とりまき生活
マリア様のとりまきをやっている我々の朝はとても慌ただしい。
まずはマリア様を起こすところから始まるのだが、あのお嬢様は中々起きない上に寝起きがとっっても悪いのでいつもいつも起こすのに時間がかかる。
寝汚い+寝起き悪い=最悪ツーコンボに何度心の中で舌を打ったことか…。
この人と関わってるとストレスで寿命縮まる。絶対縮まる。レオン様御愁傷様です。チーン。
その後も着替え、ヘアセット、化粧などを念入りに行うためいつもいつも時間がかかる。
朝食も食堂が混んでいるのが嫌だということでとりまきが日替わりで食堂でテイクアウトしてきてもらっている。
そしてゆっくりと食べるもんだから登校時間内に余裕を持たせるのが大変だ。そんなとこだけ貴族感出さなくて良いっての。
というわけで我々は時間が掛かり過ぎるマリア様に合わせるため毎朝かなーり早くから行動を開始しているのである。
王子の婚約者が遅刻ギリギリに登校だなんてことは我々とりまきの誇りにかけても阻止しなくてはならないのだ!
マリア様に付き添って私まで遅刻とかそんなの後免だしね。
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そして学園へ登校したらまずは周りを観察してから声を出します。
まぁつまりは変な支線を向けている奴を発見したらその視線の内容はあまり重視せず、突っかかりにかかるだけです。
周りの令嬢との力関係を崩してしまう訳にはいけないので毎日アピールを行っているという訳です。
とりまき同士でアイコンタクトをしてまずは獲物を固定させて… はいはい了解。最初の獲物はあの真面目そうな男子生徒ね。それじゃあいつもの通りに3.2.1 ハイ、どうぞ。
「ちょっと!そこのあなた!なに変な目でマリアンヌ様のことを見つめてらっしゃるの?!」
「嫌だわー不埒だわー!」
とりまきさんたちキャーキャーギャーギャーと盛り上げ頑張ってます。
周りの一般生徒は「またか…」と「絡まれる前にさっさと行こう」が大半のようですわね。うん。敵意は言う程ありませんわね。今日は楽で良いですわー。
…おっと、とりまきさんからのアイコンタクトが。なになに「そろそろアンジェリーナ様も加勢よろしくお願い致します!」…はいはい了解。
「ねぇそこの貴方、確か一年のAクラスの人よね?お父様が成り上がりで今年からようやくAクラスに入れたというのにマリア様に楯突くなんて…そんなに没落願望をお持ちなのかしら?」
あらあら可哀想に顔が真っ青になっておりますわよ。
思ったよりイチャモンのつけ甲斐が無いのでこの辺で終わらせときますか。
面倒なのもそろそろ来そうだし。
「今日のマリア様もお美しいからと言ってあまり見つめ過ぎないことね。マリア様はレオン様の唯一の婚約者、大切な人なのです。よろしくて?」
コクコクと壊れた人形みたいですわね。
「分かってていただけたのならそれで結構です。マリア様もこの位でよろしいですか?さぁ教室へ向かいませんと。」
朝に弱いマリア様はこの時間帯だけは大人しいから面倒くさくなくて良い。
黙ってるとホントに綺麗だし楽だしとにかく良い。
ささ、撤収にとりかかってくださいな。とアイコンタクトでとりまきさんたちへと伝令。
「一体何を見ているのですの?!」
「見世物では御座いませんのよ!さぁ散った散った!」
よく使える子たちで助かっております。
さぁ今日も一日とりまき生活を頑張りましょうか!
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