異世界ならクエストを受けないとね!
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「……朝か」
チュンチュンと小鳥の鳴き声が聞こえる。
とても清々しい朝だ。ベッドで寝るなんていつぶりだったろうか。
隣には、少し間を開けて置かれたベッドにエリアがスヤスヤと可愛らしい寝息をたてて寝ている。
「……そういえば俺、異世界に来てからベッドで寝たのこれ合わせて二回だっけ……」
随分とワイルドな生活してるなぁ。
最初はあんなに希望に満ち溢れてたのに。
思っていた異世界転移とは違う、少々ハード過ぎる生き方をしている事を知って溜息をつく。
「どうした?溜息などついて。」
「起きたか、おはよう。いやね、俺が一応異世界から来た【勇者】なのは言っただろ?それでこの世界に来てからの生活を思い出してたんだが……今までベッドで寝た回数がこれ合わせても二回しか無かったんだよ。」
「なるほど。自分の異常さを再確認したわけか。」
「人間はまだ辞めてねぇけどな」
「それでもそのうち神にでもなるのではないか?」
「本気出したら本当になれそうだから怖い」
コホン、と咳払いをして話を断ち切る
「飯食いにいくか」
「そうだな」
服を着替えて部屋を出る
食堂のテーブルに着くとケモミミちゃんが話しかけてきた
「あっ!おはようございます!」
「よう、おはよう。」
「其方はいつも元気なのだな」
「えへへ~、それが取り柄ですから!あ、ご飯ですか?」
「あぁ、頼む」
「分かりました!」
パタパタとケモミミちゃんが走り去る
「エリア、お前が誰かに話しかけるなんて珍しくないか?」
「……いや、あの少女は純粋だったからな。裏表がないと、余も心を許せる。あの少女の母君もな。」
「……そうか。やっぱり外に出たら考えが変わるな。」
「ところで恩人、あの少女の名前を知っておるか?」
「……そういえば聞いたことないな。」
ずっとケモミミちゃんじゃあ流石に悪いだろう。飯を持って来た時に聞くか。
「おまたせしました!今日のご飯はパイルバイソンのサンドイッチです!」
お、ナイスタイミング
持ってきた料理は分厚い肉が挟まれたサンドイッチだった。バイソンってことは牛なのな。普通、サンドイッチなら鳥だと思うんだが。
「ありがとう。そういえば俺達さ、お前の名前聞いたことがないんだよな。教えてくれるか?」
「あれ、教えてませんでしたっけ?ミスティエルっていいます!お母さんはミルファ、お父さんはグリムノーツです!」
「OK。ありがとう。これからはミスティエルちゃんって言うことにするよ。」
「余もそうしよう。」
「あ、はい!」
そのままミスティエルちゃんは仕事があるといってまたもやパタパタと走り去っていった
……父親の名前すげぇ強そうだな
あ、サンドイッチは凄い美味かったです
☆
「……なぁ、エリア。また威圧をしながら入って行った方がいいかな」
「余に聞かれても反応に困るわ」
俺達は今、冒険者ギルド前に立っている。何故かって?それは勿論、異世界らしくクエストを受けるためだよ!
まぁいいか。威圧せずに行こう
扉を開けるといくつもの視線が飛んでくる。
……何故か殆どが畏怖の視線なんだが。
「ヤベェよ。また気やがった……!」とか「1週間後って言ってただろ!」だとか、あまり歓迎されてる感じではないかな。
だが俺はそれを無視してカウンターへと向かう
「あれ?まだドラゴンさんの査定は終わってませんよ?ギルドマスターも帰ってきてませんし」
座っていたのは緑髪の受付嬢ちゃんだった。
「いや、今日は普通に依頼を受けようと思ってな。一番危険なやつを頼む」
この依頼の仕方は自分でも頭がイカれていると思うが、手っ取り早く金を稼ぐにはこれが一番いいと思うからな。
そしてエリアの魂を回収し尽くしたら溜め込んだ金を使って隠居するつもりだ。
「い、一番危険なやつですか?うーん……チラッと見えたユイトさんやエリアさんのステータスなら魔王でも倒しに行けると思うんですけどねぇ……あっ!最近、この近くのジムっていう山に亜竜の群れが住み着いたとか言ってましたね。多分それが一番危険なクエストだと思います。」
「んしゃあそれで頼む。」
「分かりました!受理しましたので、気を付けて行ってきて下さいね!」
「あぁ。」
ギルドを出るときに「化け物」だとか「ワイバーンってSランクだろ!?」だとか「あぁ、あの白金貨500枚の死にクエか。自殺志願者なのか?」だとか「お前あの人知らないのかよ!?」だとか聞こえたが気にしない。
町を出て、周りを見渡すと、少し遠くに山が見えた。
「『万物理解』」
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ジム山
標高約800m
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簡潔!まぁ、山の説明なんてそんなもんか
「エリア、飛ぶぞ。掴まれ。」
「あぁ」
翼を『生成』し、エリアを抱き抱え、飛び立つ。
山には、数十秒で着いた。
確かに、山の中腹辺りに羽の生えたトカゲみたいな奴が沢山いる。
数えると、17匹だった
「『万物理解』」
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亜竜
討伐ランクS
龍の亜種。名前も亜『竜』となっている通り、本当の龍種には遠く及ばない。だがそれでも討伐ランクの通りに強い
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討伐ランクS。つまりあのデュラハンさん達と同じ位の強さという訳だ。それならば今の俺の敵じゃあない。あの三体の様に連携する事も出来ないだろうからあの頃の俺でも勝てるだろう。
つまり、俺達にすると雑魚ということだ
「……なぁエリア、群れた虫を見るとさ、靴で踏み潰したくならないか?」
「余は虫が苦手だがその考えは理解出来んこともない。」
「おし、エリアさん、昨日言った通りにキビキビ働いて貰うぞ。やってしまいなさい!あと、俺も虫は大っ嫌いだよ。」
「合点承知、とでも言えばいいのか?『黒き月』!!」
あ、この魔法知ってるぞ。エリアの記憶の中で見た。確か 、闇属性魔法の最強技で、自分よりステータスの奴は即死し、自分よりステータスの高い相手はステータスを極大ダウンさせるとかどうとか。
多分、ワイバーン程度じゃあエリアのステータスに追い付く事は不可能だったのだろう。全てのワイバーンは即死した。
ちなみに俺達は地に足もつけていない
「わお。クエストクリア!」
「恩人、この後はどうする?」
「……帰って図書館にでも寄るか。そこでエリアの魂が封印された場所が載ってる本でも探そう」
「ならば帰るか。死体を回収するぞ」
「言われなくても」
ワイバーンの死体を『暴食』で喰ってから飛び立つ。
これまた帰るのには一分かからなかった。
冒険者ギルドに入ると、とても驚愕された。そりゃあそうだろう。さっき出ていったと思ったら五分もせずに帰ってきたのだから。
クエストを諦めるにしても、もう少し時間がかかるだろう。
俺達はまっすぐ受付嬢ちゃんのカウンターに向かう。
「クエストをクリアした。確認を頼む」
「ええ!?わ、分かりました……?」
絶対理解してないだろ。まぁいい。
ワイバーンの死体を17個出す
「えっ、」
「ワイバーンは全部で17体いた。とりあえず買い取ってくれ」
「は、……はい!えーと、Sランク魔物一体につき白金貨30枚なので17体で510枚。そして報酬も合わせて黒貨1枚と白金貨10枚となる……のですが、黒貨が無いので六日後のドラゴンさんの報酬と一緒に、ということでいいですか?」
「分かった。そうしてくれ」
「分かりました。ではまた六日後に」
「あぁ」
今日はあの馬鹿トリオみたいな奴に絡まれることは無かった
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