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第12話

 元々勝ち目が無い戦いだ。ならば思い切り無茶振りをして吹っ切って貰うしかない。だからこそニートにとってはおよそ有り得ない“働く”案を提示してやった。さてと、我等がニートボールはどういった答を俺に示すのか?


「社会人経験値ゼロの僕が政府高官が通う旅館の従業員なんて無理だよ。それよりは上客として彼女とて接した方が…」


「甘いな。お客と店員では環境も立場も違いすぎる。お前以外にも上等な客はいくらでもいる。そもそも親の金を使って通う坊ちゃんの相手なんかしてくれると思うか?」


「確かにそうだけど…」


 まずは相手の立場になって考えてみる。俺が彼女なら親の金を使って通う客とは絶対にフラグを立てたりはしない。そもそもニートボールはそれ以前に体つきからして今まで歩んできた人生を物語っているのだ。俺はニートボールの腹を少し強く掴む。


「いいか、ニートボール。これは元々勝ち目の無い戦いだ。だから死ぬ気で足掻かなければならない」


「足掻く、とは…」


「さっきは親の金を使う奴は相手にしないと言ったが、利用できるものは何でも利用しなければならん。例え、恥辱にまみれようとも人格否定されようともな。そして、それだけの試練を乗り越えたとしても彼女がお前のことを見てくれるとは限らない」


「そんな…」


 何事も頑張れば報われるなんてことは幻想だ。もしかしたら報われることはあるかもしれないが、それは目に見えるものとは限らない。大抵は本人がそれに気付くことなく挫折という名の絶望に打ち拉がれてしまう。


「具第的な案と言えば、まず親のコネを使ってその旅館の従業員として雇って貰うことだ。勿論最底辺の下っ端で特別扱い無しの処遇でだ。それで彼女と同じ空気を吸い、少しずつ関係を深めていく。だが、それでもお前は親の七光りだと侮られ、上流階級のお坊ちゃんとして扱いに困るお荷物扱いされることは間違い無い。メインヒロインどころかサブモブ全てのキャラからは好感度絶対零度の最悪な状態だ」


「そんなのイヤだよ!」


「そうだな。俺だってイヤだ。だがな、お前は上流家庭のお坊ちゃん、いくら親が周囲に釘を刺そうともレッテルが変わるわけではない。自分の意志とは裏腹にハイエナも集ってくるだろう。しかも、魔窟とも言うべき政府高官御用達の高級旅館。そして、意中の相手はその渦中にいる若女将。それがお前が挑もうとしている相手の戦闘力だ。そんな圧倒的不利な状況でもお前は彼女に対し、果敢な行動力と不屈の意志を持って挑まなければならない。少なくともそうしなければ彼女はお前を一人の男とすら見ることも無いだろう」


 ニートボールが俯き、震えている。敵もといヒロインの強大さを少しは理解しているみたいだ。だが、俺はさらに駄目押しをしてやる。これが俺なりの思いやりというやつだ。

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