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異世界なら宿屋に行かないとね!

昨日は勝手に休んですいません!

明日、ふたつ更新しますので!

俺達は今、町を歩いている。


目的は宿を見つける事と服を買う事だ


実は結構宿探しは楽しみにしている。

異世界転移モノは大概宿屋の人と仲良くなったりするからな


あの惨状の後は相手側に非があったということで厳重注意で済んだ。が、改めて俺の力の異常さを感じたね


「なぁ、エリア。お前はどんな感じの所がいい?」

「恩人は金ならあるのだから一番豪華な宿に行けばいいだろうに」

「いやいや、その考えは邪道だ。大概みすぼらしい宿とか周りの評価が低い宿とかの方が人の温かみがあっていいに決まってる」

「恩人がそう思うならそんな宿でいいんではないか?」

「エリアはいいのか?」

「余は恩人に準ずるさ」


話が途切れ、無言で歩く


数分歩くとどうやら宿屋が集まっているような場所に着いた


「ちょうどいい。ここで探すか」

「そうだな。恩人の希望はなるべくみすぼらしくて人が少ない所、だったか?」

「エリアが嫌ならいいんだぜ」

「また言わせるか、恩人の希望通りにしてくれ」

「そうか」


少し回っていると、俺が思っていた通りの宿が見つかった


どうやら『山風の宿』というらしい

扉を開け中へと入る


「いらっしゃいませ!『山風の宿』へ!」


迎えてくれたのは金の毛をした垂れ耳モフ尻尾の美少女だった


「おお!可愛いな!」

「えへへ~そんな~」

「……余も女なのだがな」

「え?嫉妬?嘘、萌える」

「燃える?死ぬのか?」

「いや、エリアが可愛いってことだよ」

「……そうか」


少し居た周りの宿泊客から「イチャイチャしてんじゃねぇよ!」とでも言いたげな視線が飛んでくる


「えとー……なんの御用で?」


おっと、放置してしまっていたな


「すまなかったな。一泊どれくらいだ?」

「一泊は七銀貨となります!ご飯は朝晩で一銀貨、お湯は五銅貨です!」

「一週間、二人部屋でっていけるか?」

「はい!ご飯とお湯はつけますか?」

「お湯はなんに使うんだ?」

「え?あぁ、普通の方はお風呂の代わりにお湯で濡らしたタオルで身体を拭くんですよ。大浴場に毎日行くのなら別ですけど……」


風呂あるんだな!


「そっか。なら飯だけ頼む」

「わかりました!こちらへどうぞ!」

「金は今払わなくていいのか?」

「料金は後払い制になってます!」

「そうか」


ケモミミ美少女ちゃんに案内された部屋は結構広い部屋だった。てか普通に綺麗じゃん。日本で来たらそれなりにするであろうほどの部屋だった


「ほう、綺麗ではないか」

「エリアもそう思うか」

「えへへ、ありがとうございます」


宿が褒められて嬉しそうだ。尻尾も揺れている

初獣人がこんな美少女で良かった。ゴツイおっさんとかだったら違う意味で忘れなくなる所だったぜ。


「では、ごゆっくり~」


ケモミミちゃんが退室する


「……で?どうする?すぐに行くか?」

「すぐに買いに行くのも良いのだが恩人のスキルで服を作るのは出来んのか?」

「いや?出来るぞ」

「なら買わなくてもよいのではないか?」

「女物は作れん」

「……生産職の癖に日常では役に立たんのだな」

「いや、あの城にいた頃は便利だったんだぜ?水も服も布団なんかでも作れたからな。じゃないと俺はお前とここに居れなかったし」

「なんだ?口説いておるのか?」

「まぁ、おう」

「なら辞めておけ。余にしたら恩人はまだまだ子供だ」

「見た目はお前の方がロリなのにな」

「封印されて成長が止まっておったからな」

「……そうか」


はぁ、デレないかな


「まぁ良い。やっと『買い物』という日常らしい事が出来るのだ。早く行くぞ」

「おう」


エリアに連れられ宿を出る。

こうやって見た目通りの顔をしてたら可愛いのにな


歩くこと約五分

服屋らしき場所に着いた。

オカマの筋肉モリモリマッチョメンなんか出てくんなよ……!


「あーらいらっしゃい」


出て来たのはピンクのタンクトップを着たマッチョのオカマ……ではなく丸く太ったオバチャンだった


「何を探しにきたんだい?」

「あ、あぁ。コイツの服を探しにな」

「あーら!可愛い子ねぇ!この髪も凄いサラサラだし!私頑張っちゃうわよ!」


オバチャンがエリアの銀髪を梳いたり頭を撫で回したりする。


当の本人は迷惑そうにしてるがな


「ほらほら!奥にいくわよ~!」

「……あぁ」


エリアが無表情のまま店の奥に連れていかれる。


元気なオバチャンだな。

まぁ俺は待っていますかね


待つこと数時間

ツヤツヤした顔のオバチャンとげっそりしたエリアが出てきた

エリアの服はゴスロリ系の服になっている


「おい、なにしやがった」

「いやねぇ、人を悪者みたいに。だだこの子が可愛かったからちょっと張り切っちゃっただけよ~」

「……なんもされてないか?」

「人間に恩人以外で余にダメージを与えられる奴がいるとは思わなかったぞ……」

「ほら、言ってるじゃねぇか」

「あらー?その服お気に召さなかったかしら?試着したなかで一番似合ってたんだけどねぇ」


そういう意味じゃねえ!と、心の中でツッコミを入れる。こいつには言ってもかわされるだけだろう


「あー……その試着したやつ全部くれ。」

「別に試着したからって買わないといけない訳でもないのよ?」

「いや、たった一着じゃ駄目だろ?」

「あら、カッコイイ事いうのね。惚れちゃうわぁ」

「ノーセンキューだ」

「あら残念」


服は全部で16金貨だった。日本円に換算すると16万円か。随分買ったんだな。というかこの世界には~貨しかないのか?ゼニーとか言わないのか?


「また来てねぇ!」

「だってよ」

「出来れば遠慮したいな」

「……そうか」


外に出るともう日は落ちていた。

空には日本では見られないような満天の星空があった


「夜の町ってのもいいな」

「……うん。いつぶりかな?星が綺麗だよ」


……思わず素になるほどには嬉しいらしい。こうなると、ただの少女なのにな。


「確か、風呂がどっかにあるんだったよな。寄ってから帰るか」

「……あぁ」


隣を見ると、あんなあどけない顔はしていなかった。


……俺は、どっちを本当のエリアとして扱えばいいのかね


…………

……

..

.


「あっ!おかえりなさい!」

「ただいま。って言えばいいのか?」

「はい!」

「そうか。ただいま」

「ただいま」

「おかえりなさい!ご飯はどうします?」

「すぐに頼む。それでいいよな?」

「あぁ」

「分かりました!すぐに用意しますね!」

「あはは、あんた達もすまないねぇ。あの子の相手をしてて疲れないかい?」


席に着くと突然、あのケモミミちゃんを大きくしたような人が話しかけてきた。

多分母親だろう


「いや、子供はあのくらい元気なのが丁度いい」


まぁ俺もまだ高校生なんだけどな


「そう言って貰って嬉しいねぇ」

「あっ!お母さん!どうしたの?」

「あんたがお客様に迷惑をかけてないかの確認だよ」

「ひっどーい!私ちゃんとしてるもんね!」


お盆に料理らしきものを乗せてケモミミちゃんが帰ってきた


「……騒がしいな」

「だが、余はこの感じが好きだ。ちゃんと人が居ると思える」

「……俺はお前を離さねぇよ」

「口説くにはあと二年足りん」

「微妙に現実的だな」


「待たせてごめんなさい!」


ケモミミちゃんが料理をテーブルに乗せる。

こ、これは!……オムライスにしか見えないんだが


「なぁ、これは異世界の勇者が伝えた料理だったりしないか?」

「よく知ってますね!オムライスっていうらしいですよ?お父さんの作るやつは絶品なんですから!」

「そうか」


どうやらケモミミちゃんの父親が料理を作っているようだ

ケモミミちゃん達が去っていった。まだ仕事が残ってるのかね


「いただきます」

「なんだそれは?」

「あぁ、異世界の挨拶だよ」

「……? 恩人は異世界からの召喚者なのか?」

「言ってなかったっけ?元々の俺は雑魚でな。それこそ無能やら穀潰しやらヒソヒソ言われてたと思うぜ」

「何故恩人はあの城にいたんだ?」

「捨てられたんだよ。雑魚は邪魔なんだったろうな」

「……確かに、恩人が言ってたように似ているといえば似ているな」

「だろ?……ほら、冷めちまうぞ。食べよう」

「あぁ」


「「いただきます」」


オムライスを一口、食べる


「はは……」


美味い。そういえば、これがあの城に転移させられてから初めての食事だな。

え?なんで餓死しなかったかって?そんなの体内に直接『生成』で五代栄養素を作ってたに決まってるだろ。ちんたら飯なんか食ってたら殺されてたかもしれないし、胃に物があると機動力が下がるしな


「……食事というのはこんなにも幸福感に溢れるものだったのだな」

「俺も、そう思うよ」


その後は無言で飯を食べた。無粋な会話なんていらなかった


する事もなくなり俺達は部屋に戻った。


「……寝るか」


ベッドに寝転がる


「ねぇ、唯斗(・・)

「あん?どうした?」

「ありがとう。()を連れ出してくれて。唯斗(・・)()を彼処から出してくれたから()は空気が美味しいって感じられたし、空が綺麗とも、ご飯を食べて美味しいとも思えた。唯斗(・・)がいなかったら()はあのまま惨めに死んでたと思う。だからね、ありがとう」


エリアの方には向かない


「……明日、クエストに行くぞ。そう思うならキビキビ働け」

「ふふ……恩人は不器用なのだな。分かった」

「そうか。なら、おやすみ」

「あぁ、おやすみ」

誤字、脱字報告、感想待ってます!

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