冥界のルシファー
「それは何ですか?」
冥界にやって来たルシファーは、冥王ハーデースに尋ねる。
「天空神ゼウスと海王ポセイドーンの魂を宿した赤子です。」
「やはり殺しても消えることはないのですね。神の魂は。」
ルシファーはある程度、予想していた範囲の出来事だった。
「私たちは、これ以上、何と戦うのでしょうね?」
「宇宙人かロボット、他の異世界から現れる何か? ですかね。我々の不可侵条約の条約通り、我々も魔物や悪魔の擬人化やモフモフ化を進めています。もう我々に歯向かう者はいないでしょう。」
「それは分かりませんよ。英雄・勇者という者は、いつどこから現れるか分かりません。油断はしないことです。」
ルシファーはどこにも油断がないように見えた。
(油断しているのは、おまえだ! ルシファー! 今頃、空になった天界は私の手先が占拠しているのだ! ワッハッハー!)
冥王ハーデースは、やはり野心家であった。ルシファーを冥界に招いている間に留守の天界を征服するつもりであった。
「半人間かした魔物と悪魔が、純粋な人間と共に暮らしている間に両者に愛が芽生える。例えば、スライムと人間が愛し合えば、顔はスライム、体は人間。そんな素敵な生き物が世界中に誕生します。そうすれば争いの無い平和な世界が築かれるでしょう。」
「人類正常化計画。よくそんなものを思いつきますね。」
どの神や天使や悪魔よりも世界の平和を願って実際に行動したのがルシファーなのかもしれない。
「いえいえ。冥界正常化計画も思いついているのですが、今回あなたは私の協力者だ。攻撃する訳にはいきませんね。仮に私の留守中に不逞の輩が天界に攻め込もうとも。」
「!?」
ハーデースはルシファーに行動がバレていると焦った。
「見てみましょうか? 天界の様子を。」
ルシファーは天界の様子を映し出す。
「どうですか? アナスタシア、天界の様子は?」
「全ての魔物は倒しました。何ら問題はありません。」
映し出された画面には上級天使のアナスタシア一人の姿だけが見える。
(バカな!? 魔物の数は1万はいたはずだぞ!? たったの一人で倒したというのか!?)
「アナスタシアは最強の上級天使です。戦闘力だけでいえば、私よりも強いですよ。クスクスクス。」
ほくそ笑むルシファー。
「次の世代が、どういう世界を求めて選択するのか楽しみですね。私を倒すのか、それとも、あなたを倒すのか?」
つづく。




