブの護衛をするのも私の仕事よぉ?だから謝らなくていいの、それでお給料もらっているんだから。まぁお金をもらえなくたって貴方たちのことは絶対守るけれどね。私の大事な大事な弟子だもの」


 そう言った師匠は屈みながら人差し指で、私の鼻の頭をちょんとつついた。

 最近気づいたのだが師匠の骨ばった男らしい長めの指先は、ちょっとドキッとする。なんかこう触りたくなるというかなんというか。

 昔妹が話していた性癖というものだろうか。やだな。


 「代わりに行くリアン達は、カーヴァー直々に扱かれた屈強な騎士だからとても頼りになる護衛よ。あんなヘラっとしたなりしててもね。だから安心して行ってきて。あとお土産はシノちゃんが選んだものなら何でも嬉しいわ」


 「はい!」


 元気よく返事をすると、師匠に頭を撫でられる。

 本当は中身そんな年ではないのだけれど。

 だがすかさずセリアが髪型が崩れるのでやめてくださいと師匠の手を引き剥がした。

 強い。


 「あっ、そうだったそうだった。シノちゃんにね渡さなきゃいけない物があるのよ。どこだったかしら」


 ハッとして、師匠はいつも腰に下げているウエストバックをごそごそとし出した。

 実は師匠のバックは無限空間になっているらしく、なんでも入るらしい。

 最初聞いた時は驚きよりも、ド○えもんが思い浮かんだ。

 まさか実際に見ることになろうとは前世の私は思いもしなかっただろう。

 やっぱり魔法が使える異世界って夢が広がる。


 でも誰も彼も使える訳じゃないらしく、私が試しに師匠のウエストバックを借りた時は、無限空間なんてもの存在しなくて普通に見た目通りの量しか入らなかった。

 不思議に思っていたら、もう少ししたら理由が分かるわよってその時言われたけれど謎すぎる。


 数分後。


 やっと目的の物を探し当てたのか、師匠は「あったあった!」と言って、私にそれを差し出してきた。

 そこには鞘に収まった黒い柄の短剣があった。

 パッと見とてもシンプルなそれは、間近で見ると鞘の部分に細かな装飾が美しく施されている。


 師匠から受け取り、鞘から取り出してみると銀色の刀身が目に入る。

 だが光の当て具合で青みがかった銀色に見え、まるで宝石のようだ。


 「綺麗……」


 思わず口に出してしまうほどに、その短剣はとても精巧で目を見張るものがあった。


 「ハールから護身用にシノちゃんに渡しておいてって言われたのよ。あと、これも」


 続いて師匠が取り出したのは、通常の剣とは違い、少しリーチが短めの剣だ。

 日本でいうと脇差に近いような。

 まぁ通常のやつだと私の背的に引きずっちゃうからね…。

 こちらも美しい装飾が施されており、短剣と同様にとても綺麗だった。


 受け取った時、短剣もそうだったが、とても手に馴染む感覚がした。

 まるでずっと使っていたかのように、それは私と同調した。


 これが鍛冶師に頼むオーダーメイド……。

 いや、これはハールの技術がすごいのだろう。

 今まで契約者がいなかったのがありえないと思うくらいに。


 そんな感覚に驚きつつ、剣を鞘から引き抜いてみると先程とはまた変わって、赤みがかった銀色の刀身が姿を表した。

 なんとなく短剣と対になっているような感じだ。

 こちらも本当に綺麗である。


 「やっとシノちゃん用の真剣が出来上がったんですって、長らく待たせてすまないって言伝を頼まれたわ。でもその分出来栄えには自信があるとも言ってたわよ」


 「……っこんなに綺麗な剣見たことない…。すごく…すごく嬉しい…!師匠も持ってきてくれてありがとうございます!帰ってきたらハールに手紙をかかなくちゃ」


 刀身を鞘に戻し、二振りの剣を胸で抱きしめる。

 ハールが心を込めて打ってくれたのが本当に嬉しかった。

 彼にもお土産を買っていこう。甘党な彼だからソルテにしか売っていないスイーツ等がいいだろうか。

 私がそんなことを考えながら、嬉しさを隠せずにいると、師匠が近づき耳元で内緒話をするように話し出す。


 「あともう一振依頼されてた魔剣は、完成するにはまだ時間がかかるようだから、もう少し待っててくれって言ってたわ」


 「……あな無理難題を言ってしまってごめんなさいっていうのと素敵な剣をありがとうってもしこの期間に会う時があればハールに伝えてもらうことって出来ますか?手紙は書くつもりだけど、間が空いてしまうから」


 いやもう本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。

 こんな卓越した技術を持つ人でも、打つのが難しい剣だなんて思いもしなかった。

 思いつきで魔剣を頼んだあの時の自分を殴りたい…。


 シュンと落ち込んだ私に師匠はクスッと笑い、


 「専属の鍛冶師になるってそういうことよ。契約者から依頼された内容にどれほど沿うことが出来るか、どれほど期待に応えられるか。だってこっちはリスクを負って契約してるんだもの、当然でしょ?無理難題を言われたって試行錯誤を繰り返して、時には挫折して、それでもまた立ち上がって飛び越えていくのが真の選ばれた職人よ。とはいっても、逆にハールは喜んで鍛冶をやっているから気にしないでいいの!あと言葉も伝えておくわ。きっとシノちゃんの喜び具合を知ったら鍛冶師冥利に尽きると思うから」


 そういって師匠は私の頭を髪が崩れないようふんわり撫でた。

 優しくあったかい手だ。


 「……ありがとう師匠」


 「さっ!クライブが下で待っていたから早く行ってあげましょ♡ あ、目的地につくまでは帯剣しててもいいでしょうけど、でもさすがに人様の家に招待された時に帯剣してるだなんて、正式な騎士じゃないから外さなきゃダメよ。そうだわ、これあげるから短剣はベルトの後ろに収納していきなさい。これは護身用だし見えないよう細工してあるから」


 師匠はウエストバックからベルトに装着出来る短剣用の収納ケースを取り出して、腰の後ろにつけてくれた。

 このケースには高度な隠匿魔法が付与されているらしく、つけていても高位魔術師と鉢合わせしない限りは滅多にバレないという。

 ってことはこれかなりの高級品では…!?


 「そっ、そんなすごく高そうな物を私なんかがもらっていいんですか…っ!?ウン千万とかしませんこれ!?!無理です無理です頂けないです!!!なら今回は短剣も置いていきますよ!?」


 「え〜いいのよいいのよ!むしろ可愛いシノちゃんに何かあった方が私悲しいもの。だからもらってくれないと泣いちゃうわ。だから、ね?」


 そういうとしゃがんで、上目遣いでウルウルとした目で見てきた。

 うえ〜〜〜〜〜〜ずるいっ………!!!

 イケメンって何やっても許されるんだと改めて実感した。

 格好良くて可愛いってどういうこと????

 そんな目で懇願されたら、これはもう受け取らざるを得ない。

 絶対師匠、自分の顔が整っているの分かってるんだよな。そりゃそうかイケメンだもんな。


 「……………ありがたく頂戴させていただきます……。」


 「もっちろん♡ シノちゃんってやっぱり可愛いわぁ」


 あっさりと師匠のあざとさに負けた私に対し、彼はニコニコと楽しそうだ。


 ほらほら早くと言って促された私は、途中だった旅行鞄の最終確認をし、師匠やセリアと共にクライブの元に向かった。





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