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プロローグ

地獄の底から蘇ってきました。


「俺様に触れたな?」


 男が言う。


「不敬であるぞ」


 男が手を前に翳すと、その背後に大量の光球が生まれる。ひとつひとつが小さい町を蒸発させうる熱量を持つ光球がざっと数えても百以上。

 それと対峙している少年、(ひいらぎ)唯斗(ゆいと)は肉食獣のように歯を剥き出しにして嗤った。


「うるせぇよクソカスファンタスティック傲慢野郎が。一人称"俺様"ってなんだよナルシーかよ気持ちわりぃ。さらにロリコンでストーカーの気もあるんだろ? いやはや全くら救えねぇなぁ」


 煽る。


 特に深い事は考えない。煽ったからといって、それで動揺を誘えるような相手ではないからだ。しかし、ただひたすらに腹が立っているから、恨み辛みがあるから、感情に任せ結斗は男を罵倒する。


「ハ、ハハ、ハハ、ハハハハハハハハハハハ!!」


 男は俯き、顔を右手で覆い、左手で腹を抑えて爆笑する。

 あんまり笑わせないでくれ、のポーズだろう。


 男はひとしきり笑った後、能面もかくやという無表情となった。


「貴様ほど面白い奴にあったのは大体三百年ぶりだ。死んだ後も三十分くらいは忘れないでいてやるかもしれんぞ」

「そいつは光栄なこった」


 唯斗が言い終わると同時に男はパチン、と指を鳴らす。

 すると、男の周囲に浮遊していた光球が高速で射出された。



「らぁぁぁああああああっ!!」


 射出された光球に対し唯斗は右手に輝く剣を生み出し光球に対して駆け出した。

 弾き、斬り、時には剣から斬撃を飛ばして光球を壊してゆく。


「ほう、中々やるではないか」


 男がもう一度手を指を鳴らすと先程よりも多い数の光球が生み出され、射出された。


「これでもいくつか死線超えて来てますからァ!」


 結斗はもう片方の手にもう一方と対を成すような漆黒の剣を生み出し光球を粉砕してゆく。


 全ての光球を粉砕した唯斗は男へ向かう。

 男も手に極彩色の槍を生み出して構える。


 瞬間、男と唯斗が激突し、辺りに破壊が撒き散らされた。



 ☆


 朝。


 俺は全力で自転車を漕ぎ、長い坂を登っていた。

 下手をすると遅刻するかもしれない。

 今日は少し寝すぎた。起きたのが8時を超えていたのだ。

 いつもは遅いながらもここまでギリギリになることは無かったのに。


 あぁクソっ、一応成績優秀で通ってる俺が遅刻なんていう醜態を晒すわけにはいかないっ!


 俺の通っている学校は鎌月学園という偏差値六十と少しの学校だ。


 学校への道のりはそう長くはなく、自転車を飛ばせば十分程で着く。

 しかし、途中でそれなりに大きな坂がある為体力は結構使う。


「遅刻してたまるかぁぁぁあああ!」


 俺は自転車を漕ぐスピードをさらに上げた。






「ギ、ギリギリ間に合った.......」

「よう唯斗!今日も遅えなお前!」

「あぁ……おはよう」


 挨拶を返したのも束の間、俺は机に突っ伏しだ。


 俺に挨拶をしてくれたこの男は鹿山(かやま)(すばる)。百九十ある身長に体重九十超えでさらに体脂肪が5%きっているらしいごつい体躯に角刈りの頭。昔の漫画の熱血キャラのような奴だ。

 俺の中学からの友人である。なおラグビー部だ。

 そう言えば何か嫌な予感がする。


「なぁ、今日の授業ってなんだっけ?」

「えっと……確か一限が体育、二限生物基礎で、それから数I、現文、現社、コミュ英。んでLHRだ。」


 やばい。嫌な予感が的中した。


「体操服忘れた……。今から借りに行って間に合うかね?」

 「いや、無理だろ。ただでさえHRギリなのに」

 「まじかー……。うわー、アイツ忘れ物するとめんどくさいんだよなぁ……。くっそ、異世界カモン。どうか俺を召喚してくれぇ……」

「ハハッ、またそんな事かよ。何回も言っといて一度も起きてねえんだからそろそろあきらめ──────」


 軽薄な笑みを浮かべ、「またか」といった態度をありありと示していた昴は、突如目を見開き、口を噤んだ。

 何故晃の言葉が途中で遮られたかというと、教室の床に光り輝くファンタジー系のゲームでよく見る魔法陣のような幾何学模様が浮かび上がったからだ。


 ……ウッソだろお前。


「何よこれ!?」

「おい!どうなってやがんだ!?」


 突然の事に教室が阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる。すぐに反応出来た女子生徒はヒステリックな叫び声をあげ、男子生徒は窓や扉を開けようと試してみたり、ぶち破らんとして窓、扉に蹴りや椅子を叩きつけたりしている。


 俺はといえば席に着いたままどこか他人事のようにそれらを見ていた。


「皆さん逃げて下さい!」


 うちのクラスの担任。木山百合子先生。通称百合ちゃんが声を張り上げるがとても聞こえているようには思えない。そもそも、逃げる事が不可能なのだろう。


「くそっ!!なんで扉が開かねえんだよ!?」

「窓も開かねえぞ!」

「ぶち破っちまえ!」

「既に試したんだよ!」


 生徒の焦りや激しくなる怒号に比例するように魔法陣のようなものは放つ光を強めていく。





「ははっ、」


 非日常の訪れに俺は軽く笑った。


 そして魔法陣のようなものが一際強い光を放ったと思うと、視界は白色に塗りつぶされた。

これからはエタらないように投稿していきたいです(小並)

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