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Form of love

作者:

春、それは別れの季節、そして出会いの季節。

四季の中で一番自身の変化が訪れる季節だ。

周りの連中が一斉に消えたり、新しい連中に囲まれたり、学生から社会人となり自らの意識も変化するだろう。

そんな四季の中で一番変化のある季節に例外もなく俺にも変化が訪れた。

俺はまだ高等部三年に上がっただけだから、周りの連中が全員バラバラの道を進んで行ったとか、社会に出て環境が変わったと言う訳ではない。

それはとても喜ばしい変化だった。ただ、とても困った事にもなってしまった。

こんな時、俺はどうしたらいいのかわからずに保留にしてしまった。

不謹慎だと思ったがその時に決めるなんて俺にはできなかった。


どちらかを捨てて、どちらかを選ぶなんて……



「あぁ……」

「何してるんだ?」

自分の席で机に突っ伏していると声をかけられた。

今は悩みに没頭したいというのに。

「俺が今まで生きていた中で最大級の難関と遭遇した」

「何だ?福嶋さんとでも喧嘩でもしたのか?」

悩みの原因の片方である人物を簡単に当てられてしまう。

まぁ、喧嘩ではないんだが……

俺は顔を上げて声をかけてきた人物を確認する。

「喧嘩はよくない。そして喧嘩する原因は絶対にお前にありそうだ」

……確か池田だっけな?

喋りかけてきた人物は三年になって初めて同じクラスになった池田だ。俺の前の席だから嫌でも目に入ったのだろう。

まぁその池田曰く無条件で俺が悪いことになってるが……

「喧嘩じゃねぇよ」

「喧嘩じゃないのか?だったら何だ?」

「お前は記者か何かか?俺は有名人じゃないぞ」

「いや、有名人だろ」

「有名人なのは美香の方だろ」

福嶋美香、この学園でテニス部に所属している俺の幼馴染だ。

テニスの実力は相当で、個人戦で地区大会三位の実力を持っている。

それに加え、容姿、性格共に良しと男子からの人気は相当なものだ。

ちなみにそれの腰巾着ということで俺も名前も一時期流れていた。

誰が腰巾着だ。

「ま、有名人の幼馴染ってだけでも有名だな」

俺は思い出すだけで腹が立ち少し不機嫌な声でぶっきらぼうに返す。

あいつの腰巾着ということで奇異な目で見られまくったからだ。

まあ、実際のところは俺と美香が付き合っているかいないかを見定めようとした連中がほとんどだった。

俺と美香が付き合ってないと知ると、その翌週からよく男子が撃沈したという情報が多数出回った程だ。

「いや、この学園で石橋和哉の名前を知らない奴はいないぞ」

「まあ、美香の幼馴染ってだけで大分話題になったからな」

確かに高校まで一緒にあがる幼馴染は稀で、付き合っているかと思ってしまうのは当然だと思う。

そう考えると可愛いの幼馴染が居る奴というのはそれだけで有名になるか。

後は単純に美香が目立っていたからか……?

「いや、お前……」

「和哉ー!!」

池田の声をかき消すほどの大きく、活発な声が俺を呼ぶ。

声の主は先ほど話題になっていた美香で、駆け足で俺の席の近くまで向かってくる。

――――私じゃ……私じゃ相応しくないけど!……

美香の事を見ると否応なく昨日のことが蘇る。

俺は美香を直視できず自然と目をそらす。

「いたいた!ゴメン!課題見せて!!」

美香が手を合わせて、お願いをしてくる。

俺は呆れてため息をつく。

「課題ぐらい自分でやれ」

「そう言わないでよー!」

突き放すと美香が両手で俺の体をゆさゆさと揺らす。

揺れる視界の中で課題のあった授業が何限目か確認する。

……2限目か、今から写したら間に合う。寧ろ写さないと間に合わないか。

「ほら、さっさと写すのなら写せ」

仕方なく課題をやったノートを美香に差し出す。

これ以上ゆさゆさ揺らされるのも、考え事を邪魔されるのも嫌だし何より今はコイツに近づいて欲しくない。

「やった!いつもありがとー!!」

ゆさゆさと揺らすのをやめ、俺のノートを奪っていくと美香は急いで自分の席へ戻っていく。

その姿を眺めていた池田は

「なあ、俺にも見せてくれね?」

「貸し出し中だ」

阿呆な事を言い出したので切り捨てておいた。





人にはそれぞれ魅力がある。

容姿、性格、その人が有している雰囲気も重要だと思う。

そしてこの世に一人として全く同じ人物はいない。

皆それぞれ違っている。違っているからこそ個性が輝く。

そしてその輝きに優劣をつけるのは難しいことだ。

「訳わかんねー」

「まだお前は悩んでいるのか」

俺の呟きがどうやら前の席の池田に聞こえていたらしい。

授業中なのに後ろを向いて食いつき始めった。

教師に注意されるぞと思ったが、何か騒がしいと思い視線を巡らせると、教卓に先生は居ないわ、生徒は立ち歩いているわ騒がしい。

どうやら考え事をしていたら授業が終わってしまっていたらしい。

「しかし、お前が悩んでるなんてレアだな」

「何でだよ。人が直感で動いてる猪とでも言いたいのか?」

「いや、そうじゃないがお前が特殊だからな?」

「人の事を珍生物みたい言うのはやめろ」

俺は机の上に広げていた教科書やノートを片付けると教室を出る。

貴重な昼休みの時間を池田に使う義理はない。

それに今日は昼飯を買ってくるのを忘れたせいで購買か食堂の二択しかなかったのに考え事をしていたせいでスタートダッシュが遅れた。恐らく食堂は満席だろう……大人しく購買でパンを買うか。

「あら、丁度いい所に居たわ、和哉さん」

――――貴方しか考えられないの……

と、俺が購買で何のパンが余っているか考えて廊下を進んでいると澄んだ綺麗な声で呼び止められる。

その声に釣られて昨日の彼女にしては珍しい不安な声も蘇る。

俺は無視するわけにも行かず、俺は声のした方に顔を向けるとそこには一人のよく知ってる女子がいた。

「一緒にお弁当なんてどうかしら?」

そう言って俺を呼び止めた西九条綾は微笑みながら自分の手に持っていた包を顔のところまで持ち上げる。

客観的に見ればその微笑みはまるで天使の様に可憐で素敵な笑顔だ。

しかし、俺にはどうにも悪魔の微笑みにしか見えなかった。

……逃げたほうが良いな。

「生憎購買に行かないと飯がないんだ」

「それでしたら私のを半分あげるわ。それともあ~んでもしてあげましょうか?」

妖艶に唇の端を上げながら西九条はしれっと爆弾発言を言い放つ。

俺の近くにいた生徒がぎょっとして俺たちの方を振り向く。

「結構だ」

俺は踵を返し購買に行こうとすると腕を掴まれ、むにっと豊満な胸が押し付けられる。

「っちょ!?お前!?」

「さ、行くわよ!」

焦る俺を引きずる様に西九条は歩き出す。

俺を引っ張るためにか俺の腕に何とも言えない感触が……

「俺の意見は無視かよ!放せ!」

「あなたは放したら逃げちゃうのはわかってるのよ。大人しく付いてきなさい」

「わかった!着いて行くから放せ!」

今は昼休み。こんな廊下でこんな状態になっているということはつまり、

「西九条さんと……あれって噂の石橋?」

「何があったんだ?」

「石橋がまた悪いことでもしたのか?」

ほかの生徒から奇妙な目で見られるわけだ。

「それはそうと、私ワザと当ててるんだけどその感想は?」

「………」

「あら、可愛い一面もあるのね」

「うるせーよ」

俺は恐らく赤くなっているであろう顔を背けながら黙って着いて行くしかなかった。

横目で西九条の顔を盗み見ると愉快そうに笑っていた。




西九条綾、西九条グループの娘、恐らくこの学園のなかで一番のお嬢様だろう。

容姿に至っては美香と並べられるほどの美人で、大和撫子風のお淑やかなお嬢様と言う感じだろうか。そして、生徒会長なんてものもやっているから知名度や人気はかなりのものだ。

しかし……実際のこいつは小悪魔と言うか悪魔だな。

「人は変わるものなんだとお前を見てるとすごく思うよ」

しみじみと思ったことを西九条に告げる。

俺は今生徒会室で西九条がくれたお弁当を食っている。

「あら、変えた本人がそんな事を言うの?」

最初の方は俺に自らの手で食わそうと西九条が迫っていたが今は大人しく向かいの席で座って俺が食っているのを眺めている。

「余計なことをしたと今後悔してるよ」

「私は貴方のおかげで色々楽しいことが増えたわ」

西九条の最初の印象は人形みたいな奴だった。

無反応というわけではないが、冷めていた。感情の起伏というものがないようにも見える程だった。

「あなたが私を変えたのよ?」

「あー、そうだな」

ちょっとしたことで一時期西九条と一緒に行動する事があり、そこで色々言った。

そこから西九条は俺に纏わり付くようになり、この様に人をからかって遊ぶような性悪女になってしまった。

「だから私は貴方しか考えれないの」

「……それは聞いたよ昨日」

「そう?なら、はやく答えを聞きたいわね」

西九条は笑いながらそう言いう。

おそらく俺がまだ答えを見つけてないのに気づいているのだろう。

俺はその問に答えずに立ち上がり、生徒会室から出ていこうとする。

「お弁当のお味はどうだったかしら?」

「美味しかった。弁当はサンキュー」

「そう、作った甲斐があったわ」

俺はぎょっとして出て行く足を止め、振り返る。

「お前が作ったのか?」

「そうよ。花嫁修業ってやつよ」

「……美味しかったよ」

驚いた俺はそれだけ言うと生徒会室から出て行く。

あいつはとんでもない事を突拍子もなく言うから怖い。





「和哉!和哉!」

ゆさゆさと揺らされ、俺の意識が覚醒していく。

目を開けると美香の顔がドアップで映る。

「近い、煩い」

俺はそう言いながら美香のデコを指で弾く。

痛いと言いながら美香が少し離れて至近距離で美香と見つめ合うというマズイ状況は脱せた。

「それより!練習手伝って!やっぱり最後の年だから後悔は残したくないのよ!」

美香は机を叩きながら熱弁してくる。

確かに最後の年で後悔を残したくないのはよくわかる。だが、

「俺じゃなくて部活の仲間と練習しろ!」

「だって……私の練習相手務まる人居ないもん」

俺は頭を抱えてしまった。

美香が居るから忘れがちだが、この学園は別にテニス部が強いわけではない。

一応頑張ってはいるらしいのだが、どうも強豪というわけではないからイマイチというのが俺の見解だ。

そして美香クラスになると練習相手になるか怪しいほどだ。

「最後ぐらい優勝したいのよ~お願い~」

「わかった!わかったから離れろ!」

俺は幼い頃から美香の練習相手を勤めていたのでそこそこの実力はあると自負している。

男と女という時点で俺の方にアドバンテージはあるのに、それでも美香に勝った事はあまりないのだがな。

「流石和哉!んじゃ和也の気が変わらないうちに行こう行こう!」

そう言うと美香は俺の腕を引っ張る。

西九条といいコイツといいボディタッチが多いやつだ。

と言うか、何故こいつらはこんなにも平気な顔をしていられるのだろうか?

「美香、胸が当たってるぞ」

「ひょわああ!!和哉のスケベ!!」

美香は西九条とは違い純情だった。

と言うか言われて恥ずかしがるんなら腕を掴んで引っ張るなよ。






テニス部の練習を俺はぼんやりと眺める。

今はランニングや素振りと基礎練習をしているので俺の出番ではないから俺はゆっくり待っている。

そしたら後ろから声を投げかけられる。

「テニス部を凝視している不審者発見ね」

声のするの方に顔を向けると西九条が立っていた。

「誰が不審者だよ。俺はここの学生だろ」

俺は後ろで偉そうに立っている西九条に抗議する。

「テニス部を眺めている姿はまるで犯罪者みたいよ」

「まぁ、確かに危ない奴かもな。テニス部に用がなければ」

「……また美香さんの相手?」

「お前が相手してやるか?」

「無理よ。実力差がありすぎるわ」

そう言いつつ西九条が隣に座る。

余談だが、俺に付きまとうようになってから美香とも接点を持つようになり意外と仲が良い。

まぁおっちょこちょいの美香と落ち着いている西九条という組み合わせはバランスが取れているのかもしれない。

「お前生徒会の業務あるんじゃないのか?」

「誰かさんとやればすぐできるし、今日しないといけない作業は終わらせたわ」

「また手伝わせるつもりか」

俺は事あることにコイツに仕事を手伝わさせられる。

確かに一時コイツと一緒に生徒会に入ったが仕事は多いわ面倒事多いわで俺はもうやる気がない。

「仕方ないじゃない。副会長の席が空いているのだもの」

恐らく西九条の名前が怖くて誰も副会長の席に着こうとはしないっだろうな。

書記、会計、庶務は謎の競争率だがな。

「まぁ俺の問題が片付いたらな」

「やっぱり悩んでいたの?」

「……そりゃな」

「貴方が悩み続けるなんて珍しいわね」

西九条はそう言いながらクスリと微笑む。

「俺だって悩むさ」

特にこう言う正解がないようなことに関してはな……

「ま、悩みなさい贅沢な悩みなのだから」

そう言うと西九条は立ち上がり歩き始める。

俺はその背中に疑問に思っていたことを投げかける。

「お前たちは何でそんなに普通に居れるんだ?」

「伝えた側と受け取った側の違いじゃないのかしら?後、貴方も何時ものように見えるけど?」

西九条は振り返りそう言うと再び歩き始める。

伝える側も受け取る側のことを少しは考えて欲しかったな。

まさかあんな受け取り方をするとは思わなかった。そして、どう対応すればいいのか全くわからない……




「昨日のアレ、考えたの西九条か?」

「そうだよー綾が考えてくれたのー」

準備運動で軽くラリーをしながら昨日のことを話す。

「一人じゃ勇気が出なくてね」

「それでアイツに相談したのか」

「そうそう、そしたらああなったの」

「なるほどな」

「よいしょ!」

謎の緩い掛け声とともに返されたボールは緩い掛け声とは反し、鋭いスピードでコートの奥に刺さる。

相変わらず女子とは思えないパワーでボールを返してくる。

俺は新しいボールをコート脇に置いておいたカゴの中から取り、サーブを放つ。

「綾とはかなり仲良くなったと思うよ。親友って言ってもいいかな?」

「お前がアホだからだ」

西九条はやはり金持ちの家のせいか、親しい友達と言える奴は美香意外に俺は知らない。

まあ、俺があいつの全てを知っているわけではないので何とも言えないがあいつから美香以外の友人の名前を聞いたことはない。

「アホって何よ!!」

「安心しろ良い意味だ」

「良い意味のアホって褒めてないでしょ!」

「まあ、アホには変わりないからな」

「怒るわよ!」

「ははは!」

裏表のないから安心できるって意味ではアホは褒め言葉になるんじゃないのかな?

何て考えるが、アホという言葉自体が褒める時に使う言葉ではないなと思いなおす。

「んー……良い言葉が見つからねえわ」

「酷い!」

半分ずっこけて緩いボールを返してきたので本気でクロスに打ち込んでおいた。

「しかし、何で勝ちたいんだ?」

「え?」

美香が首を傾げながらきょとんとした顔を向けてくる。

「そこまで勝ちに拘るんならちゃんとしたテニススクールとか行った方が良かったんじゃないか?それかテニス部が強いところに入るとか?」

「今更そこ聞いちゃうの!?」

「確か中学の時はそこまで熱入ってなかったよな?」

「和哉のせいだよ!!」

「俺?」

俺は新しくカゴからボールを取り出し、少し強めのサーブを打つ。

「俺が何か言ったっけ?」

「才能あるって言ってくれた」

「……それだけ?」

「それだけだよ!」

「もっと何かあるかと思ってたよ」

「何気ない一言でも頑張る気になるんだよ!」

俺はもっと何か気の利いたことを言ったのおかと思っていたのだが、そうではなかったらしい。

しかし、中学で言った何気ない一言でここまで来れるものなんだな……





告白された。

放課後、俺は屋上に呼び出された。差出人不明の手紙によって。

その手紙には簡潔に放課後、屋上で待っていてください。とても大事な話がありますと簡素に書いていた。

俺は書いていた通りに放課後に屋上に向かった。

イタズラの線も考えたが、それならそれで徒労で終わったという笑い話になるだろう。しかし、無視して相手をまたせ続けるというのは罪悪感が生まれる。と言うかそれで恨まれるのも尺だからだ。

しかし、予想に反して、そこに居たのは西九条と美香だった。

「あら、ちゃんと来たのね。放り出すと思ってたわ」

「呼ばれたら向かうのが普通だろ。まあお前らが居るとは思わなかったが」

「あはは、まぁ私たちから呼び出すなんて無いもんね」

「で、要件は何だ?」

俺はそう言うと首を傾げる。

すると美香が俺に近づいてきた。滅多に見せない真剣な顔で。

「和哉とは何かとずっと一緒に今まで来たよね?」

「まあ、幼馴染ってやつだもんな。喧嘩も特にしたことなかったしな」

「うん、今まではそれでも良かったの。和哉の幼馴染で……でもね、最近気付いたんだ……」

美香は少し間を空け、頬を赤くしながら告げる。

「私はね和也が好きなの……いつも少し意地悪だけど頼りになって優しい和哉が好きなの!昔から!私じゃ……私じゃ和哉には相応しくないかもしれないけど!私は和哉が大好きなの!」

俺は驚きのあまり声が出せなかった。

目を見開き、少し震えながら俺の事を大好きだと言った美香を見ることしか。

昔から俺と一緒にいたが一緒にいたが故に俺のことはそんな風に見ているとすら思っていなかった。

「和哉さん」

驚き戸惑っている俺に凛とした声で西九条が俺を呼ぶ。

「和哉さんは私に……いや、私に世界の見方を変えてくれた。そしてそれは私は知らない世界だった。私を劇的に変えるほどに」

西九条は優雅に微笑みながら俺の手を取り続ける。

「私は美香さんに比べると貴方とは短い付き合いかも知れないわ。でも、時間は関係ないわ。私は貴方の事が好きになった。貴方しか考えられないの……私に新しい世界を見せてくれた貴方しか考えれないの!和哉さん、私は貴方の事が大好きです」

そう言うと聖母のように微笑み俺の手を離す。

「は……ははっ……」

乾いた笑いが俺の口から漏れる。

まさか同じ場所で二人から告白を受けるとは思っておいなかった。

しかも、二人とも俺の大事な友人だ。

ここですぐに答えることはできなかった。

「少し……少し考えさせてくれ……」

「和哉、私は待ってるよ……いつまでも」

「私も美香さんと同じ気持ちよ。貴方の返事を待っているわ」

俺は二人の返事を聞くと屋上から校舎の中に入る。

そこからは逃げ去るように帰った。

「俺は……どうすればいいんだ……」







「はぁ~疲れた~」

「お前の練習に付き合わされた俺の方が疲れたよ」

「いやはや大変練習になりました」

「何だその口調」

美香は機嫌が良いのか鼻歌を歌いながら隣を歩いている

今はテニス部の練習が終わり、美香と校門に向かっている途中だ。

「あれ?綾じゃない?」

「ん?」

美香に言われ、部活から帰宅する生徒の中から西九条らしき人物を探す。

「何処だ?」

「校門付近に立っている」

美香に言われて校門付近を探すと確かに西九条が立っていた。

「綾~!」

美香は西九条の名前を叫びながら手を振り、走り出す。

まるで飼い主を見つけた犬みたいだ。

「あら、やっぱりまだ居たのね。テニスラケットを持った生徒が校舎から出てくるのが見えたから待っていたのだけど」

「流石綾!賢い!」

「ふふふ、出てきた生徒より先に帰っていたら私は待ちぼうけを食らっていたけどね」

「あーそっか、私たちの方が遅くて良かった!」

「連絡してくれた方が良くないか?」

「そっちのほうが安全だけど、ロマンがないでしょ?」

俺の問いに西九条は笑いながら茶化す。

実際、時計を見ながら待っていたところを見ると何分かして俺たちが来なければ帰るつもりだったんだろう。

「ロマンが足りなくて悪かったな」

「私は合理的な貴方もいいとは思うけど?」

「それって結局和哉ならどっちでも良いって言ってるように見えるけど?」

「その通りよ」

西九条が臆面もなく言い切る。

こいつに主体性はないのだろうか?

……ある意味一貫しているから主体性はあるか?

「とりあえず帰ろう。そろそろ日が沈むしな」

「そうね」

「久しぶりに三人で帰るね!」

「何カ月ぶりだ?」

俺が基本美香の練習相手に付き合わされる日は大概三人で並んで帰っていた。

まあ、あまり俺が残らないから頻繁ではないがな。

聞くところ、美香と西九条の下校時間はよく被るらしく一緒に帰っているらしい。

「確か選抜の大会の為に練習相手になってもらってたのが十二月だから四ヶ月ぶり?」

「そうね、その時期は一緒に帰ることが多かったわね」

「和也も部活か生徒会に入っていたら一緒に帰れるのに」

「帰宅部で悪かったな」

「今からテニス部入る?」

「よく考えろ、お前の入ってるテニス部は女子テニス部だ」

「なら、生徒会に入る?今なら副会長の席が空いてるわよ」

「面倒事が多すぎる!」

何故かこの学園は問題児が多いのか生徒会に無駄な仕事が多々入る。

一時期やる気になっていた西九条に振り回されていろいろ解決したはずなのだが、そのせいで生徒会=何でも屋みたいに広まってしまい収拾がつかなくなってしまった。

だから俺は生徒会が面倒になりやめたんだ。

「私としては色んな内容の事があって楽しいと思うわ」

「付き合わされる俺は面倒でしかなかったよ」

「和哉と綾のゴールデンコンビの噂は凄かったよ~何でも解決するって定評だったよ」

「それのせいで生徒会が何でも屋になってしまったんだろ」

「寧ろ今は開き直って何でも相談室を作るか悩んでいるわ」

「それこそ収拾つかなくないか?」

「生徒の要望を聞くのが生徒会でしょ?」

「あー、これのせいで生徒会が忙しいのね」

「半分以上はな」

美香が若干引きつった笑みを浮かべている。

俺はもう呆れていて、ため息しか出ない。

「刺激的な毎日が送れるわよ」

「俺は穏便に過ごしたい」

「綾は本当に色んな事に首突っ込みたがるよね~」

「退屈がわたしを殺すのよ」

「格好良くも何でもないからな?」

ドヤ顔で西九条が決めゼリフを言っていたのでツッコミを入れておく。

俺と西九条のやり取りを見てか、美香が可笑しそうに声を上げて笑う。

いつも通りの俺達のやり取り。もし、俺がどちらかと付き合うようになったらこうして並んで帰ってもギクシャクするんだろうか?

……それなら、いっそのこと、幸い明日は土曜日で学校は休みだ。

「なあ、お前ら明日暇か?」

俺は今思いついた事を、美香と西九条に告げる。

「デートに行かないか?」





「普通デートってふたりっきりで行くものだと思うよね」

土曜日、集合場所に集まると、早々に俺はおしゃれをした西九条に責められていた。

黒いロングスカートと白いブラウスといういかにもお嬢様という格好で、不満を述べる。

「まあ、普通はそうだろうな」

「じゃあ、何で私たちはデートって名目で男一の女ニで居るのかしら?」

「まあ、俺がまだ宙ぶらりんな状態だからだろうな」

「その宙ぶらりんの状態でデートってどういうことなのかしら?」

「いや、それは……」

「まあまあ、私はとりあえず楽しめそうだと思うよ?」

俺が窮地に立たされた時に救いの手を青いショートパンツに薄い黄色のアウターと活発なイメージを受ける服装の美香が差し伸べてくれる。

「美香はポジティブね。私には無理だわ」

「能天気なだけだよ~」

「西九条も美香みたいに楽しんでくれよ」

「……ふう、そうね。貴方はいつもこうだものね」

西九条は呆れたように笑い、気を取り直してくれた。

美香の能天気さで毒気を抜かれたのかもしれないな。

「さて、今からどうするか」

「「ノープランなの!?」」

美香と西九条が見事にハモり、驚愕をあらわにする。

「流石和哉さんね。一日一回は驚かせてくれるわ」

「人を考えなしみたいに言うなよ」

「んー考えてない時は本当に考えてなよね?」

「………」

流石美香、幼馴染だけあって俺のことをよくわかっている。ぐぅの音も出ない。

「直感で動いてるのかしら?」

「直感より好奇心じゃないのかな?」

「好奇心……確かにそれが一番当てはまりそうね」

「でしょ?」

「考えなしで悪かったな!」

俺が吠えると西九条と美香はくすくすと笑い出す。

「ごめんごめん。じゃあ少し服を見たいかなー?」

「服か……悪いが服の店はあまり知らないから案内頼んでもいいか?」

「任せなさい!」

「西九条もそれでいいか?」

「ええ、和哉さんが私の服を選んでくれるなら」

西九条は意地の悪いことを言い出す。

「あー!私も選んで欲しい!!」

美香も何故か乗り気になる。

覚悟していたことだがこれはかなり疲れるデートになりそうだ。

俺は西九条と美香に引っ張られるように歩き出すのだった。





美香と西九条に連れられ、俺は女性向けの洋服店に来ていた。

「あ、この服いい!!」

「そうね、良いデザインだと思うわ」

美香と西九条が服についていろいろ言っているのを俺は後ろで聞いている。

「和哉はどう思う?」

そう言いながら美香が一着の服を広げる。

少しパンチの効いた、美香のイメージに合いそうな服だ。

しかし……

「たまには思考の違うものはどうだ?」

「と言うと?」

「お前ってスカートあまり履かないだろ?」

「むっ!?流石和哉、よくわかってるわね」

そう、俺は美香が制服以外でスカートをはいてるのを見たことがあまりない。

毎日美香と会っているわけではないから詳しくは知らないが下手したらコイツはスカートを持ってないんじゃないかとも思ってしまう程だ。

「確かに制服以外で美香のスカート姿は見たことないわね」

西九条も美香を見ながら呟く。

「ここは一気に全部変えてみるか」

「えっ!?ちょっと!?」

「それは楽しそうね」

「綾まで乗り気!?」

「んじゃ、美香の女子力アップ計画始めますか」

「私って女子力そこまで低かったの!?」

西九条もノリノリなので俺は慌てふためいている美香を無視しながら服を吟味し始めるのだった。





数分後、そこにはフリフリのピンク色のスカートが目を引く可愛い系の服装に身を包んだ美香がいた。

「ふむ、良いんじゃないか?」

「そうね、可愛いわよ美香」

「む~~~~!」

美香は恥ずかしいのか顔を紅くし、もじもじとしている。

「しかしスカートの美香って新鮮だな」

「そうね、私も同じことを思ったわ。何でいつも着ないの?」

「だって似合わないじゃない……」

「「いや、そんなことない」」

美香が何故かトンチンカンなことを言いだしたために西九条とハモって否定する。

「そう?昔皆に似合わないって言われてからすこし怖くて……」

「誰がそんなことを言ったの?」

西九条が白い目で俺のことを睨む。

「俺じゃないぞ?」

「あら、私は何も言ってないわよ?」

さっきまで白い目を向けていた西九条だが

「それはあれだ、俺以外の美香のことが好きだった奴だな」

「え?」

「あー、あの好きな子を虐めたくなるって言うあれ?」

「そうだ。美香は小さい頃からモテていたんだぞ?」

「そうだったの?クラスの男子殆どから言われてたのに?」

「ああ。それに、昔のことだろ?今の美香は女らしくて可愛いぞ?」

「えっ!えへへ~」

俺が感想を言うと美香は驚いた顔をした後、頬を緩ませてまたくねくねとし始める。

相変わらず見てて飽きない。

そして美香は少し自分の姿を鏡を見てニマニマすると、

「私この服買う!」

と言い出した。

「そんなに気に入ったのか……」

「だってこんな可愛い服あんまり持ってないもん」

「んじゃ、このまま買うか」

「えっ?」

俺は店員を呼ぶと美香の着ている服のタグを切って貰い、会計に向かう。

「ちょっと待ってよ和哉!!」

「ん?」

会計に向かおうとすると慌てて美香が俺のことを止める。

「いや、買ってくれるって言ってくれたのは嬉しいけど悪いよ!」

「大丈夫だ、稀にしか言わないから」

「いやいや、そうじゃなくて!」

「悪い西九条、抑えておいてくれ」

「しょうがないわね」

「ちょっと綾!?」

西九条が仕方ないとばかりにため息をつきながら美香を抑える。

美香が西九条に抑えられている間に俺は会計を済ませるためにレジに向かう。

その最中、俺の視界に一着の白いワンピースが目に入った。

装飾も少なく、派手というわけではなくかと言って地味という訳もなく清楚という言葉が合いそうだ。

アイツが着たら似合いそうだなと思うと、俺はその服も持ってレジに向かうのだった。





「戻ったぞ」

「う~強引なんだから!」

「諦めなさい。和哉さんはこう言う人よ」

「そういう事だ。ほらお前も受け取れ」

そう言いつつ腕を組んで美香を諭していた西九条にさっき買ったワンピースが入った紙袋を渡す。

「え?何かしらこれ?」

「ん?さっき似合いそうな服見つけたから買った」

「……え?」

西九条は驚いた顔をすると急いでカバンを漁り出す。

「プレゼントであげたいんだ、お金がどうのこうの言わないよな?」

「っう!?でも、私は貴方よりお金に困らないわ!せめて半分は!」

「俺がどういう奴かわかってるだろ?」

俺が笑みを浮かべると西九条はため息をつき、

「全く、和哉さんはもっと普通にプレゼントを贈るべきです」

と、顔を赤くしながら半分怒ったように言う。

恐らくと言うか、照れ隠しだろう。

「さっきと言ってることがちがうんじゃないの~?」

「うっ!?」

「和哉さんはこう言う人だから諦めなさい♪」

「美香さん、私を怒らせたいのかしら?」

「ひいいい!!」

珍しく立場が逆転してるなと思っていたが、西九条が少し凄みを効かせた笑みで美香は怯え、いつも通りの展開だった。

学習しないな~と思いながら二人を見ていたが店の中ではしゃぎすぎたか、店員の目が少し痛い。

「さて、そろそろ行くぞ」

「はいは~い」

「ちょっと美香、逃がさないわよ」

「ささ、早く行こう和哉!」

最後までわいわいとはしゃぎながら俺たちは洋服店を出るのだった。





「今日は楽しかったー!」

夕暮れ、昼間は子供たちで賑わっていたが、今は人気が少ない公園で夕日に向かって美香が叫ぶ。

俺たちはあれから色々なところを回った。

ウィンドショッピングをし、そこでたまたま空いていたコートでバトミントンをしたり、喫茶店で甘いものをとって休憩し、話に花を咲かせたりと。

美香の言うとおり本当に楽しかった。

「私も久しぶりに遊んだ感じがするわ」

「お前は色々と大変そうだもんな」

「これでも一応は令嬢ですもの。色々あるわ」

西九条はそう言いつつも微笑みを浮かべ、夕日を眺めてる。

「楽しんでもらえたなら良かった」

「ま、ノープランデートの割には良かったんじゃない?」

美香が茶化しながら言う。

確かにノープランだったのはいけなかったのかな?

「ノープランだからこその楽しめ方もできた気はするわね」

西九条は機嫌が良いからか、嫌味を言わず素直に答えてくれる。

「もし、俺がどちらか片方と付き合うとこんな純粋に楽しめるのって難しくなるよな?」

「それは……」

「………」

俺の問い掛けに二人は目を逸らし、気まずい空気が流れる。

恐らく俺がどちらかと付き合ったらお互い譲り合いなどをしてこういう風に一緒に楽しむことができなくなるだろう。

美香も西九条も人一倍そう言う人と人との関係ごとには気を使うタイプだ。遠慮や気後れ等で今日みたいに楽しむことはできない。

「で、物は相談だ。お前ら二人とも俺と付き合ってくれないか?」

「はい?」

「えっ?」

さっきまで目を逸らしていた西九条と美香が驚いた顔で俺を見る。

「俺にはどちらかなんて選べない。二人とも好きだからだ。好きに優劣なんてつけれなかったんだ」

俺の本心を真摯に話す。

今日のデートで思った事だ。

いや、デートする前から分かっていたことだ。俺には選べない。何故なら俺は二人とも好きだからだ。

「美香、小さいころから一緒にいるとこっちまで明るくなってしまうぐらい元気で、可愛いやつ。少し危なっかしい所があるがそんな手の焼けるところも可愛くて、好きだ」

美香の顔を見ながら初めての告白をする。

長年俺と一緒にいてくれた幼馴染に。

美香は涙を堪えているのか、顔は紅く、震えている。

俺は美香から西九条向かって微笑みながら伝える。

「西九条、いつもクールだが、自分の予想外の事が起こるとパニックを起こすがそんな所が可愛いくて、意地悪な所もあるが、純粋に優しい。そんなお前が好きだ」

西九条は顔を伏せ、自分の腕を抱き、震えている。

この時点で俺の心臓はうるさい程に脈打っている。

俺は全てを伝い切った。

後は、二人の答えを聞くだけだ。

「私は……」

口を開いたのは西九条だ。

「私は、貴方にそこまで言われて、いや、思われていると知れて凄く嬉しい……でも、私の家に他の人とも貴方が付き合っているなんて知られたらと思うと、私は……」

いつもクールで凛とした声で喋る西九条が涙を堪えながら、声を震わし、俺に応えてくれる。

「認めさせる」

だから俺は最大限の誠意を見せなければいけない。

これは覚悟していたことだ。二人と付き合うために俺が妥協してはいけない所だ。

「少し時間がかかるかもしれない。だが、絶対に認めさせる。俺はその覚悟を持ってお前に告白してるんだ!」

「私は……貴方の邪魔や重りになりたくは……」

「好きな奴を抱えれない様な弱い人間に俺はなりたくない。西九条、お前さえ良ければ俺ときてくれないか?」

「和哉……さん……っ!」

堪え切れなかったのか、西九条はそこに座り込み、泣き出してしまった。

俺はまだ近くに行って泣き止ますわけにはいかない。

まだ美香の答えを聞いてないからだ。

「あ~あ、泣かしちゃった」

「お前も泣きそうな顔してるぞ?」

「そりゃそうだよ、長年抱いてた恋が実ったんだから……ま、少しだけ予想外だけど」

「そうだな。最後まで考えていたんだが、やっぱり優劣なんてつけれなかったんだ」

「そっか……」

美香はそう言うと少し視線を逸らす。

そして、再び俺を涙を堪えながら言う。

「でも、これ以上の浮気は許さないよ?私だって綾だから許せたけど……」

「わかっているさ、お前たち二人以外は考えれないよ」

「本当かな?」

「現段階で二股かけてるから信用ないのか?」

「少しね。でも、本当にやめてよね。私も綾もここで断られたら吹っ切れるけど、引っ張るんだから……絶対絶対……ちゃんと……」

「わかってる。お前たち二人だけを愛するよ。こんなどうしようもない俺のことを好きだって言ってくれたんだ」

俺は美香に歩み寄ると震えている手を握る。

そして告げる。

「俺と一緒に居てくれないか?」

「うん……綾と一緒にちゃんと面倒見てよね……」

「ああ、任せろ」

俺がそう返事をすると美香は俺に抱きつき、嗚咽を漏らす。

美香も西九条も怖かったんだろう。色々と壊れてしまうのが。

「ごめんな、少し答えを出すのが遅くて」

俺はそう言いつつ、座り込んで泣いていた西九条を抱き、しがみついて泣いている美香の頭を撫でながら、二人が泣きやむのを待つのだった。






石橋和哉、二年では生徒会長と一緒に様々な事案を解決し、一般女子生徒からの人気も高く、男子生徒の怒りを買っている。

しかし、その手腕には男子生徒も認めざるを得なく、それのせいか二回連続で副会長の席が空けている。

そして学園の二大美女をたぶらかしている男子生徒の憎悪の対象。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリー性は出来てるしキャラ紹介も話の中で出来てて良い感じ。王道な感じだけど続くのなら読んでみたい。過去の話も出たからサイドストーリーにも話を続けられる。 [気になる点] 和也と美香・綾…
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