魔界のクリスティーナ
「セーラ姫様の御帰還!」
クリスティーナは魔界では先の魔王ネロの娘として、セーラ姫という名前で呼ばれている。
「おお! セーラ様だ!」
セーラ姫の魔界への帰還を祝って歓迎会が行われる。これまでクリスティーナの父の魔王ネロが王座を去ってから、魔王の座は不在だったが、魔王の娘が見つかったということで、クリスティーナが魔王の座に就くことになった。
「おお! なんと美しい!」
クリスティーナ時代の貧乏な姿とは180度違う、高価な宝石を身に着けたり、豪華なドレスを着ている。
(慣れないな。ハイヒールなんて履いたことないのよね。)
クリスティーナは、慣れない環境にとても憂鬱だった。
「それでは新魔王セーラ様からの御挨拶です!」
クリスティーナは魔王の玉座に座っていたが立ち上がり、新魔王の誕生を心待ちにしていた魔界の住人たちの羨望の眼差しに晒される。
(うわあ~!? いったい私に何を喋れっていうのよ!? 助けてー! ブラピ!)
セーラになっても、心の中は孤児院で育ってきたクリスティーナのままである。
「死ね! ネロの忘れ形見!」
その時、一体の大きな目玉ダークアイがクリスティーナに向けて、目から殺人光線を飛ばす。
「え?」
自分が攻撃されるなんて予想もしていなかったクリスティーナ。ダークアイの光線がゆっくりと自分に近づいてくるように見えた。
「なに!? バリアだと!?」
ダークアイの光線は、クリスティーナに当たる手前で魔法障壁にかき消された。
(ど、どうなってるの!? 私、何もしてませんけど!?)
「クラッシュ。」
そして体はクリスティーナの意志とは無関係に口から言葉を発し、ダークアイを潰すように広げた手の平を強よく握った。
「ギャアアアアー!」
ダークアイの体が握り潰されたかの様に砕け散る。
「おお! なんという魔力だ! 間違いない! 魔王ネロ様の娘だ!」
「魔法障壁に、魔王魔法クラッシュ! 新しい魔王様の誕生だ!」
会場の魔物たちがクリスティーナの実力を見て感銘を受ける。
「墳怒のサタン。」
「傲慢のシルファー。」
「嫉妬のレヴィアタン。」
「怠惰のベルフェゴール。」
「強欲のマモン。」
「暴食のベルゼブブ。」
「色欲のアスモデウス。」
「我ら魔界の7将軍! セーラ姫に忠誠を誓います!」
魔界の7将軍は片膝を着いてクリスティーナに忠誠を誓う。
「セーラ姫様! 万歳! 新魔王様! 万々歳!」
クリスティーナは、たいして喋らずに父の魔王の座を相続したのだった。
つづく。




