第六話 アリスとの時間
いつも読んでくださってありがとうございます。
第六話はミナミとアリスの回です。
まったりした時間になりそうなので、
気楽に読んでもらえたら嬉しいです。
タイガとミナミが情報を共有しても良いと言われたため、残りの期間、週末に会う事となった。
週末、展望台に3人は向かった。
タイガは倉庫下まで車椅子。
脚立を設置して、まずはミナミ、後ろからタイガが登ることになった。
「、、、普通はタイガが前な気がするけど、落ちたらどうすんの?」
「いや、これでいいんだ、見てればわかる」
ミナミが登る、タイガは上を見て登り始める。かなり安定している。ユウもふと上を見る。
(あ、そう言うことか、ミナミさんのお尻を見るために、、、たしかにこれなら大丈夫か、、、て、俺も思うくらいさすがのスタイルだよなほんと)
ミナミが上り切り、すぐタイガに手を伸ばす。
まだ、アリスはいない様子だ。
「おーい、ユウも上がってこいよー!」
ユウは少し離れた、助走して、一気に飛んだ。
倉庫の上に着地。二人はもちろん驚いている。
「えええええええ!!!!」
「で、出来るようになったんだ、自分でも信じられない」
3人が笑っていると、向こう側でもスタッと音がする。
アリスも飛んで現れた。
!? 二人は振り返る。
「始めまして、アリスです。」
「始めまして!!俺はタイガ、この子はー」
「ミナミです!」
(か、か、か、可愛いーーー!超美人)と二人は思う。
「二人には、、なんといっていいか、大切な友達を連れて行くことになってしまって、本当にごめんなさい。そして、本当にありがとう。」
アリスは深く頭を下げる。
「あ、頭をあげてくれよ、アリスちゃん!」
(ちゃん??)アリスは頭を上げて元に戻る。
「俺らは何もアリスちゃんを恨んだりしてねえよ?むしろ、こんな経験させてくれるなんて、ありがたいくらいだ!」
「そ、そ、そうです!わ、わ、わたしと、と、と、友達になってくれませんか?!!」
ミナミは出だしから友達になりたいと言う。実は会う前から友達になりたいと思っていたそうだ。
「友達、、、、、」
「あ、いやごめんなさいいきなり!アリスさんは任務で忙しいし、地球人とは次元が違うと言うか、その気にしないでね!」
アリスは満面の笑みで答える。
「嬉しい、、わたしで良ければ、友達に、、な、なってください」
(きゃ、きゃわいいいーーー!!)一同赤面する。
しばらく倉庫の上で座り、雑談をする。
3人の関係性、タイガとユウのこと。
この地球は何度かやり直していること。1stという先駆者がいること。
アリスは呼び捨てして欲しいことなど。まるで、昔からの仲のように四人は話した。
ミナミはアリスに、残りの期間で遊びに行きたいと懇願する。アリスはもちろんOK。
「あのさあ、俺らにここまで話して大丈夫か?あとで罰があるとかしねえか?」タイガは心配そうに言う。
「うん、大丈夫。むしろ協力者を得るかどうかの判断はわたしに一任されてるし、万が一は記憶も消される道具も持ってるから、、それに、こんな話、きっと誰も信じないし、都市伝説の枠からは到底出ないと思うから」
そう言って、記憶を消す道具も見せてくれた。それは某映画でエージェントが持っているものと同じペンライトだった。
ミナミは大興奮した。
♦︎
とある日、ミナミはアリスと連絡先を交換しており二人で遊びに行くことになった。
ショッピングやランチ、スイーツなどを食べたりして楽しんだ。アリスからも笑顔が見える。
「ねぇ、アリス、アリスってお腹いっぱいになったり、う○ちは出るの??」
アリスは笑いながら答える
「うん、お腹いっぱいにもなるし、ちゃんと出ますよ。まあ、スペックは確かに差があるけど」
ミナミはアリスが本来とてつもなく爆食いで、う○ちが想像よりとてつもない量出るイメージをしていた。
「ごめん、違う違う!食べる量は少なめで十分だし、出る方も極少量だよ。体内でほぼ消滅するから、本当に不必要なものしか排出しないようになってるだけ」
「なーんだ、そうなんだ!ごめんね変なこと聞いて」
「全然大丈夫、たしかに色々気になるよね、気にせず聞いていいからね」
ベンチでパフェを食べながら話す。
「じゃあ一番気になってることを聞くねー。アリスはユウさんのどんなところを気に入ったの?」
アリスの顔が赤くなる。「え??」
「あ、ごめん!その、、、どうしてユウさんだったの??外へ連れて行くのがってこと!」
アリスはハッと我にもどり、話し出す。
「人類起源、1stの話はこの前したよね?、、、科学が超進化して宇宙に探索のため人類ごと旅立った。、、、その時、遺伝子の研究もやっていて、残った人類にはultimate遺伝子というものを注入して、子孫繁栄の際に受け継がれるようにした。、、、わたしにも詳細は教えてくれないらしいんだけど。今宇宙が大変で、、、そこで、この星にそのultimate遺伝子が覚醒している人がいたら、捕獲して宇宙や人類のために戦ってほしい、、という指示だったの」
「ultimate遺伝子って??」
「ultimate遺伝子は、多種多様の知的生命体のデータが入っている遺伝子。1stは宇宙探査をはじめて何万年もかけて地球外知的生命体のデータをとった。この星の場所がバレないように」
「それって、覚醒したら宇宙人の力も扱えるようになるってこと?」
「そう、その通り。能力だけじゃ無くて、見た目も変えられる生命体もいるから、これからどんな姿になるかも、全く想像つかない」
ミナミはエイリアンやプレデターをイメージしていた。顔が青くなる。
「もしかして、今、爬虫類系のをイメージしてた?あははは、確かにあんなのもいるけど、そこまで大きくは変化しないと思うよ。」
「なーんだ」
「多分、、、」
「、、、、、」しばらく二人は沈黙していた。
「アリスにも。わからないということね」
ミナミはSF好きだから更に聞いてみた。
「ライトセイバーとかぶんぶん振り回したり、物を浮かせたりできる人たちもいるの??」
アリスは少し硬い表情でこたえる。
「うん、、もちろんいる。現代の映画に出てくるような人たちってことよね?、、、いる。まさに今、そこが世界の鍵になってる、、、ユウも出会うかもしれない、、でも、それには危険が伴う。戦いに身を置くことになるから、、、」
「やっぱりいるんだ〜、ちょっと見てみたい気もするけど、あんな映画のような感じじゃあないんだよね?」
「そうね、もちろん良い人たちもいる、けど、わたしはまだミッションで関与したことが無くて。」
「でも、色々教えてくれてありがとうね!あ!」パシっ!
「っと危ない〜、ナイスキャッチ〜」
近くで子供がボール遊びをしていた。ミナミはアリスの後方からくるボールを見事にキャッチする。
「綺麗な顔に当たると大変だあ」
(この子、ほぼ後ろから来たボールに反応した、、たまたまか)
「じゃあ今度はおやつ食べよ、おやつ〜」
そう言ってミナミはお菓子を取り出す。
?!
「これ、もしかしてユウからもらったの?」
「ん?そうだよ?よくわかったね!なんか家にたくさんあるみたいで、ほら、今身支度してるじゃん?処分するのも勿体無いからってタイガとわたしにくれたの!はい、アリスの分!」
「あ、ありがとう」
(ミナミ、、、まさかね、、)
二人はその後ディナーもして、丸一日遊び倒した。
「あ、そうだ、ユウのことも、もっと教えてほしいな、ミナミはユウとは付き合い長いの?」
ミナミは頷く。
「話すと長くなりそうなんだけど、良いの?」
「もちろん、ならいつもの場所にする?誰もいないから」
そう言って、アリスは大型の単車があると言って、駐車場に到着する。
「え!これアリスのバイク??すっごいおおきいね!」
「ええ、これくらいしか楽しみがなくて、、地面を走る乗り物なんて、ここが初めてだったから、ついハマっちゃって、さあ、後ろに乗って、行きましょうか」
ミナミはヘルメットを受け取り後方へまたがる。
「さあ、発進!」
アリスは大型アメリカンのバイクを乗りこなし、マフラーをふかす。アリスの身体能力にとってはおもちゃも同然だった。
排気音は低音をきかせ、風を切り、海沿いのしおのにおいを感じながら二人は展望台へ向かった。風がミナミの髪を揺らし、アリスの背中越しに見える夜景がにじむ。
第六話 完
読んでいただき、ありがとうございます。
単車で走るシーンを書くと、
風や音まで思い出されますね。
また次話もよろしくお願いします。




