悪魔の双子
「お父様! お母様! ただいま戻りました。」
冥界の玉座の間に、二人の勇ましい子供たちがやって来る。
「ゼウス、ポセイドーン。おかえり。」
冥王ハーデースは、ルシファーに殺されたゼウスとポセイドーンの魂を宿した子供たちを育てていた。
「今日は楽しかったかい?」
「はい。今日も冥界の竜を5匹倒しました。」
「死者の群れを血の池地獄に蹴り落としてやりました。」
「そうか。よくやった。」
ゼウスとポセイドーンは冥界で育てられて、たくましく育っていた。
「ハーデース様。ペルセポネー様。俺は強くなって、父の仇を取りたいです!」
「私もです! さっさと天界に攻め込んで、神ルシファーの首を打ち取りたいです!」
「私も同じ気持ちだ。もう少し自分たちが大きくなるまで待つのだ。下がって休め。」
「はい。」
「失礼します。」
物心ついたころからゼウスとポセイドーンは、あなたたちの両親を殺したのは、天界の神ルシファーだと教育を受けてきた。二人の心の中には、憎しみや恨みといった負の感情しか育たなかった。
「俺の前を横切ったな。死ね!」
「私のご飯をつまみ食いしたな。死ね!」
ゼウスとポセイドーンに人を思いやる気持ちはなかった。
「この世は力が全て。強ければ生き、弱ければ死ぬ。」
「どんなに祈った所で神は救ってはくれない。」
果たして冷酷なゼウスとポセイドーンの二人の間にも友情があるのかは誰にも分からない。
「ポセイドーン、俺たちで天界に攻め込まないか? ハーデース様もルシファーとの和議の取り決めで攻め込むことはしないだろう。」
「そうだな。私も同じことを考えていた。おまえの天空のハリウッドがあれば空も飛べるはずだ。」
「よし! まずは人間界へ行くぞ!」
「おお!」
不埒なことを思いついたゼウスとポセイドーンは行動力があるので、直ぐに行動を実行する。
「ここが人間界か? 弱そうなのがいっぱいだな。神を殺す前に人間を皆殺しにしようか?」
「楽しそうに笑ってやがる!? ムカつくな!」
初めて見る人間たちを、ゼウスとポセイドーンは価値のない生き物だと思った。
「なにやってるの? 一緒に遊ぼう。アハッ。」
その時、たまたまアンジーが道を通った。アンジーは何も知らずに、同い年位の子供だと思って気軽に声をかけた。
「か、カワイイ。」
「め、女神だ!?」
殺意に溢れていたゼウスとポセイドーンから攻撃心が消えて、呆然とアンジーを見つめている。
「鬼ごっこ? それともママゴトする?」
「そ、そ、それはどうすればいいのかな?」
子供は子供同士仲良くなった。
つづく。




