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始まり
初投稿となります。
お手柔らかによろしくお願い致します。
目の前が真っ暗に染まっていった。
自分の身体から血の気が引いていくのを感じた。
身体が、心が、寒い。
震えそうになる身体を何とか押さえこむ。
(今、この方は何と言った)
私は隣にいる人物の顔を盗み見て、これが幻聴では無いと知る。
そして知ると同時に"なんで今になって"と怒りと悲しみの感情が襲ってくる。
隣のあの人は甲高い声を上げながら何やら訴えかけているようだがあの方は聞く耳を持たずといった様で、そのまま縋り付いているのだか怒鳴っているのだかわからない様子のあの人へ一度冷ややかな目を向けたかと思うと、その後は目も向けずこの場から立ち去って行った。
あの人はあの方が視界から消えてしまうのと同時に泣き出した。
叫ぶのではなく、同情を誘うのでもなく、私を責めるのでもなく、ただただ静かに、壊れた人形の様に音をたてずに泣いていた。
お読み頂きましてありがとうございました。
感想、誤字脱字報告など頂けると嬉しいです。
2.3話、出来るだけ早めに上げる予定です。