第二十三話 大陸へ
ついにニューラ大陸への潜入作戦が始まります。
大統領とハンズ博士の間に流れる奇妙な空気、そして語られる「宇宙への夢」。
ユウはラムコピーのサポートを受けながら、アリスの足跡を追って未知の街へと足を踏み入れますが、そこには意外な光景と「懐かしい味」が待っていました。
作戦の詳細が告げられた。
また数週間後には、大統領の定期訪問がある。
その日の船に乗船して、仕事をするフリをする。
アリスの時と同じ方法だ。
上陸したら、アリスを探す。
至ってシンプルだ。
◆
大統領定期訪問。ハンズ博士やテソーの案内でラボ内を回る。
「お!大統領!また貫禄が出てきたなあ!フハハハハ!」
「やめんかシモン、大統領だぞ。」
「おおそうだった!これは失礼した。いよっ!大統領!」
「フフ、芸のようにいじるのは勘弁してくださいシモンさん。大丈夫です博士、わたしは何も気にしていない。むしろ心地よい。」
そして、同じく簡単な会議が行われた。
大統領も大陸内でのラボの情報は掴んでいないとのこと。
すると大統領が口を開く。
「ハンズ博士。我々ニューラの民は、星の外へ希望を持ってはいけないのだろうか?」
「と、申しますと?」
「ニューラの民の中には、宇宙旅行を夢見ている者や、他の星へ行ってみたいと夢を抱く子どもたちもおります。ましてや、それを夢見て勉強に励む子たちまで出てきているのです。
しかし、ラボが定める条約がある以上、その子達の夢は叶いません。
事情は我々も重々承知しております。この星を守るためだと、、、。」
ハンズ博士は諭すように答える。
「大統領、あなたのお気持ちは察します。ですが、やはり条約を取り決めた経緯は、やはりこの星の安全を最優先するものです。
まだまだこの宇宙は不安定だ。この星の民が危険に晒されないために、わたしたちも日々、安全確認を徹底しています。」
大統領は穏やかに頷く。
「はい。その通りですハンズ博士。いやなに、大統領のボヤキだと思って大目にみていただきたい。」
「とんでもない、誰もが皆宇宙に夢を抱くもの。そのお気持ちはわたしたち研究者も同じ。ご期待に添えず申し訳ない。」
「とんでもない、フフ、幼い頃から何度もワガママを言って申し訳なく思っていますよ。なにせ、博士はわたしにとっては第二の父のように思っておりますし、憧れなんです。」
そう言って、二人は笑い合うのだった。
◆
今の会話をユウは音声のみ拾っていた。
「なるほど、ラムコピーが俺の補助につくと、こんなこともできるのか。
それにしても、大統領ってもっと遠い存在と思っていたけど、案外ラボメンバーとは距離が近いのか?」
(父?憧れ?どういうことだろう。)
船内に大統領が戻ってくる。
「ラムコピー、大統領の会話、とりあえず全部拾ってくれ。俺の耳にだけ聞こえる音量まで下げて流してほしい。頼めるか?」
「かしこまりました。極小音量テスト。
いかがでしょう?これは人に聞き取れるギリギリですが。」
「まだ下げて大丈夫。、、、よし、そこで止めて、その音量で。」
大統領はまた独り言を言う。
「やはりダメか。
どうしても宇宙に行けないと。
我々は夢を見ることもできないのか。」
(大統領は宇宙に行きたい?ハンズ博士を父のように、、、シモンさんもあの態度、、、)
ユウはあの仮説を立てていた。
そうこうしているうちに船は大陸に到着する。
アリスの時と同様に、作業員は日当をもらい散り散りになる。
そのままユウはまず南エリアの街の中へ。
人混みをすり抜けてショッピングセンターのトイレへ。
そこで変装を解き、変装用のフェイスマスクを装着。数秒で圧縮されて肌に馴染む。
そこから、南エリアのラボメンバーが使用する部屋へとまっすぐに向かう。
ラムコピーが指示を出し、駅から電車へ乗り込む。着いた場所は高層マンション。
部屋の鍵は暗証番号であり、定期的に更新され続ける仕組み。
ラムコピーの指示に従って解除して中に入る。
(辺りを全て見たが、ここに長居した痕跡は無さそうだ。)
「ラムコピー、ここにアリスがいた形跡などは分かるか?」
「いえ、暗証番号も定期的に更新されますし、足跡が残らないようにプログラムされているので、滞在履歴などは分かりません。
ですが、、、貯蔵庫がまだ補充されていないところを見ると、何度かここで食事を取っていた可能性はあります。」
「と、言うことは、この部屋には確実にきたと言うことか。エージェントだもんな、そりゃ痕跡は残さないよな。」
「エージェントは訓練されています。臭いすら残しません。」
ユウは高層マンションから南エリアの街並みを眺めている。
(月の時、そしてこの星のラボ、居住区は、俺の知る現代と次元が違うと感じたが、このニューラ大陸はどうだ、、、この風景はまるでアメリカの景色に近い。もっと近未来的なものを想像していたけど、普通に電車は地を這うし。地球とそんなに変わりないのかもしれないな。)
ユウは時間を確認する。不用意に出歩くのは良くないと思い、今日はこのマンションで宿泊する。
「なあラムコピー、飯用意できるって聞いてるんだが、できそうか?」
「はい、もちろんです。貯蔵庫の中身から算出してメニューを提案します。こちらからお選びください。」
バーチャル映像でユウの前に立体的に見せてくれる。
(え、まじで、もうコレしかないだろ!)
「じゃあ、コレで、、、固め、濃いめ、できる?」
「もちろんです。承知しました。」
ユウの目の前には、こってり系ラーメンが出てくる。
ユウは感動している。まさか地球の外でラーメンが食べられるなど想像もしていなかったからだ。
「母船にも、似たようなものはあったけど、俺も余裕無くて、中身にこだわってなかったよ。
ラムコピー。このレシピとかは宇宙船でも作れるのか?」
「はい。お望みでしたら作れます。データによると、体を強くするメニューが最優先とあるので、おそらく指示しないと出てこないのではないかと予想されます。」
「くー。今まで先入観で指示しなかったよー。
よし、次の移動では地球食堪能しよう。」
ユウはラーメンをすすりながら考えていた。
(アリス、いったいどこにいるんだ。頼むから無事でいてくれ。よし、明日からひとまず西、北、東の順でラボマンションを回ってみよう。
街並みも一通りウロウロして探索だ。)
ユウは不安を抱えながら、早くアリスと会うことを目標に、一人作戦を練るのだった。
第二十三話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
大統領と博士の「親子のような関係」や、宇宙に行けない民の葛藤など、世界の謎が少しずつ見えてきましたね。潜入中の緊張感がある中で、ユウが「こってり系ラーメン(固め・濃いめ)」を堪能するシーンには、思わず親近感を覚えてしまいました。地球から遠く離れた星で食べるラーメン、どんな味がするのでしょう。
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