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11. 鍛冶師への依頼

誤字報告ありがとうございます…!(;▽;)

あとブックマークも嬉しいです!ありがとうございます☺️✨

 




「お姉ちゃん…ダメだ、私は死にそうだよ…」


 今日も今日とて自分の部屋で椅子にもたれ掛かりながら読書をしていると、いつも元気いっぱいで話しかけてくる妹が珍しくしょんぼりというか、汐らしくなりながら私の隣に座ってきた。


「わぁ…今日はどうしたの?」


 私がそう質問すると妹もとい美奈はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに先程のしょぼくれ顔はどこへやら目をキラキラとさせ、手に持っていた「魔法学園と恋する乙女」のキャラクターの詳細が細かく書かれている本のあるページを開いた。


「あのねハールっていうこのキャラのメインストがしんどくてしんどくて…っ!」


 美奈が開いたページを見てみると、そこに描かれていたのは黒髪に七三ショートのような髪型、そこに眼鏡をかけ無愛想な顔をした一見クールなインテリ系キャラクターだった。

 プロフィールを見てみると、


 ☆ハール・ウォルトン

  ウォルトン商会の次男で水魔法所持者。

  真面目で冷静沈着、現実主義な性格だが幼い頃家族に鍛冶師の夢を絶たれたことで自分に自信がない。そのため何か行動を起こすにしても躊躇してしまう。自分には無理だが口癖。

  主人公と出会うことで、彼の心も次第に開かれてゆき…


 と書かれている。


 おぉ、これまた面倒くさそうな…。

 私だったら絶対関わりたくない。

 なんか絡んだらこっちの方が心折れそうだわ。というか自分には無理だ…が口癖とか毎回言われるのであろう面倒くさい立ち回りを背負ったヒロインが可哀想。


「こりゃまた可哀想な…」


 可哀想なヒロインだと言おうとしたら美奈は私の話を遮って話し始めた。

 こんにゃろ…。


「そう!そうなの!ハールの家族はさ、出来損ないとかお前がいても何も役に立たないゴミ屑だとか暴言ばっかでプレイしててめっちゃ心がしんどかった…。だから自信がなくなって、ヒロインと出会う前はただ言うこと聞くだけの人形みたいな感じなんだけど。まぁでもそこをヒロインの優しさがね上手いことハールの心の臓を掴んでね。ヒロインのくれる言葉の1つ1つに背中を押されたハールがだんだんと自信を取り戻していくんだよ〜!最後にはヒロインと…まぁ詳細は省くけど鍛冶師の専属契約を結んでもう1回夢を追いかけるの!はぁ…良い話や…」





 ■■■■■■■■■■■■





「はっ!!言ってた確かにあの時言ってた!?!」


 布団からガバッと起き上がり、夢からというか前世の記憶から目覚める。

 カーテンの隙間からは朝日が差し込み、また新たな1日の始まりを告げていた。

 朝のルーティンとして窓を開け、朝日を浴びながら外の空気を吸い込みたいところだったが私はそれどころではなかった。

 ベッドの上で上半身だけ起こした状態で私は1人呟く。


「というか、えっ…私未来を思っきし変えちゃったくない…??」


 だって美奈が話してたのはあのハールだ。

 現状をゲームで例えると鍛冶師としての夢を潰されている段階っぽいけれど、私が専属契約を結んだことで続けられている。

 ってか専属契約も本当はヒロインが結ばなきゃいけないやつじゃないか…!?

 そんな重大なポジションをモブの私が取るなんてとんでもない。

 だからといって今さら破棄できる契約ではないのだが。


「なんで私よりにもよってあの分厚い本の中からハール選んだのさ…」


 頭を抱え、自分で自分の行動に後悔する。

 そう。たくさんいたのだ、ハール以外にも鍛冶師は。

 なのにその中から偶然攻略対象であるハールを選んでしまった。

 とはいえやってしまったものは後悔してもしょうがない。

 頬に両手をあて、パンッと小気味のいい音を鳴らし気合いを入れた。


「まぁなるようになるか!!!」


 こういうときこそポジティブにと気持ちを切り替え、今日の稽古の支度を始めたとき、寝室のドアをノックする音が聞こえてきた。


「シノ様?もう起きられてますか?」


「うん。起きてるよ」


 ドア越しから聞こえてきたセリアの声に返事を返すと「失礼します」と言ってセリアが入ってきた。

 すると私の顔を見たセリアが目を見開き、凄まじい勢いで目の前にやってきたのでちょっと引いてしまう。


「シ、シノ様っ!?そのお顔はどうされたのですか!!」


「えっ、あっそうだった」


 そういえば頬を思いっきり叩いたことを忘れていた。

 案の定赤くなっていたんだろう。そりゃなにしたのってなるよね、分かる。


「いや、ちょっと気合い入れようと」


「一体何の気合いですか!?気合いを入れるのはいいですが、もっと違う方法にしてくださいませっ!」


 そういうとセリアは急いで水を持ってきて、そこにタオルを浸して絞り、それを頬に当てて冷やしてくれる。

 大袈裟だよと言おうと思ったが、セリアが鬼の形相だったので出かかった言葉を飲み込み大人しく治療を受けることにした。


「そういえば、ロドルフィ様からお手紙と包みが届いてましたよ」


 セリアが私の頬を冷やし終え、懐から手紙を取り出し1度私の部屋から出ていき戻ってくると両手で1つの細長い包みを持ってきてくれた。

 セリアから手紙と包みを受け取り、まず手紙から開いてみると相変わらず綺麗な字体でパソコンで打ちこんだのかと思うほど1行1行ズレなく書かれた文章に思わず笑みがこぼれる。




 初顔合わせ以来ハールとは何度か手紙のやり取りをしている。

 主な内容は要望した剣の進捗状況だったり、クライブのというか持ち手の癖などの話だが日常会話も半分くらい織り交ざり、話に花を咲かせていた。

 この日は何食べたとか好きなものと嫌いなものはなんだとかいろいろ聞かれたり聞いてみたり、人からすればどうでもいい話だが私はこういう他愛もない話をするのが結構好きだ。


 先程見た夢を思い出すが、あの冷徹そうなインテリキャラになるとは到底思えない。

 確かに真面目だがあの暗いネガティブオーラはなく、なんとなく明るい感じがするのとあと年下の弟みたいで可愛い。いや実際は同い年だけど。

というかあんなに関わりたくないキャラだったのに今は親近感を感じている。(主に食べ物のだけど)

 やりとりして分かったのだが実はハールも甘いものがかなり好きらしい。今度オススメの菓子専門店に連れて行ってくれる約束をしたので楽しみだ。

 今回の手紙にも隣町のお土産屋にあるプリンケーキと濃厚チョコタルトが絶品だと書いてある。

 おわ、ヨダレが垂れるとこだった危ない危ない。


 さらに手紙を読み進めていくと、今回包みが届いた理由に納得がいった。


『試作品だけど稽古用の模擬刀を作ったから使ってみてほしい。あと使いにくかったらすぐ言ってくれ。駆けつけるから』


 ……そうなのだ。私には今後一切稽古用の模擬刀でさえもハールが作ったもの以外使っちゃダメという規約がつく。

 だからハールから模擬刀が届くまでの間は稽古といえど走り込みやら筋トレやら体力づくりに時間を使っていた。クライブにはちょっと最近体力落ちたから〜などと言って誤魔化したのだがなかなか信じてくれなかった。

 改めて契約の面倒くささを思い知る。

 まぁゲームのヒロインは剣使わなかったしね…。

 武器とか使わないなら特に不都合は生じないからなぁ。

 なんかもし忘れたり失くしたりとかしても手元に戻ってくる剣とか作れないだろうか。

 魔力を入れるとか…。


「あっ!そうだ」


 ふと案を思いついたところで早速ハールに模擬刀のお礼を含め、ちょっとした出来心を書いた手紙の返事を返した。






 ■■■■■■■■■■■■






「……手元に戻ってくる剣???というか魔剣を作れないかだって????」


 後日シノから届いた手紙をちょっとワクワクしながら開けると突拍子もないことが書かれており、ハールは数日頭を悩ますことになった。





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