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第九話 訓練所にて

アネモネとガベーラントに連れられて訓練所と言われる場所まで着いた。着くや否や、掛け声のようなものから剣がぶつかり合うような音まで本当に武力組織であることを実感させてくれる場所であった。

 

 中に入ると予想通りに剣による訓練を行っている人もいれば他にも、ノームレゾナンスの訓練をしているのか大勢で集まって指導をしているところも見られる。さらに特徴的なのが拳銃を扱うための射撃場があることだった。ノームレゾナンスを使えるかつ精密操作ができてやっと発砲できるのに狙いを定めるのが難しいとかいう扱わせる気がないものなのだがそれを扱える人がいることにびっくりする。


 「ついたぜ。ここでは支援部隊、突撃部隊、偵察部隊とほかにもあるけれど様々な部隊が訓練する場所なんだ。」


 「ガベーラントとアネモネもここで訓練しているの?」


 純粋に疑問を持ってしまう。ガベーラントはともかく、アネモネも訓練しているのかな。なんだか戦うような見た目ではないように思える。できてもノームレゾナンスによる支援くらいかな。


 「もちろんですわ。救国騎士団に入るということはある程度の武力行使を行う場面や灰生物を退ける力が必要ですわ。」


 「そうだぞ。だが、最初は簡単だから安心してくれよな。」


 簡単といわれても、力を手に入れるには時間がかかってしまう。そうするとタイムリミットによって私は死んでしまうだろう。しかし、身につけなければどこかに遠征するときに圧倒的に足手まといになること間違いない。悩ましい問題になってしまう。今すぐにノードを治せればすべて解決するように思えるけれどね。


 そんな考え込み、うつむいている私を見て、言葉をかけようとしている二人だったけれども遠くの集団から声がかかる。


 「なんだいたんかガベーラント。ちょっとこっちきて手伝ってくれ」


 「何ー!ちょっと忙しいんだけどー!」


 「んなこと言ってねえではよこい重要だ。」


 「しゃあねえ今行く。」



 遠くにいる集団と大声で会話している。重要な何かがあって呼ばれているようだった。それに、話しかける声がちょっと怒気が含まれているように感じたから本当に大変なことなのかもしれない。


 「ごめん!ちょっと呼ばれちゃって。」


 「はよ行きなさいな。重要なんでしょう。」


 「ありがと、ごめんなー!」


 ガベーラントはそう言って走っていった。なんだか、嵐のように立ち回る人だなと思った。



 「すいませんシアハさん。おそらく近々何かしらの作戦に連れていかれると思われますわ。」


 「作戦に連れていかれる。それってガベーラントが突撃隊にいるから?」


 部隊によってやっぱりどのような扱いというかどれほどの戦闘能力を求められてどのくらい外に連れ出されるかは変わることになるだろう。ただ、ある程度は融通が利くと思う。


 「そうですわ。ってそれいつ知りましたの。....ああ、わたくしがいない時ですか。」


 「そうだね。ちなみにアネモネはどこに所属しているの。」


 「わたくしは支援ですわ。あまり戦闘が得意でないのとわたくしのノームレゾナンスが広域の索敵に使えるので後方からの支援に使われますわね。」


 「それって、偵察に含まれないの?」


 「偵察は基本的に少数精鋭の機動力に振り切った人たちで構成されますわね。」


 「そうなんだ。」


 聞けば聞くほど、何ができるか。入ったとて研究職としてなら役に立つことができそうだと思う。そして、どこかの隊に所属してほしいと言われたとき、私でも入れそうなのが支援のところになると思う。医療知識がある程度あるからそれでと思ったが戦えないか。


 悩むような素振りを見せていたのか。アネモネも何かを悩んでから話し始めた。


 「シアハ。心配ですか。」


 「え?..」


 その碧い目には心配するような視線を感じる。続けて、話し続ける。


 「わたくしもそうしたから。まさか、救国騎士団に入って戦う方法を学ぶとは思いもしませんでしたわ。」


 どこか遠くを見て懐かしむように流れるように話し出す。


 「私がここに来たのは姉をノードから救うためでしたわ。最初はここにあった学園の一生徒に過ぎませんでしたの。ちゃんと学んで、そしていつか姉のノードを治すんだって。張り切っていましたの。でも、それだけではいけないと思い知らされましたわ。学園の講義の一部で、私は救国騎士団の下でフィールドワークに参加させていただいたのです。しかし、力を持たずにそこに行ってしまったのが間違いでした。友達とともに救国騎士団の人といったのですがそこで灰生物に襲われてしまいました。そして、そこで私を庇って...救国騎士団の人は尽力してくれたと思っています。それでも、あの時に力があればと思う日はありませんでした。その時に言われたのが、生きてそしていつの日かノードを治してと。彼女もいつか死ぬとされていたノード感染者でした。当然死体は回収できませんし、すぐに帰るしかありませんでした。さらに、その日に姉が死んだという訃報が告げられて何もかも失ったようでしたわ。けれど、その時に....いえこの話はまた今度にしましょうか。」


 私だけではなく、皆が皆地獄の道を歩むものがいつの日か報われるのかな。こんなに大変目にあっているのにもかかわらず前へさらに前へ進もうとするのその心意気は言葉に言い表せないほどに立派である。最後、言いたいことは何だったのか分からなかったがそこで初めて救国騎士団に入ろうと決意したことはわかった。


 「私はきっと...」


 ああ、こんなにも知識があって治そうと尽力を尽くしている人々がいる。そんな、病気による地獄の連鎖に絡まれて抜け出せない人はこの世に多すぎる。便利さと凶悪さは対になって襲ってくる。いつか凶悪さを消せたら。いいな...。


 重い空気を切り裂くは大声。


 「おーい。お待たせ話し終わったぜー。」


 「ちょうどよかった。」


 「案内終わったか?」


 「まあ、雰囲気と何であるかは伝えたと思いますわ。」


 「あー...ならいいっか。次に行こうぜ。ていうか飯食いたくなってきたわ」


 何かアネモネの心を察したか、それともめんどくさくなったか。真意はわからないが深入りしてくることはなかった。彼の困ったような顔からそうわかる。話を振り切るように前に進んで一人で行ってしまった。それに続いて私たちも付いていく。


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