恋した貴方は吸血鬼!?
なんとなく書いた恋愛小説。
「え、あの、今…なんて?」
皆さんこんにちは。私は雨宮 雫と言います。
始まりがあれで、よくわからなかったでしょうけど…
今の状態を説明しますと、
私には好きな人がいて、勇気を出して放課後呼び出して、告白したあとなんです。
それで、告白した後に言われた言葉が……
「ごめん、僕、人間じゃないんだよね」
ですよ!?
意味わかんないです…
それで、今は言われたことが衝撃的すぎて固まってます……私が。
「雨宮さん?聞いてる?」
「え、あ、は、はい」
「あー、やっぱり引くよね。いきなり人じゃないなんて言われたら」
「あ、い、いえ、ちょっとびっくりしただけです」
あ、言い忘れてましたが、私の好きな人の名前は篠谷 洸君です。
彼は私が引いていないと答えると、びっくりした顔していました。
「あの、篠谷君?どうかしました?」
「ああ、いや……雨宮さんは引かないの?」
「?…なんでですか?」
「え、なんでって…普通は引かない?自分と違うモノがいれば。それか、嘘や冗談だと思わない?」
え、なんで?
「引かないですし、私には篠谷君が嘘や冗談を言っているようには見えませんよ?」
「!」
私が篠谷君を信じていると言うと、篠谷君は顔を赤くして俯いてしまいました。
「それに」
「?」
「私、今、貴方に告白しましたよね……?」
「あ、ああ、うん」
「信じられませんか?」
「そんなことは……」
ああぁぁ、恥ずかしい!
改まって言うとこんなに恥ずかしいんですね……
……いっそのこともう一回言ってみましょうか
顔が赤くなったまま、もう一度好きだと伝えてみます。
「私は、篠谷君が好きです。その気持ちは、嘘や偽りなんかじゃありませんっ!」
「……っ!」
もう勢いで言ってしまいます。ヤケクソです。
それを伝えた後、もう恥ずかしさに耐えられず、顔をこれ以上ないんじゃないかってくらい赤くして、目を閉じて俯きました。
そうして、時間がたっても私の羞恥心はおさまってくれず、俯いて目を閉じたままでしたが、地面を踏む音が聞こえ、篠谷君が近づいているんだと思いました。
が、近づいているのはわかっても、やっぱり恥ずかしくて顔を上げることはできませんでした……
うぅ、私の意気地なし…
「雨宮さん」
「……っ、あっ……」
うぁ、変な声出た!
きゃー!聞かれた、絶対聞かれたー!
パニックになってましたが、原因は篠谷君が私の頰を両手でおさえ、顔を無理矢理篠谷君の顔の位置に向けさせられたからです。
篠谷君、私より何十センチか身長高いですから、必然的に上の方に向くことになるんです。
私は篠谷君を見上げる形で、篠谷君の顔を見ることになりますが……
え、なにこれ。顔近い!
未だかつてないぐらいに顔近いよ篠谷君!
えぇぇ!?なにがどうなってるの!?
今、さっきより顔赤いと思うの……
「し、しの……や、くん?」
「ありがとう。僕が人外……吸血鬼だと言って引かれなかったのは、君が初めてだ」
「篠谷君、吸血鬼なんですね」
「ああ、うん。言ってなかったね」
あれ、吸血鬼って言ったら……
「篠谷君は、人の血を飲むんですか?」
「あー、飲まなくはないかなぁ。ずっと輸血パックでだったし。生身の人間の血を飲んでいる他の吸血鬼はいるけどね」
「牙は……」
「あるよ。今は少し鋭い八重歯みたいなだけだけど。ほら」
篠谷君はそう言って、口を開けて見せてくれました。
ちょっと興味本意で、篠谷君の牙-今は八重歯-を触ってみました。
それが後に大変なことになるとは知らずに……
篠谷君の牙を触ると、彼が少しビクッとなります。
「あ、ごめんなさい」
「いや、それはいいんだけど…」
「?」
いいんですか?じゃあ……
「あの、今更ですけど、触ってみても、いいですか?」
「えっ」
「……ダメですか?」
「そんなこと言うのも、君が初めてだよ」
「そうなんですか?」
「うん。……ちょっとくらいなら、触ってもいいよ」
「……!」
よかった、少し、鋭い八重歯が気になっていたんですよね〜♪
「ふはっ」
「ふぇ?なんで笑ってるんですか?」
「いや……すっごい目キラキラしてるから」
「え、そうですか?」
「うん。すっごい触りたそうな目してる」
「うっ……もう、触っていいですか?」
「あははっ!いいよ。なんか待てしてる犬みたいだ」
犬…?
「わん?」
「ぶはっ!あははは!本当にそれっぽい!」
「むぅ……」
もう、いいよね?触っても。
我慢がきかない〜……
で、手を伸ばして触ったら、勢い余って鋭い歯で指を切ってしまいました…
「痛っ!」
「え、雨宮さん、だいじょ……っ!」
あー、切ってしまいました。血が出てますね。
血は少量ですけどね。
って、篠谷君?
篠谷君は私が指を切ってしまったときから、俯いていました。
え、どうし……
「え……?」
え、なん、どうし……
な、なんで篠谷君に指を切った方の手首を掴まれているんでしょうか?
……あっ!
指、少量ですけど血が出ているんでした!
で、篠谷君は吸血鬼。
え、これピンチです!?詰んでますか!?
「篠谷君……?」
名前を呼んでも返事がありません。
……戻ってきてー!
「………」
「あの、篠谷君……ぁっ!」
篠谷君は私の手首を掴んでいる方の手を顔に寄せ、血が出ている指を舐め…
って、ちょ、本当に戻ってきてー!
「……し、のや……くん、やめ……っ!」
うぁ、なんですか!?コレ!?
目を開けて私を見つめながら血を舐める篠谷君。
ちょ、エサを見つけた猛獣の目なんですけど!?
私エサ!?ちょっと本当にピンチですー!?狙われてますー!?
てかなんか麻痺してくるんですけど!?
あれですか!?定番の唾液に媚薬ですか!?吸血鬼の毒ですか!?
「……んぁっ!」
「………」
ちょ、無言なのが怖いんですけど!?
理性飛んでるんですか!?意識ありますか!?
え、ちょっと、無言で私を抱き寄せないでくださいよー!!
抱き寄せられるのは嬉しいですけど、この状況でだと嫌な予感しかしないですー!!
離れようとしても抱き締める力が強くって押し返せないですー!!
で、案の定、篠谷君は私の首筋に顔を近づけます。
すると、私の首筋をザラザラした熱をもったなにかが……
「ひぅっ!」
ってこれ絶対舌でしょう!?舐めたでしょう!?ぺろって!!
ちょ、血、吸う気ですかー!?
で、今度は唇を首筋に寄せてきました。
な、なにする気ですか!?
血ですか!?本当に吸うんですか!?
と、思ったら首の方で、ちゅうっという音とともに、小さな痛みがきます。
「ふぁぁ……あうっ!」
あー……本当に麻痺しますぅー……
意識が飛びそうですぅー……
「………ぁ、っ!!」
「ふぇ、篠谷、君……?」
「あ……」
「大丈夫ですか……?」
「あ……う、ん」
はぁー…よかったです…首筋に噛まれる前に戻ってくれて…
安心したのか、私の足の力が抜けて崩れ落ちそうになったのを篠谷君が慌てて支えてくれます。
「ご、ごめん……」
「大丈夫ですよ〜。首は噛まれてないですから〜」
「ほ、ほんとにごめん……」
「いいですから。謝らないでください」
「だ、だって……僕は君を、噛むところだったんだよ…?」
「そうですけど、噛まれてないんだからいいじゃないですか〜。噛まれそうになった方が言うんですから、もういいんです!」
そう言うと篠谷君は困惑しきった顔で私に問いかけます。
「君は、僕が怖くないの……?」
「なんでですか?」
「僕は自分をコントロールできなくなってた。あのままだったら、君を殺してしまうかもしれなかった」
「できたじゃないですか、コントロール」
「でも、もしできていなかったら……!」
「でもはいいです。もう一度言いますけど、私は貴方が好きなんです。告白もしましたよ?忘れたんですか?」
「忘れてはいないよ。でも、いくら君が僕のことを好きでも、自分を殺してしまうような人……いや、僕は人ではなかったね。自分を殺してしまうような怪物、もう近づかない方がいいだろう?」
そう言って私から離れようとする篠谷君の服の胸のあたりを強く掴んで引き止めます。
「嫌です」
「え、でも……」
「嫌です!私から離れようとしないでください!私は、篠谷君に離れられるのは嫌です……!」
「………」
私から離れてくれるのは止めてくれましたが、何も喋ってくれません。
「篠谷君、貴方は、怪物なんかじゃないです。たとえ貴方が、人間じゃなくても、吸血鬼でも。私にとっては、なんでもない、ただの私が好きな男の子です」
「……」
「私は、篠谷君に……貴方に、そばにいて欲しいです」
「……うん」
「だから、絶対私から離れていかないでください……」
そう言ったけど、涙がでそうになったので、顔を俯けさせます。
と、急に引き寄せられて、篠谷君の腕の中に入ります。
まあ、抱き締められてるわけですが。
「うん……ごめんね」
「ふぇぇ、篠谷君〜……」
「今更だけど、返事」
「……んぅ!?」
えっ、返事!?
え、言葉じゃないんですか?
なんかいきなりキスされたんですが!?……もちろん唇にです
「ふぇ、な、なにを…」
「だから返事。……僕も君が好きだよ」
「……!!」
「僕は吸血鬼だから、人じゃないから、この気持ちは抱いちゃいけないと思ってた。君に告白される前から、君が好きだった。だから、君に告白された時は嬉しかった。でも、この事を君に知られたら、君は僕から離れていくと思った」
「私はそんなに、弱くないです……」
「うん。だから、君が僕を怖がらなかったのは嬉しかったよ」
そう言って篠谷君は屈託のない顔で笑いました。
……うっ!ちょっときゅんときましたです
「……当たり前です」
「君にとっては当たり前でも、他の人は違うから」
「他の人とは違うんです!私が好きなのは篠谷君、貴方だけです」
「……!」
へ、そんなに驚くことですか?
……おー、顔がみるみる真っ赤に。
「……篠谷君、可愛いです」
「……なっ!男に、可愛いとか言わないでよ」
「うふふ、ごめんなさい。だって、可愛いんですもの」
「まだ言うか……」
「ふふふ〜。本当のことですし〜」
あー、可愛い!なでなでしたいー。
するか。してもいいよね?いいよね?
で、結局なでなでした。頭を胸に引き寄せて。
実は私、身長は女子の中でも低い方なんですが、胸だけは大きいんですよね。
栄養全部そっちにいったと言われるくらい。
だから頭を胸に引き寄せると、篠谷君の顔は胸に当たるわけですよ。
……しかし、その時の私はそれに気づいてはいなかったのです。
「……!!」
「うふふ〜、なでなでです〜」
「………」
「うふふふふ♪」
あー、可愛いー!なでなで楽しいですー♪
「雨宮さん……もういいや、雫」
「へ、あ、はい!」
「僕が男だってわかってる……?
「ふえ、あ、わ、わかってますよ……?」
へ、あれ、なんか不機嫌……?
「あ、あの、しの、や、くん?」
「……洸」
「え」
「洸って呼んで」
「え、あ、はい、わかりました。……洸君」
「できれば呼び捨てがいい」
「うぇ!?あぅ、こ、洸……?」
「ん、それがいい」
「うん……」
ふえ〜、な、名前の呼び捨てはハードルがぁ〜……
……まあ、慣れです、慣れ!
「で、雫?俺が男だってわかってるなら、なんでこういうことするかな……?嬉しいけどさ」
「俺……?こういうこと……?」
「ああ、もともとはこれが本性。一人称も俺だよ。こういうことってのは……」
洸はそう言うと、私の胸に擦り寄ってきます。
ふえ!?
「ひあぁ!?や、やめてくださいー」
「雫が俺の頭を抱いて胸に押し付けたんでしょ?今も頭を抱いたままだし」
「……はっ!そうでした」
気づいて慌てて離しましたが、今度は洸に抱き寄せられました。
……今気づいたんですけど、抱き寄せられると胸、洸に押し付けてるみたいになるんですよね。あぅぅ……
「わかった?」
「は、はいぃ〜……今のみたいな事をしなければいいんですか?」
「絶対ではないけどね……されなくなるのはいやだ」
「……?わかりました……?」
「なんで疑問形なの」
「絶対ではないと言われても、するタイミングみたいなの、わからなくて……」
「……!」
絶対にやっちゃダメでないのなら、いつやればいいんでしょうか?
「これだから雫は……!」
「ふぇ?洸?え、なんですか……んっ!?」
で、気づいたらまたキスされてました。
「んんん〜……ん、」
ちょ、長い!長いよ、洸!
「んんんっ〜!」
唇強く押し付けないで〜…苦しい〜…
「んんっ!ぅ、ん〜………んぅっ!?」
え、え、ちょ、な、なにしてんの、洸!?
息できなくって苦しいから口開けたら、ぬるぬるしたもの=舌入ってきたんだけど!?
こ、これがディープキスというものか!?
とか言ってる場合じゃない〜!!!
「んん〜!ふぅ、ん……んぁっ!」
え、やだなにこれ、キスってこんな気持ち良いものだったの?
って、そうじゃなくって〜〜〜!!
「んん〜!こぅ、やめ……ぇ、んぁ!」
「やだ、やめない。……っは」
え、やめて〜〜〜!!
って、あっ!制服のシャツとスカートの間に手を入れないで〜〜〜!!!
「……は」
「……はあっ、ん、こう、手、離し……」
「やだ」
「……ぁんっ!や、め……」
きゃあ〜〜〜〜!!
制服の下から素肌撫でないで〜!!
って、あぁ!!
だんだん上に向かってる!?
え、む、胸はやめて〜!!
「やぁっ!洸!……ぁ、ふぁっ!?」
「……感じる?」
「やぁ、そんなこと聞かないで……」
まさかこのまま…!?
と、思いましたが、杞憂だったようです。
「……雫、こういうことされても文句言えないよ?」
「……はぁ、ふぇ?」
「だから、俺に胸押し付けたりするとこうなるよ?」
「はぅ〜……」
「こうされたくなかったら、むやみに押し付けたりしないでね?」
「はぃぃ〜……」
私がそう答えると、洸は離れていきます。
……あれ?残念に思っている自分がいる!?
え、あ、そ、それは考えちゃダメですー!!
そんなこと考えた自分を頭から抹消するんですー!!
……でも、
「嫌じゃなかったです……」
「………っ!?」
はっ!えっ、ぽろっと口に出てた!?
あ、え、や、ヤバイです……?
「雫……?」
「え、は、はぃぃ〜」
「……それは、最後までしてもいいってこと?」
「えっ!?う、あ……」
「……雫?」
「……や、やっぱりダメです〜!!」
恥ずかしすぎて逃げてしまいました……
私の後ろで洸が笑ってるですー……
でもそんなもの無視なのですよ!
私は逃げるのですよー!!!
篠谷君はちょっと変態気味です。