漆黒騎士
「かかれ!」
総大将ジュードの掛け声で、剣士や兵士が一斉に3つ首竜トリプル・ヘッド・ドラゴンに襲い掛かる。支援として、後方から弓や魔法、大砲で攻撃を加える。
「ガオー! ガオー! ガオー!」
しかし荒れ狂う3つ首竜は剣士や兵士を振り払い、後方の遠距離攻撃部隊には遠慮なく炎を浴びせて焼きつけた。
「ヒイーイ!? 助けてくれ!?」
圧倒的な3つ首竜の強さに数百の兵士を失い、その光景を見た兵士たちは恐怖に負けて敵前逃亡を始めた。
「逃げるな! 戦え!」
「こんな所で負ける訳にはいかないんだぞ!?」
最初は貴族たちは手柄をあげること考えていたが、ここまで劣勢になると人間には手の打ちようがなかった。
「フッフッフ。普通の魔物ならともかく、魔界在住の3つ首竜だ。人間如きの力で倒せると思うなよ。ワッハッハー!」
ハリウッド王国のウイリアムス王を殺した黒い剣士ロバートが、3つ首竜に蹂躙される人間を見て喜んでいる。
「あ、圧倒的じゃないか!? あの3つ首竜の力は!? あんなの僕が、人間が勝てる訳がない!?」
ジョニーはお家の再興のために3つ首竜と戦うつもりで駆けつけたのだが、自分の目で現実を見た少年は生きた心地がせず、腰を抜かして、その場から動けなかった。
「ガオー!」
3つ首竜の1つの顔が地面に倒れているジョニーを見つけ、大きな口を開け、喉の奥に高温のマグマの様な炎を喉の奥にチャージしていくのが見えた。
「大丈夫か!? ジョニー!?」
そこにブラピが現れる。
「ブラピ!? 来てくれたの!?」
「エマがジョニーを助けてくれって泣くからな。あいつには勝てない。逃げるぞ。」
「うん。」
今度はジョニーも納得の生きるための撤退である。
「ガオー!」
3つ首竜の1つの顔の口から炎が吐き出されようとした。
(死ぬ!? 俺はクリスに会えないまま、ここで終わるのか!?)
ブラピの直感は炎の直撃を受けて瞬殺されると感じた。後悔はクリスティーナのことだけである。
「ギャアアアアオー!?」
その時、炎を吐き出す前に3つ首竜の1つの首がきれいに斬れた。
「なんだ!? 何が起こったんだ!?」
「あれを見て! あそこに人がいるよ!?」
斬れた3つ首竜の首のあたりに漆黒の鎧を着た人間がいた。
「あれは漆黒の装備!?」
ブラピが目にしたのは、漆黒の鎧に身を纏い、漆黒の剣を手にしている人間の姿だった。
「これがハリウッドの力だ。」
漆を塗ったように黒くて光沢がある漆黒の騎士ジュードの姿であった。
つづく。




