第三十六話 忘れもの
いよいよ旅立ちの時。
別れがあれば、約束があり、
そして――忘れものは、物だけとは限りません。
第三十六話「忘れもの」
さて、誰が、何を忘れていたのでしょうか。
「フハハハハ!さあ、行くぞ!ユウ、アリスよ!」
飛行船の真下。
ラボから伸びる塔の屋上に、彼らはいた。
ラボメンバーも勢揃いしている。
「ユウ、そしてアリス。本当にありがとう。我々はこれからも研究を重ねる。
しばらくお別れだが、なぁに、ここでの研究は1st、そして、セカンドアースへ転送され、母体での研究に役立つ。
皆、繋がっている。
皆の心は、いつも一緒だ。」
ハンズ博士はユウとアリスと握手する。
「そしてシモンよ。ユウのことを頼んだぞ。
お前は研究者としても一流だ。
しっかりサポートしてやれ。」
「フハハハハ!任せてくださいハンズ博士!
しっかり鍛えていきますから!」
「………………」
「わたしたちからもお礼を言う。本当にありがとう。これからより良いニューラを作っていくつもりだ。
ユウ、アリス。これからもこの宇宙を救ってくれ。……任せたぞ。」
大統領とも握手する。メツも横から出てきた。
「本当にありがとう。そして……いえ、なんでもないわ。後のことは任せてね。」
メツ博士はアリスとユウにウインクする。
アリスはメツにウインクを返して親指を当てた。
スタッフたちは挨拶を済ませた後、移動装置で、より見晴らしの良い場所へ移動した。
ラボの中央ドームの屋上。
ここは、レーダー観測や、外敵からの通信などを感知する役割を持つ。
「ふむ。ここが一番見晴らしが良い。」
「わたしたちも行こっか!」
三人は空中移動で宇宙船へ乗り込む。
◆
「よいしょ、よし。これで新しい電波機器は修理できた。今日はおかあさんが来れないから、代わりにわたしがやらなきゃ。
そろそろかなあ。ユウ、アリス。本当に旅立っちゃうんだ……」
ここは電波塔。
メツ博士が隠れ蓑にしていた場所だ。
数日前に戻されたのは、この電波塔も微調整が必要になったからだった。
(ちょっと休憩しよう……最後のお見送りだけ……)
リスタは電波塔の最上階。
踊り場へ辿り着く。
メツが隠れていたところだ。
あたりはエレベーターホールと屋根以外はほとんど何もなく、空は開けている。
「うわあ!初めて来たけど、すごい景色!
ニューラ大陸が半分一望できちゃう!
………あ!!!あれだ!すごい大きい宇宙船!……そう言えば、宇宙船は見てなかったなあ……残念、一度中を見せてもらったら良かったなぁ。
けど、わたしもいつか、行きたい……いえ……行ってみせる!」
◆
宇宙船の中に入り、食事などをするフロアへ着く。
「あ、そう言えば、ハンズ博士から手紙を預かってます。何か急だったらしくて、早めに読んだほうがいいとのことです。」
ユウからシモンに手紙が手渡される。
「フハハハハ!ハンズ博士!わたしがいなくなるのが寂しいとみた!どれどれ………な、なにぃ!!これはいかん!
ユウ!アリス!少し待ってはくれないか?!ちょっと忘れ物をした!!」
そう言って、シモンはリュックを置いたまま手紙だけを持って船外へ走っていった。
◆
ラボ屋上で皆が、宇宙船を見上げていた。
「お!出発するぞ!」
宇宙船はゆっくり旋回し、ニューラ大陸の方へ向かった。
「ほう、最後に大陸を見ていくか……ユウよ。これからの宇宙を頼んだぞー!」
ハンズ博士は拳を空に掲げて見送る。
それを見たスタッフらも同じように拳を空に掲げて見送った。
「よし!ユウ!準備は良い?わたしたちも忘れもの、とりにいくよ?」
「うん!行こう!」
宇宙船はニューラ大陸上空へ。
東エリア付近に向かう。
電波塔すぐ横、やや上空へ止まり、ハッチを開ける。
「リスターーーー‼︎」
そこには屋上では眺めていたリスタが立っていた。
「ユウ?!アリス?!
なぜわたしがここに居るってわかったの?!
最後に見送りに来てくれたんだね!
ありがとうーー!」
ユウとアリスはニヤニヤしている。
「ん?……どうしたの二人とも?」
「リスタ……!
俺たちと一緒に行こう!!」
「え?!ふええ?!ど、どう言うことー?」
第三十六話 完
最後までお読みいただきありがとうございます!
ユウとアリスが仕掛けた最大のサプライズ!リスタを仲間に加えるための「忘れもの」作戦は大成功でした。
ここから始まる三人の新たな旅路を、ぜひ最後まで見届けてください!
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