14.誕生日パーティー
本当に本当に更新遅れてすみません!!!!!
それでもブックマークつけ続けて下さった皆様ありがとうございます;;;;✨
私用がいろいろ落ち着きましたので、更新ちょこちょこしていきたいと思います。
よろしくお願いします!
ついにやってきてしまいました2週間後の12月25日。
そう、クライブの誕生日である。
今日はシールズ家でクライブの11歳の誕生日パーティーが行われる。
この国では10歳以前は身内のみでささやかな誕生日を送るのが普通だが、11歳からは他家の方々も招いてお昼から大々的なパーティーを行うのだ。
そこでまた大人も子供も新たな繋がりを作っていく。はたまたこの家とは今後繋がりを持ちたくないとか見定めたりもする。
ちなみにサージェント家は10歳前の誕生日も全部招かれている。(幼なじみだからね)
私は、この2週間クライブに楽しみにしてると言われた首絞めマフ…じゃなかった。ちゃんとしたマフラーをバルドとの稽古が終わってから、セリアに教わった。そしてなんとか昨日完成させたのだ。
初めて1本糸じゃなく、幾重にも編み込まれたマフラーを自分で作れたことに感極まって父母に自慢したら、すごいすごいとこっちが恥ずかしくなるくらい撫でまわされた。(バルドも全く同じ反応だったあげくぎゅうぎゅうに抱きしめられた…)
セリアに至っては、「シノ様がっ…1本紐しか作れなかったあのシノ様がっ…」と瞳を潤ませていた。
あまりに皆が褒めてくれるから、今後も何か作ってみようかなという気になる。いつかセリアたちにもプレゼントしたいな。
クライブは喜んでくれるだろうか。
苦手な編み物であったけれど、楽しみにしてくれる彼を思うと頑張れた。
自室で私は手に持っている完成したマフラーを見ながら、クライブの笑った顔を想像して、思わず笑みを零してしまう。
彼は、きっと喜んでくれる。
そう思ったその時。
『ありがとう、大切にする』
ジジッと一瞬誰かが脳裏を掠った。
その声は確かに聞き覚えのある声。
クライブでも他のキャラたちでもない、どこか懐かしく感じる男性の優しい声。
「……だれ…?」
懐かしいとは思うのに何故か思い出せない。
それは記憶に霧がかかったように、思い出そうとすればするほど遠のいていく。
しかも頭がズキズキと傷んで、なおのこと思い出すことに邪魔をする。
私は誰かに何かを渡した?
私は一体誰を忘れている……?
思考の海に沈みかけていたそのとき、自室の扉をコンコンと叩く音に意識を戻される。
はい、と返事をするとセリアの声。
「シノ様、パーティーの支度を整えに参りました。お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
「…うん、入って大丈夫だよ」
私はさっきの思考を振り払うように頭を振って、マフラーをテーブルに置いてからセリアと他の侍女たちを部屋に入れる。
皆今日のパーティーのドレスやらなんやらの包みを持ち、いそいそと部屋に入ってきた。
「クライブ様がシノ様に会うのを今か今かと会場で待っておりますよ。早く支度をして行って差し上げ…」
心配をかけさせまいと表情を取り繕い、笑顔を浮かべていると鋭いセリアはすぐに気づいた。
「…シノ様?何かありましたか」
「ううん、何もないよ」
先程までの穏やかな表情から一転して顔を曇らせたセリアは私に聞いたが、私が答える気がないと分かるとそれ以上は聞いてこなかった。
「……何かあればすぐ言ってくださいね。さ、クライブ様がお待ちです。支度を済ませてしまいましょう」
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「〜〜〜っ!!!シノ様っ本当にお可愛いです!!空から舞い降りた天使のようですよ!!いつものタキシードも大変似合っておりましたが、ドレス姿も似合いすぎて……クライブ様卒倒しないかしら…。」
私をコーディネートした侍女たちは、出来栄えを見て感動に打ち震えていた。
自分も鏡を見て、確かにとんでも可愛い美少女がいると思うくらいだ。というか侍女さんたちの、特にセリアの化粧の腕よ…。
本当にあのゲームに出てこないのが不思議である。
かといって「クライブは卒倒なんてしないでしょ。私に見慣れてるし、大袈裟だよ。」って言ったら、セリアたちに可哀想な目で見られた。何故。
セリアたちに湯浴みやマッサージ等々いろいろな方法で、頭から爪の先までピッカピカに…それはもう本当にピッカピカにさせられた。
そして着替えもさせられた私は白色のバルーンドレス(丈が長めなやつ)を身につけていた。
ドレスには所々にパールが散りばめられており、胸元にはドレスと同色の大きめのリボンが付いている。決して華美ではなくむしろ清純な雰囲気だ。
普段は後ろで一括りにして結んでいる髪も、今日は下ろして毛先をふんわりくるくるに巻いてくれた。
仕上げに髪には白色の花飾りを付けている。
今世の私は美少女だ、まじで。
いつもならドレスではなく、タキシード風な男の子っぽい衣装を着ていたのだけど、父に「今日の誕生日パーティーは他家の方々もたくさん来るんだよ。シノがその服装でいたらご令嬢たちがね、主役のクライブくんよりさ……あの…とってもモテちゃうからさ…。でもお父さんとしてはドレスアップしちゃうと沢山の狼の餌食になっちゃいそうで心配なんだけど、カーヴァーがさぁ…」と泣く泣く言われたのである。
カーヴァーというのはクライブのお父様だ。
私のことも娘のように可愛がってくれる優しい人だが、クライブの誕生日に毎回タキシード風の衣装で来る私に「美少年…っ…うちのクライブよりかっこいい…」と涙ぐみながら呟いていた。
いやクライブの方が断然かっこいいと思うんだけど、私に対して無駄にフィルターがかかっているのではと思うあたり。
そんなこんながあって、今日は初めてのドレスである。
本当はタキシードとかの男の子っぽい服のほうが好みではあるんだけど、まぁ別にそこまでこだわりがないのでどっちでもいい。
靴も若干ヒールがあって歩きにくいけどデザイン可愛いし、美少女だし(2回目)
ちなみに今日クライブに渡すマフラーは他の侍女さんたちが出ていった後に、セリアが包装紙に綺麗に包んでラッピングをしてくれた。
「いつお渡ししますか?」
「うーん、そうだなぁ。パーティーが終わった後に落ち着いてから渡しに行こうかな。クライブはきっとすぐ令嬢方に囲まれるだろうし、もしかしたら好きな人とか出来るかもしれないのにパーティーの最中に渡して邪魔しちゃ悪いから」
本当はすぐにでも渡しに行きたいとこだったのに、あと1時間程で始まるパーティーの準備で主役のクライブはなおのこと忙しいだろう。
私がそういうとセリアは眉間にぐっと皺を寄せた。
「……クライブ様なら、シノ様に呼ばれればいつでもどこでも何をしていてもすぐに駆けつけますよ?」
「いやいやいや犬じゃないんだから」
「?」
「???」
「えっ…あれはシノ様が飼われている犬ではないのですか?」
「クライブに失礼だよ!?!ダメだよ本人には言っちゃダメだよ!?!」
さもなんてことはないように、ごく普通に自然に言ってきたセリアにびっくりしてしまう。
犬に似てるのは分かるけど!大人になったクライブは大型犬感さらに増してたけど!
でも、ここまで言えるくらいセリアとクライブ意外と仲が良いんだよなぁ。こう相手を自然と貶せるくらいに(いいのか、それ)
この間も2人だけで話していたしね。
「まぁ先程のは冗談ですが。会いたいなら会いたいとクライブ様には素直に言っていいのですよ。むしろ大喜びでしっぽを振りますから」
「うっ……いやでも今日はいいの!パーティー終わりの方がクライブともゆっくり話せそうだし」
そんな話をしていると再び扉がコンコンと叩かれた。
誰だろうと思い、それに「はい」と返事をする。
「シノちゃん準備出来たかしら?もし良かったら私と一緒にクライブのパーティー行きましょ」
「師匠!!!」
低音イケボな色気ボイスが聞こえた途端、すぐさま椅子から下り、扉を開ける。
「おはようシノちゃ……」
言葉を紡ごうとした師匠の唇は私を見ると切れ長の目をまん丸にし、私をじっと見つめた。
何か変なとこでもあったかなと思わず心配になり、視線を下げ服を見る。セリアたちには可愛いと天使だと言われたけれど、あくまで女性視点だ。男性から見るとおかしい部分だったりとかあるのかもしれないと、私が口を開こうとしたとき。
「天使……?」
「……へっ?」
間の抜けた声がつい口を出た。
え、いやなんとな?
「待って、いつもシノちゃん格好良いタキシードだったじゃない!!なんで今日こんな超絶可愛い姿になってるの!いやいつも可愛いんだけど、もうそれが1億倍くらいさらに可愛くなって……っああ…言葉が上手く見つからないわ可愛すぎて。こんな天使すぐさま誘拐されちゃうわ。今日は野郎共もたくさんいるし、私と離れちゃダメよ」
なんかもうすごく褒めちぎってくれた。
イケメンにそんなに言われたら嬉しいを通り越して恥ずかしいのなんの。
そういう師匠のほうこそ大注目されそうな容姿である。
ペイズリー柄の黒のスーツと黒いベストを緩く着ているが、だらしなく見える訳ではなく、むしろ妖艶な雰囲気が出ていて誰が見ても思わず赤面してしまいそうだ。
実はどっかの国の王子様ですって言われても絶対納得する。うん。
「師匠もかっこいいです!もうすごくかっこいいしか言えないです!語彙力が足りなくてすみません」
「うふふ、ありがとう。シノちゃんに褒められたらものすごく頑張れるわ。さ、クライブが拗ねて機嫌損ねる前に行きましょ。ふふ、あいつの反応が楽しみねェ♡ 」
そこで師匠が言葉をきった後、私に跪き手を差し出してきた。
「お嬢様、私にエスコートさせてくださいますか?」
突然のおネェ口調を外した師匠の言葉と流れるような所作に内心とてもドギマギしてしまう。
めちゃくちゃ格好良すぎて、意識をぶっ飛ばしそうになったがなんとか保った。
目がぐるぐるしたよ。危なかった、ほんとに。
1回深呼吸をして荒ぶった心を落ち着かせる。
「喜んで」
たった一言そういって師匠の手に自分の手を重ねた。




